琉球島猫百景
#26
渡名喜島〈2〉島の暮らしと島の猫
写真・仲程長治 文・シマネコキネマ
夜、ライトアップされた白砂の道を島猫がゆく
#25から引き続き、渡名喜島の島猫散歩の様子をお届けしよう。赤瓦の屋根、白砂の道、福木並木という沖縄の原風景が残る集落は、どこからでも島猫が現れてきそうな雰囲気に満ちている。島猫の目線を辿るようにゆっくり歩いていると、いかにも猫たちが好きそうな縁側の日陰、隣の屋敷と塀との隙間、屋根から屋根へと渡れる軒先などがあちこちにあり、人の暮らしの中に島猫の居場所をたくさん見つけることができる。
福木に囲まれたブロッグ塀の上でしっぽを垂らす2匹
こちらは10匹を超える大家族。風通しの良い場所でゆくっていた
結局、集落内をのんびり2時間ほど散歩して、20匹以上の島猫に出会うことができた。渡名喜島の人口は約400名、日本で2番目に小さな自治体だから、もしかすると人間より島猫に会う確率の方が高いかも知れない。島の猫たちの多くは首輪こそしていないが、ちゃんと雨風をしのげる寝床や餌場を持っているようで、穏やかに、そして自由に暮らしていた。中にはハブに噛まれたのか?鼻先を怪我していたり、メスを巡るオスたちの熾烈な争いの様子も見られたが、人間に寄り添うためのルールよりも、猫社会のオキテの方がまだ強く存在していることが感じられた。
井戸の上でサンゴ石を枕に昼寝中
エキゾチックな顔つきの猫も多かった
洗濯物、サンダル、シブイ(冬瓜)、そして猫
渡名喜島の見どころをもう一つ。港近くの役場を起点とする村道1号線は、夜になるとフットライトが点灯し、集落内が美しくライトアップされる。暗闇の中に白い道がぼんやりと浮かび上がり、そこを島猫が歩くと…まるで舞台の花道のように幻想的だ。そして、これから始まる夜こそが、彼らの本番タイムなのだ。
道端で親猫が子猫を遊ばせていた。ユウナの花がオレンジに色づく夕暮れの島風景
風が通り抜ける塀の上で、島を見守るシーサーのように子猫が鎮座していた
*写真展のお知らせ
本連載でおなじみの写真家、仲程長治 #シマネコキネマによる島猫アート写真展が石垣島にて開催中です。京都国際映画祭2018 アート部門に出展された「島猫目展」の作品展示の他、琉球島猫百景ポストカード(全8種類)など、オリジナル島猫グッズの販売も。売上の一部は、石垣島で野良猫のTNRや譲渡活動を行っている「石垣島しっぽの会」に寄附されます。
・開催期間:2019年9月4日(水)~9月29日(日)
・場所:アートホテル石垣島1F「 The ART SHOP」
・時間:7時30分~21時45分
・入場無料
https://www.art-ishigakijima.com/news/detail.php?id=346
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『UNiCASE 沖縄・浦添パルコシティ』→https://unicase.jp/article/5617_111153.html
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公式WEBショップ→https://nyaha.official.ec/
*島猫映画『Nyaha!(ニャハ!)』上映情報
公式フェイスブック→https://www.facebook.com/nyaha28/
*仲程長治監督の最新作「Us 4 IRIOMOTE(アスフォーイリオモテ)」
公式サイト→https://www.us4iriomote.org/
*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!
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仲程長治(なかほど ちょうじ) 1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。2018年に完成した島猫映画『Nyaha!』が初監督作品。現在、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にした映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。 |
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シマネコキネマ 沖縄を拠点に活動するメディアファクトリー。島猫映画『Nyaha!』の企画・制作、『琉球島猫百景』のコンテンツ制作などを担当。沖縄の猫メディアでつくる「島猫力向上委員会」のメンバー。 |