2017年自腹でマイル修行&麺の旅
#01
大阪(前篇)
旅人・KOJIRO
なにしろ、
飛行機好きなもので。
少しでも時間があると飛行機に乗りたくなる。
飛行機に乗って旅に出たいと駆り立てられる。
大阪まで新幹線ではなく、飛行機に乗る。
たとえ仕事の移動でも、離陸のふわっとした瞬間、
そのときから僕にとっては、すべてが旅になる。
なにしろ、 飛行機好きなもので。
僕のJALの生涯搭乗回数は159回(国内線134、国際線25)。
生涯マイルは144,026マイル。
実に地球を6周もしている計算になる飛行機好きだ。
ちなみにANAの生涯マイルは85,845マイル。地球4周半。
JALやANAをはじめ世界中の航空会社では、
独自のマイレージサービスを行っている。
フライトばかりでなく、ショッピングでもマイルを貯めることができ、
その貯まったマイルは、航空券や電子マネーなどの特典と交換できる。
それとは別に、飛行機を多く利用する人へのサービスとして、
各社独自のVIP(上級)会員制度マイレージプログラムがあり、
特別なサービス「おもてなし」が受けられる。
「おもてなし」を簡単にいうと、
国際線ビジネスクラス利用時と同等のサービスが、
国内線、国際線問わず、エコノミー、格安チケット、
様々なパッケージツアー、団体旅行でも、利用でも受けられるのだ。
僕は、プライベート、仕事でも飛行機を使う機会が多く、
JAL、ANA、Delta(世界的な3つの航空連合)のVIP会員だった。
世界中65社の航空会社の様々なサービスが受けられた。
TABILISTA=旅の達人である。
旅好き、飛行機好き、気ままな一人旅、そんな旅人には、
航空会社のVIP会員は手に入れたい、なくてはならないものだ。
なぜなら、いつもの移動が特別な旅になり、
快適で有意義な、空の旅を約束してくれるから。
例えば、JALの場合は、
何をすればいいのか?
簡単である。
2017年1月1日から12月31日までに、
年間50回、ただただJALの飛行機に乗れば、
誰でも、JALのVIP(サファイア)会員になれて、
2019年3月まで特別のサービスが受けられる。
2017年、大好きな空の旅を楽しみながら、
自腹で、JALのVIP(サファイア)会員を目指す!
なぜ、ANAではなく、JALなのか?
また、VIP会員の特典の詳細は、後編で詳しく書くとする。
いったい飛行機代、いくらかるのだろう(笑)
2017年、JAL初フライト
羽田から伊丹へ日帰りトリップ
2017年の初搭乗は、生涯国内線搭乗134回の半数以上を占め、
一番親しみのある伊丹空港行きに決めた。
自腹で、年間50回搭乗するので少しでも運賃は抑えたい。
そのため運賃は「スーパー先得」を利用。
往路9,990円、復路11,980円、合計21,970円。
※新幹線(東京-新大阪/指定席)往復29,300円
2017年1月8日 6:55
羽田空港 曇り、気温3℃
少し早めに着いたので、ターミナルを散策する。
特に変わりはない、いつもの羽田空港。
日曜日ということもあり、平日の朝はスーツ姿のビジネスマンで
溢れるターミナルも、人はまばらである。
ここ3年ほど、飛行機に乗っていなかったため、
空港の雰囲気はどこか新鮮である。
フライトに関して、大きな変更点はないと思うが、
空港、機内の使い勝手などをチェックしていきたい。
チェックインは、タッチ&ゴーなので、
カウンターには寄らず、直接、保安検査場に向かう。
タッチ&ゴーには、スマートフォン、ICカード(JMBカード、JALカード)
2次元バーコード(eチケお客様控)などの方法がある。
今回は、スマートファンアプリの「JAL Countdown」を使ってみた。
お得意様番号とパスワードを登録すると、
国内線の出発10分前までを、まさにカウントダウン!
運行状況や搭乗口、搭乗案内、保安検査場の混雑まで、
リアルタイムで知らせてくれる。
また、アプリ内に表示される搭乗用バーコードをかざすだけで、
チェックインできるので、カードや搭乗券を探すこともない。
iPhone、Android、新旧機種問わず使えるので非常に便利!
