旬の地魚を味わう全国漁港めぐり
#03
【12月旬魚】:小樽「蝦蛄」・越前「赤鰈」・寄島「蝤蛑」・鐘崎「白鯖河豚」
「本当に旨い魚を現地でいただく!」をテーマにお届けする「全国漁港めぐり」。
第3回は12月が旬の地魚。 北海道・小樽の[シャコ]、福井県・越前の[越前ガレイ(アカガレイ)]、岡山県・寄島の[ガザミ]、福岡県・鐘崎の[カナトフグ(シロサバフグ)]をご紹介します。
1 小樽のシャコ漁は北海道で唯一、魚の通り道に網を仕掛けて絡めて獲る刺し網漁 2 生きたまま絶妙な塩加減で茹でる。遅いと殻もむきづらくなる 3 脚などが折れると値が下がるので、素早くかつ丁寧に。熟練の技だ。毎年11月に「小樽しゃこ祭」も開催されている
石狩湾に臨む小樽はニシン漁で栄えた歴史を持つ。今も往時の繁栄ぶりを伝えるニシン御殿が残る。ニシンはほとんど獲れなくなったが、替わりに名物となっているのがシャコである。それも20センチを越えるものもいるというシャコだ。
小樽のシャコは身が詰まり、さらにコクがあって旨い。ほかのシャコとは違う、まさに道産子なシャコである。おいしい食べ方は獲れたてを生きたまま素早く茹でるのが一番。そのまま食べてもよし、炭火焼きにするのもいい。
旬は春と秋の2回で、春は子持ちのメス、秋はオスが旨い。寿司ダネにはオス、酒の肴にはメスがいいとのことである。
Otaru facing the Gulf of Ishikari is a port town with the history that prospered in herring fishing. A herring palace conveying a way of prosperity at the time of the going is still left in a town. Most of the herrings were not produced now, but, on the other hand, popular one is a giant clam. It is the giant clam which the thing is more than 20 centimeters.
As for the giant clam of Otaru, its body is packed flesh and it has body and is delicious. It is the giant clams of native Hokkaido. It is different from other giant clams. Most delicious how to eat is a method to boil quickly with living in a fresh giant clam. You may just eat and are delicious even if you will have charcoal fire ware and eat. There is two times of season, and it is autumn and spring. The female of the mother is delicious in spring, and a male is delicious in autumn. It is said that male is suitable for sushi, female is fit for dish.
石狩湾に臨む小樽港。札幌から快速電車で30分ほど。港周辺には歴史的建物も。
地元では地ガレイとも呼ばれるアカガレイは「越前ガレイ」の名で知られている。赤褐色をして口が大きいカレイは成長すると30~40センチほどになる。同じ福井でも若狭ガレイで知られるヤナギムシガレイよりはやや大きい。
水深数百メートルの海底に生息し底びき網で漁獲される。9月に底びき網漁が解禁となり、翌5月までがシーズンだが、福井では何か行事があるときにはこの焼きガレイを食する。高たんぱくでコラーゲンも豊富。低脂肪でビタミンも多く美容にいい。鮮度を保つことが難しい魚だが地元では刺身でも楽しめる。越前町の旅館や飲食店で食することができる。
The plaice which is called “Ji‐garei” is known for the name of "Echizen‐garei" in the local.This fish does dark reddish-brown, and has a big mouth. When it grew up, it becomes approximately 30-40 centimeters.It is slightly bigger than "Yanagimushi-garei" known as "Wakasa-garei" in Fukui.
This fish inhabits the bottom of the sea of several hundred meters of depth of the water, and it is fished in "Sokobiki" net-fishing. "Sokobiki" net-fishing becomes the removal of a ban in September;to May of the next year is a fishing season.But people of FukuI always eat this fried "Echizen‐garei" at the day with some event.This fish has abundant collagen with high protein, and is low-fat. Because it has a lot of vitamins, eating it is good for beauty, too.It is a fish difficult to keep the freshness, but can enjoy even sashimI at local. You can eat it in an inn and a restaurant of Echizen-cho.
