料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
#06
沖縄
食材、調理とも申し分なく料理が充実しているリゾート、
沖縄・カヌチャリゾートを満喫!
■那覇から高速で1時間半にある上質リゾート
沖縄名護市に、海を臨む広大な土地に広がるリゾートホテルがあると聞き、沖縄へ久しぶりに出かけていきました。夫婦の旅でも沖縄は初めてです。その名を「カヌチャリゾート」。
羽田空港を朝早い便で発つと、午前中に那覇空港に着きます。那覇市内で軽めの昼食をとってから名護まで車を走らせようという算段です。軽めの昼食とは「沖縄そば」のことで、お目当ては噂を聞きつけて出かける首里の「しむじょう」です。民家をそば屋に改造してありますが、その民家は、現在、文化庁が「有形文化財」に指定した沖縄の歴史的建造物になっています。いままで、何度か現地で骨付きの豚肉を味付けしたものを添えた「ソーキそば」を食べましたが、満足したのは1回だけ、あとは化学調味料の出汁の味が強くて、印象に残らないものばかりでした。
「しむじょう」は立地といい、佇まいといい、申し分ありません。いやがうえにも、期待が高まります。
果たして、運ばれてきた「ソーキそば」は、出汁は淡く、骨付き豚肉は甘く味付けしてあるものの、豚肉が負けていません。合いの手のもずくの酸味が、いいアクセントになっています。「ソーキそば」が美味しかったので、家内が好物の「てびちー」(豚足)もいただきました。トロリとしたゼラチン質の肉がたまりません。後ろ髪を引かれるように、店を後にしました。
「カヌチャリゾート」は那覇から高速道路を使って1時間半ほどの道のりで、いま米軍の基地問題で揺れている辺野古の先にあります。エメラルド色の海を臨む広大な敷地に宿泊施設のヴィラが点在しています。施設の間の移動は専用カートです。
このリゾートへ出かけた最大の理由は、料理でした。リゾートと言えば、海とか森とか自然環境がどこも魅力ですが、欠点は料理の質がいまひとつのところがほとんどです。ところが、夜にいただいた日本料理「神着(カヌチャ)」の料理の質の高かったこと!食材、調理、どれも申し分ありませんでした。食事の「竹の子ごはん」の筍の香り高さとごはんの美味しさは、沖縄にいることを忘れさせるほどでした。
翌朝の朝食は、さらにびっくり。料理人が薪を使って釜炊きのごはんに精を出しているではありませんか。この炊き立てのごはんは、粒ぞろいで、甘く、旨味がたっぷりと感じられるものでした。味噌汁も味噌味が強くなく、香の物も控えめで、ほどがいい。海苔やたまごは別誂えで、どこまでも気が利いています。日本の宿の朝食のお手本と言っていいものでした。
この連載のタイトルは「1泊2食の旅」ですが、沖縄まで来て1泊ではもったいない。もう1泊して、次の晩は広東名菜「龍宮(りゅうきゅう)」でいただきました。とりわけ印象深かったのが「薄切り豚肉のにんにくソース」。四川料理の名前菜「雲白肉(ウンパイロウ)」と同じで、沖縄特産のアグ—豚を使い、茹でたてを薄切りの胡瓜と合わせて、にんにく風味の辛いソースで仕上げたものです。忘れがたい味わいでした。
さて、今回の旅で家内が買ったお土産はふたつ、料理に出てきた「海ぶどう」と沖縄らしい風物をデザインしたバッグなどの小物です。帰り道、「わんさか大浦パーク」で生の海ぶどうを買い、那覇の「ローズガーデン」で昼食をとり、その後国際通り近くの「MIMURI」へ立ち寄り、帰途につきました。
■宿泊 「カヌチャリゾート ホテル&ヴィラズ」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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エメラルド色の海を臨む広大な敷地 | リゾート感溢れるプール | 施設内は専用カートで移動 |
■日本料理 「神着」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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日本の宿の朝食のお手本 | 薪を使って釜炊きのごはん |
■中華料理 「広東名菜 龍宮」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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アグー豚のにんにくソース |
■昼食 「しむじょう」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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トロリとしたゼラチン質のてびちー | もずく付きのソーキそば | 有形文化財となっている建物 |
■お土産 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
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生の海ぶどう | 沖縄らしい風物をデザインしたバッグなど | 石垣島出身のテキスタイルデザイナーMIMURIさん |