料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
#01
12月の京都
■朝、ゆっくりと東京を出発して京都へ
京都での私たちのお気に入りの宿は「ハイアット リージェンシー 京都」です。三十三間堂の隣にあり、京都駅からもさほど遠くなく、どこへ出かけるにも便利な立地です。優れた宿の三条件「安全、清潔、静寂」を満たしていて、居心地の良さは抜群、朝食のメニューが充実しているのも魅力です。街中へ出かける際、コンシェルジュデスクに立ち寄れば、最新情報はじめ、なんでも親身になって教えてくれます。午後にチェックインして、部屋でひと休みしたのち街中へ出て、お腹を空かして、夕食となります。お目当ては、八坂神社近くにある板前割烹の「浜作」。
この数年、四季折々に訪ねていて、春はたけのこ、夏ははも、秋は松茸に鯛、そして冬はふぐといった具合に、旬の選び抜いた食材を使って、シンプルに仕立て、食材の命を丸ごといただくという料理です。どの料理もカウンターの客の前で、はじめからしまいまでの調理をするという、本格の「板前割烹」です。無粋なプラスチック製、ステンレス製の容器など一切ありません。「板前割烹」はこうでなくっちゃ、というお手本がここにあります。
ご主人の森川さん、先日、「丼」ばかりを取り上げた本を上梓されました。私も丼物が大好きで、この秋、お店に伺った際、無理やり丼をお願いしてみました。作ってくださったのは「鯛丼」、飛び切りの鯛の刺身を何切れも使い、それを醤油ベースの調味料にわずかの時間漬け、炊き立てのご飯の上に載せただけのどんぶりでした。うまいの、なんの!食べ終えて、掌にすっぽりとおさまる丼をよく見ると、北大路魯山人の器でした。なんという贅沢!
京都で遅めの夕食ということであれば、祇園の「ろはん」へ出かけます。かしこまった懐石ではなく、関西の食材を巧みに使って、京都ならではの食事が気軽に楽しめます。
はじめての方にはコースがお薦めで、メインディッシュが鶏か牛のすき焼きです。一品料理もずらりと並んで、人気は「鯖のサンドイッチ」。隣のお客様が召し上がっているのを見てしまうと、すでにお腹いっぱいでもつい注文したくなる「ろはん」の逸品です。
「浜作」や「ろはん」で食事をすると、甘味は欲しくなりませんが、新幹線で東京へ戻る前、少し時間の余裕を見て駅につき、改札を入った中に「宝泉」があります。ここの「ぜんざい」はあずきの香りが豊かで、私のお気に入りです。プラットホームへ上がる前には「田中長」の「都漬け」をお土産で買うことを忘れません。「奈良漬け」と言わないのは、京都の漬物だからです。
■夕食 お腹をすかして、板前割烹「浜作」へ PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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鯛丼 | 北大路魯山人の器 | ふぐ刺し |
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かぶらの炊き合わせ |
■遅めの夕食なら、祇園「ろはん」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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牛肉のすき焼き(通年) | 若竹煮:若布と筍(春) |
■宿泊 ハイアット リージェンシー 京都
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京都の街並みにも合う落ち着いた外観 | 上質な空間エグゼクティブスイートのお部屋 |
■朝食
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数量限定の「東山 Touzan」の和朝食 | 洋朝食なら「ザ・グリル」 |
■甘味 宝泉の「ぜんざい」
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丹波大納言ぜんざいと丹波白小豆ぜんざい | 夏期限定の冷やしぜんざい |
■お土産 田中長の「都漬け」
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樽入りと箱入りの都漬け |
【店舗情報】
*次回もお楽しみに。