思えば3年前は、VIP会員だった。
専用カウンターでチェックインし、併設のJALラウンジに直行が定番。
朝シャン(シャンパン)ならぬ、朝からビールがお決まりだったが、
現在は平会員。再びVIP会員になるまで、ビールはとっておこう。
搭乗口近くのスモーキングエリアで、しばし待機である。
搭乗が始まり、搭乗口で再びアプリのバーコードをかざし機内へ。
機種はボーイング777。エコノミーの座席配置は3、4、3列。
センター4列の通路側のシートをチョイスする。
隣人に気にせず、トイレへの移動が楽なのが、一番の理由。
隣のシートが空いていることもあり、圧迫感がないのがいい。
この日は、当日シート変更して、足元の広い席、通路側45Gに。
日曜日朝の伊丹行きということもあり、4列に一人だけ。
シートは当日チェックイン前にも変更できるので、
非常口前席など、VIP会員しか予約できない席も、
空いていることがある。
エコノミーは、すべて革ばりシートになり快適である。
これなら短い路線は、クラスJ(+1,000円)でなくても十分。
定刻通りに、離陸する。
「ふわっと」した瞬間、アドレナリンが流れる(笑)
特に揺れはない、安定飛行だ。
ドリンクサービスは、普段はあまり飲まないジュースをもらう。
ほどよく冷えたアップルジュース、
飛行機で飲むドリンクって、なぜか美味い。
3年ぶりに乗って、一番変わったと思うのは、
離着陸以外での電子機器の使用が可能になったこと。
携帯電話の使用もギリギリまでOK。
また、wifiまで使えるようになったのは驚き。
「wifi15分間無料キャンペーン」をやっているので、
PCとモバイルの両方で早速試してみる。
(※2月から8月末日までは、なんと制限なく無料に!)
アクセスは簡単。事前登録を済ませていたので、
まるまる15分間使用できた。快適にサクサク動く。
メールやSNSのちょっとしたチェックには最適だ。
「今、飛行機の中です」と友人にメールをしたところ、
「なにを冗談を、機内で使えるわけないでしょ」との返信が、、、。
まだ「機内でwifiが使える」ことは、浸透していないようだ。
なお、初めての登録時にはメールのやり取りなど、
少し時間がかかるので、搭乗前に済ませておきたい。
実際の飛行時間は、45分あまり。
この感覚に慣れてしまうと、
新幹線での大阪移動は、とても長く退屈に感じてしまう。
そんなことより、飛行機好きなもんで。
2017年1月8日 8:40
伊丹空港 雨 6℃
あっという間に時は過ぎ、定刻5分前には大阪・伊丹空港に着陸。
自腹、年間50回の搭乗を目指す第一歩。
2017年、第1回、記念すべき初フライトでした。
伊丹空港は雨だった。
僕は雨男である。
2017年、麺の旅
なにしろ、麺好きなもので。
飛行機好きは、飛行機に乗るだけで楽しい。
でもVIP会員になるために、目的もなく、用事もなく、
ただただ飛行機に乗るだけでは、もったいない。
ついでに、なにする?
