琉球島猫百景
#33
さくらねこの日スペシャル
写真・仲程長治 文・シマネコキネマ
「さくらねこ」を知っていますか?
さくら開花前線のように、さくらねこが北上することを願って…
今から4年ほど前、島猫映画『Nyaha!』の撮影で野良猫たちを撮影しはじめた頃、那覇の町に耳が切れている猫がたくさんいることに気がついた。しかしそれは、「喧嘩をして耳が切れた猫」だと思い込んでいた。
ほどなくして、その地域で活動している保護団体さんから、あの耳は避妊去勢手術をした猫の目印であること、手術で麻酔をした際にカットした耳がさくらの花びらのカタチをしていることから、「さくらねこ」と呼ばれていることを教わった。
これがさくらみみ。避妊去勢手術を受けた猫の目印だ
猫同士寄り添いながら、人間たちに見守られて暮らすさくらねこ
彼らの撮影をしていると、今でも「あの猫は喧嘩したから耳が切れているんだよ」と、声をかけられることがある。
そんな時はやんわりと、「さくらねこ」という存在についてお知らせするようにしている。
あの耳は、人間に飼われて人間に捨てられた猫たちが、それでも人間と共に生きるために「一代限りの命」になった目印でもあるのに、それについて何も知らない人間は意外に多いのだ。
「さくらねこ」という名前が生まれた、石垣島のさくらねこ
海沿いにある公園の緑の中で、穏やかに暮らしている
さくらねこになっても、野性味がなくなるわけではない
さくらねこになった猫たちの多くは、健康状態も良くなり、一代限りの命を見守られながら穏やかに暮らしている。
「自由に生きている野良猫を捕まえて手術して、さらに耳まで切るのはひどい」という意見もあるそうだが、「野良猫たちに生きてほしい」と願うTNR活動はたくさんの人間たちの寄附やボランティアによって支えられており、その広がりによって、実際にさっ処分数も減っているのだ。
毎年3月22日は、「さくら・にゃん・にゃん」の語呂合わせから「さくらねこの日」に制定されている。
人間の都合で生まれ、人間の愛情によって生きている「さくらねこ」のことを、たくさんの人に知ってほしいと思う。
釣り人から魚をもらったニャ〜!!
撮影するならエサをくださ〜い!!と必死の要求
撫でて〜とおなかを見せるさくらねこ。彼らはすべてを受け容れている
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*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!
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仲程長治(なかほど ちょうじ) 1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。2018年に完成した島猫映画『Nyaha!』が初監督作品。現在、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にした映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。 |
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シマネコキネマ 沖縄を拠点に活動するメディアファクトリー。島猫映画『Nyaha!』の企画・制作、『琉球島猫百景』のコンテンツ制作などを担当。沖縄の猫メディアでつくる「島猫力向上委員会」のメンバー。 |