呉・広島の旅
#04
呉の街散策
編・『TABILISTA』編集部
れんがどおり商店街、堺川沿いを歩く
呉港中央桟橋からバスに乗って、街の中心地へ向かう。
くれたんバス(呉探訪ループバス、土日祝日運行)の中通3丁目バス亭を降りてすぐ、呉中通り商店街、通称「れんがどおり」のアーケードがあった。路面にレンガが敷き詰められ、両脇に様々な店が並ぶ賑やかな商店街だ。
れんがどおり商店街
広島カープのリーグ優勝が決まったあとだったので、商店街もこの通り
商店街の中ほどにある、「街かど市民ギャラリー90(くれ)」を訪れた。ギャラリーでは「こうの史代原画展」が開催されている。2011年に「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」で開催された「くらしとものに見る昭和史」展の展示背景やポスターに使われた原画だそう。
れんがどおりにある「街かど市民ギャラリー90」。松本零士氏のスペシャルコレクションを展示する「ヤマトギャラリー零」に併設されている
ギャラリー4階フロアで「こうの史代原画展」開催中
ギャラリー受付には、訪れるファンのために劇場アニメ『この世界の片隅に』ロケーションマップなども置かれているほか、劇場アニメのクラウドファンディング支援者に送られた「すずさんの手紙」の葉書の実物が展示されている。
差出人・北条すずの名前で日々の生活について絵が描かれた4通の葉書は、呉の4つの郵便局から発送された。すずさんが買い物などで出かけたときに投函したのだと想像すると、わくわくする。なお、葉書の絵は、『この世界の片隅に 劇場アニメ公式ガイドブック』にも掲載されているので、じっくり見たい方はぜひそちらでもご覧いただきたい。
第1弾は呉郵便局、第2弾は呉辰川郵便局の消印が押されている。実は今年の3月に呉辰川郵便局は廃止されたので、消印は貴重なものだそう
第3弾はギャラリーのすぐ近くの呉中通三郵便局、第4弾は呉三条郵便局の消印
れんがどおり商店街をぶらぶら散策したあと、商店街と並行する堺川沿いの通りへ向かった。街の中心を流れる堺川には、本連載#01でも触れたように、丁の筋ごとにいくつもの橋が架かっている。道や筋は基盤の目のようになっているので、橋の名前と地図を見くらべると、自分が今どこにいるのかがすぐにわかる。川沿いにはところどころベンチがあったり、公園になっていたり、整備されているので散策にぴったりだ。
橋から港とは反対側、山側を眺める。正面に見える山が灰ヶ峰。『この世界の片隅に』の主人公一家、北條家は、あの山のふもとに暮らしているという設定だ。
呉の街には二河川と堺川の2本の川が流れている
楓(かえで)橋、欄干は港町らしい洒落たデザイン
二重橋、弥生橋、楓橋、花見橋、五月橋……と川沿いを順に歩いていくと、現れたのが小春橋。『この世界の片隅に』ですずさんと周作さんが会話をするシーンに登場する橋だ。橋は架け替えられているが、ここから見える川の流れや灰ヶ峰ののどかな風景は、昭和初期と変わらないだろう。作品のロケ地巡りをされるという方は、ぜひ訪れてみてほしい。
小春橋
小春橋から灰ヶ峰を望む
堺川沿いの大通り、蔵本通りの一角は夜、屋台街「赤ちょうちん通り」となる。おでん屋、ラーメン屋、イタリアンや創作料理の店など、地元の人はもちろん、観光客にも人気のお店が十数軒が並ぶ。場所は中央3丁目周辺、橋でいうと楓橋の前後あたり。昼間とはまた違った賑やかな雰囲気で楽しい。
蔵本通りの屋台街
夜も更けて、ほろ酔い気分で堺川沿いを散策していたら、街灯が反射する川面の中州に大きな白い鳥が一羽、たたずんでいるのを見つけた。スマホの画像はピンボケだけれど、映っているのは首が長く、サギのように見える。後で調べたところ、このあたりに生息しているアオサギらしい。『この世界の片隅に』の中に登場するのは白サギだったが、物語がまた身近に感じられる呉の夜だった。
サギが一羽、闇夜の川にたたずんでいた
*呉の観光情報はこちら→呉観光協会HP→https://www.kure-kankou.jp/
呉・広島の旅、まだまだ続きます!
●劇場アニメ『この世界の片隅に』2016年11月12日(土)全国公開!上映スタート!!
*劇場アニメ『この世界の片隅に』公式サイト→konosekai.jp
原作:こうの史代 監督:片渕須直 主演:のん
©こうの史代・双葉社/「この世界の片隅に」製作委員会
*本連載は週1回(毎週月曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!
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