友人に連れられて「銀座 篝(かがり)」の行列に並んでいた。
麺好きだが、行列に並ぶのは、正直好きではない。
どちらかというと敬遠してしまうほうだ。
「行列に並ぶという行動が、好きなのでは」
「行列ができているからおいしいと、思い込んでいるのでは」
「つまりは、自分の好きな店を語り、教えたいだけなのではないか」
などと、友人と酒を飲みながら麺談議で盛り上がった翌日のことだった。
40分後、初めて食べた「篝」のラーメンは、おいしかった。
僕はグルメでも、食通でもない。麺好きのただの食いしん坊だ。
お腹がすくと「麺が食べたい」と思い、
麺、汁、具の相性と店の雰囲気を楽しみながら、
麺を食べる満足感は、至福の瞬間であるといえるかもしれない。
そうだ、日本縦断、麺を食べに行こう。
北は旭川のラーメンから南は石垣島の沖縄そばまで、
日本縦断、全国津々浦々、JALの飛行機に乗って、
ラーメン、そば、うどん。
おいしい麺を食べに行こう。
何しろ、麺好きですから。
自分の好きな店を語り、教えたいだけ。
マイル修行の、ついでに(笑)。
2017年1月8日 PM8:50
伊丹空港で、いきに日本酒を、、、。
教えてもらった「おいしい麺」の情報から、
午前中は朝食がわりに、かすうどん。昼食に日本蕎麦。
3時のおやつにカレーうどん。夕食をカレーうどんで締める。
4杯のおいしい麺を巡る冒険である。
一軒目のオープンまで少し時間があり、
あいにくの雨なので、ネットでお店の場所の再確認をしようと、
8:00から開いている空港内の「空港銘酒蔵」に向かう。
空港内で関西の様々な蔵元の日本酒が、
酒の自販機で御猪口1杯100円で利き酒ができる。
日本酒好きにはたまらない。
俳優の佐々木蔵之介さんの実家、京都の佐々木酒造「聚楽第」、
和歌山の名手酒造店「黒牛」あたりを軽く2、3杯やりながら、
冷や酒で身も心も清めて、麺の旅スタート、、、。
ところが、ま、まさかの、
昨年の11月30日に閉店していた。残念、たった1カ月前の出来事だ。
まずは、いきに日本酒で、、、。
災いは福となるか、
さらに災いが、、、。
仕方ないので空港を出てモノレール[大阪空港]駅に向かう。
気温6℃。通路の抜ける風も強く、気温以上にかなり寒く感じる。
さらに災いは続く、
モノレールに乗りネットで確認したところ、
1軒目のかすうどん、4軒目のカレーうどん、
よくよくみると、いずれも「日曜日が定休日」。
痛恨のミス。なんという準備不足。
ああ、予定を変更せねばならない。
そこで1軒目は、2軒目に予定していた、そばに変更。
かなり並ぶと聞いていたので、開店前に着くように出発しよう。
【大阪空港】からモノレール。[蛍池]から阪急宝塚線で[十三]へ。
阪急京都線で[淡路]へ、阪急千里線で「天神橋筋六丁目」に向かう。470円。
「お腹すいた!」
気づけば朝からなにも食べていない。
途中、乗り換えの阪急十三駅構内で「阪急そば」を発見。
汁の匂いに誘われて、軽くかけそばでも、、、。
仁川にある阪神競馬場への取材時には、よくお世話になったものだ。
うまい立ち食いそば屋である。そば屋とあるのに、
僕以外ほとんどの客が、うどんを食べていたのを思い出す。
中を覗くとテーブル席になっていって、
店名も「阪急そば 若菜」とあり、微妙に違うような。
迷ったのだが、先を急ぐことに。
10:50に、天神橋筋六丁目駅に到着した。
心にしみわたる、
『たかま』の鴨汁そばに惚れた!
初めて降りる駅である。雨はさらに強くなってきた。
風が強く、気温は2℃まで下がっていた。
日曜日の午前中、人気のない商店街を5分ぐらいだろうか歩いていくと、
美しい木の壁の外観のそばの『たかま』に着いた。
まだ開店の30分前だというのに、
外人さんをはじめ、すでに10名以上の人が待っている。
1時間は待つ覚悟か、ギリギリ開店と同時に入れるかどうか。
傘をさしたまま列の最後尾に並ぶ。
初見ということもあり、期待に胸高鳴る。
このそばをすすめてくれたのは、
20年ほど前、お互い勤めていた会社の近く半蔵門にあった、そば「三城」で、
うまい肴とそばで、昼から一緒に酒を飲んだくれていた、そば好きおじさん。
最近は、白金のそば「三合菴」で、ご一緒する。
「そばは繊細な極細2種。天ぷらで白。鴨汁で黒。両方注文すること」
「焼きみそ、蕎麦がき、だし巻き、肴もどれもうまいからな」
「もちろん、日本酒の揃えもそばにあう」
と念を押されたが、ふつう一人でそんなに頼めないだろ、おっさん。
開店時間までにはまだ20分近くあったが、突然店の扉が開く。
「まだ準備中ですが、寒いから、中に入って待ってくださいね」
と女将さんに案内される。
ちょうど外で待っていた14人全員が店内に入れた。
ジャズがゆるやかに流れる店内は、落ち着いていて、そばを楽しめる風情だ。
10席の大きな屋久杉のテーブルに着くと、すぐに温かい蕎麦茶が出される。
そばの香りが豊かで、とてもまろやか。冷えた体にしみる。
常連らしき客が、手際よく酒、肴、そばを注文する。
今回は、そばだけ注文と思っていたが、
そばと酒と肴は、やはり一体でしょうと、
鴨汁そば、燗酒、メニューで気になった豆腐の味噌漬けを肴に注文する。
燗酒は、あえてお任せに。
注文した肴にあう、お燗しておいしい酒を選んでくれるのではないか、
期待の高い初見のお店では、最初の酒はお任せにすることにしている。
ああ、お腹が鳴る。
店内はゆったりと時間が流れている。
外人観光客もおとなしくしているように、
僕も店の雰囲気にのまれ少し緊張している。蕎麦茶のお代わりをもらう。
しばらくして、豆腐の味噌漬けと燗酒が出された。
豆腐の味噌漬けを箸先で少しつまんで口に含み、ちびちび酒をやる。
これは、うまい!
