<時間旅行>戦前日本の日記
和5年: 10代の女性。(1930年12月5日)
独身。東京の多摩地区に在住しているようだ。この年の三月に高等女学校を卒業しているところから、17歳くらいだろうか? 日記の時点では家の家事全般を手伝いつつ、映画や読書を楽しむ日々を過ごしている。
日記の主の女性の家庭は、他の日の描写などから察するとそれなりに裕福と思われる。彼女自身も優秀で女学校の卒業式では答辞を読んだとある。 日記中に出てくる『西部戦線異状なし』はエーリッヒ・マリア・レマルクが1929年に発表した小説で、当時世界的なベストセラーとなった。レマルクの次作となった『その後に来るもの』は、記録によれば、朝日新聞紙上にて1930年(昭和5年)から翻訳連載が始まったとあるので、日記の主はそれを楽しみにしているのだろう。
【昭和5年の出来事】 1月 鉄道省が全線でメートル法実施 ロンドン海軍軍縮会議 4月 上野駅に東洋初となる地下街の「地下鉄ストア」がオープン 5月 川崎武装メーデー事件 9月 浅間山爆発 11月 伊豆地方大地震