芳醇な味噌漬けと、ほどよいお燗で少し辛め、ふくらみ豊かな酒があう。
酒飲みとしては、これだけで永遠に飲んでいられる。
ああ、誰かと語りたい。一緒に酒をかわしたいな。
一人旅を悔やむ、瞬間でもある。
こんなことなら、お酒のメニューをもらって、
焼きみそ、蕎麦がき、だし巻きも頼みたいところ。
だが店内は、すでに待っている客がいる。追加は難しそうだ。
ちびちびやりながら盃はなくなり、
最後の一献を名残惜しく飲み干したとき、
「おそば、お持ちしますか」と女将さんに声をかけられる。
絶妙なタイミング。
まず、熱々の鴨汁の器が目の前に置かれる。
鴨肉と焼きねぎ、汁の中には鴨のつみれが隠れている。
そのまま汁を一口いただく。
濃厚で程よく甘辛い醤油のきいた風味は、口の中にふわっと広がり、
香ばしい焼きねぎ、鴨の豊かな香りが鼻先に抜けるよう。
汁だけ飲んでも、おいしい。
少し遅れてやってきた挽きぐるみの田舎そば(黒)は、
かなり細く透き通るようなツヤツヤなそば。
十割でこの細さには感嘆するばかり。
山のように高く盛り付けられた姿は美しく、食欲をそそられる。
まずは、つまんでそばだけ食べてみる。
しなやかコシが強く、そばの香りが豊かだ。
そばだけ食べても、おいしい。
そして、そばを少なめにつまんで、汁につけて食べる。
そばと汁の相性はすばらしく、
鴨汁用に硬めに茹でられたおそばは、あつあつの汁と絡まって、
なんともいえない、歯ざわり、舌ざわり、のどごし。
ぶ厚い鴨肉は、しっかり歯応えがあり、ジューシーでうまい。
鴨肉のつみれは、鴨の旨味がギュッとしまっている。
焼きねぎ、ゆずとみつばのバランスもいい。
おいしいって幸せだ。
一気に食べ終えてしまった。
しめのお楽しみは、蕎麦湯。
別に出された器に、あつあつの蕎麦湯をそそぎ、そのまま飲む。
トロトロでなめらかな舌ざわり。
そして、レンゲで鴨汁を少しずつ器に移しながら味わう。
これまた、うまい。
これじゃしめられない。止まらなくなり、4、5杯いただきました。
心にしみわたる『たかま』の鴨汁そばに惚れました。
『たかま』
大阪府大阪市北区天神橋7-12-14 グレーシィ天神橋ビル1号館
06-6882-8844 予約不可
営業時間 11:30~14:30 ※売り切れ次第終了
火曜日休み
鴨汁そば(1500円)、燗酒(950円)、豆腐の味噌漬けハーフ(520円)
記念すべき、麺の旅の1目杯は、大満足。
そして、雨の中の行列、波乱の大阪麺の旅は、
次回、第2回大阪(後編)に続く。
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KOJIRO(コジロー) 1964年生まれ。大学卒業後、出版社にて男性ファッション誌、女性ファッション誌、トラベル誌、フリーマガジンなど編集長として携わる。現在はフリーランサー。小学生の頃より極度の乗り物酔いだが、飛行機好き。JALの生涯搭乗数は161回。忘れられぬ旅は、JALファーストクラス(特典航空券)で行ったパリ。麺好きの「食いしん坊」でもある。
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