1 越前漁港の一つ、小樟港。山並迫る狭い土地に家々が連なる漁師町だ 2 小樟港のすぐ南、国道305号線沿いに、2014年11月にオープンした道の駅「越前」。買ったり食べたりできるのはもちろん、温泉施設も備える【住】福井県丹生郡越前町厨71-335-1 0778-37-2360【営】9:00~18:00、火曜定休(繁忙期は無休) 3 温泉施設「漁火」では日本海を眺めながらのんびりできる。温水プールもあり。また国道を挟んで山側には「越前がにミュージアム」や新鮮な魚介を販売する店も
越前のランドマークである越前岬は水仙の群生地として知られる。12月から2月に咲き誇り、辺りに甘い香りを漂わせている。展望台からは絶景が望め、日本海に沈む夕陽や、特に冬は荒波打ち寄せる海岸線などが眺められる。ちなみに水仙は福井県花でもある。
写真提供:福井県
祭りに欠かせない季節の味 漁師も自慢する味と旨み
瀬戸内でカニといえばガザミだ。特に岡山では秋祭りのシーズンに欠かせない季節の味でもある。その頃、街の飲食店にはガザミ入荷のお知らせが貼られる。
全国でも有数のガザミ漁獲量を誇る岡山だが、その主な産地は県西部の寄島漁港。県全体の4分の1がここで水揚げされ、ガザミは寄島の魚にも指定されている。
ガザミは秋から冬が旬だ。秋は身がびっしり詰まったオス、冬は内子たっぷりのメスが旨い。春生まれたカニもこの頃には15センチほどに成長し食べ頃となる。
茹でても蒸しても焼いてもいい。活きカニなら脚の付け根を刺身で食べれば、ほんのり甘くてやわらかい身が楽しめる。
1 寄島のセリ風景 2 オスメスの見分けは腹の三角部分(ふんどし)を見る。幅が狭いのがオス 3 身がびっしり詰まった寄島のガザミ。生きている内に茹でるのが旨さの秘訣 4 寄島町漁協が運営する直売所の「浜のかあちゃん寄り道」。港に臨む場所にある。木・金・土のみ営業(7:30~12:30)【住】岡山県浅口市寄島町13002-18 0865-54-3756 5 新鮮な魚介のほかに惣菜なども販売。なお寄島はカキでも知られ、シーズンの11~3月には10数軒のカキ直売所が漁港に並ぶ
「瀬戸内海」
瀬戸内海は、紀淡、鳴門、関門、豊予の四つの海峡で外洋と通じた内海である。大小3000を超える島々が浮かび、世界有数の多島美を誇る。
干満の差が大きく、その差は最大時で4メートルを超える。開けた灘ではゆったり潮が流れ、島と島の間の狭い瀬戸では急流となっている。明石海峡などは10ノット(約20キロ/時)の速さにもなるほどだ。
658水系もある河川からの養分が流れ込み、豊饒の海の瀬戸内。潮流によって海水はかき混ぜられ、好環境をつくっているが、計算によると海水は2年ほどで入れ替わるそうだ。季節ごとにエサを求め、あるいは産卵のために外海からさまざまな魚がやってくる、まさに大きな天然のイケスでもある。
独特の旨みと弾力ある食感 手軽に味わえる庶民のフグ
福岡は全国でも一、二を争う天然フグの産地だ。水揚げされる主要港の一つが玄界灘に臨む鐘崎である。ここでは福に通じるのでフクと呼ぶが、トラフグはじめもっとも獲れるのがカナトフグ(シロサバフグ)である。全体の7割以上を占め、値段も手頃。地元では人気の魚である。
トラフグの旬は冬だが、カナトフグは夏から冬。刺身や鍋、から揚げや天ぷらなど何にでも合う。地元漁師は味噌汁にもする。
漁法も違い、トラフグのはえ縄に対してカナトフグはカゴ漁で獲る。底びきで獲る地域もあるがフグを傷付けないため、鐘崎ではこの漁法にこだわっている。
1 鐘崎沖合の玄界灘や響灘の荒波にもまれたフグは身が引き締まって旨い。下関に水揚げされる天然トラフグなどの大半は、実は鐘崎産のもの 2 水揚げされた一部は水産加工場でむき身にされる 3 こだわりの漁法を続けるカゴ漁の船 4 鐘崎漁港では5月から11月末までの毎週日曜日に7:00から朝市が開かれる。天候などで休止もあるので前日に電話で確認 0940-62-1500 また活魚センターもあって、そのまま持ち帰られる「活きイカパック」が人気。詳しくは漁協のHPで http://www.kanezaki.or.jp
「漁の種類」
漁業は大別すると、大型船で長期にわたって出漁する遠洋漁業と、10トン以上の船で数日間操業する沖合漁業、10トン未満の船で魚を獲る沿岸漁業、それに養殖業の四つに分けられる。
漁法は、釣り針を使う一本釣りやはえ縄、海底近くにいる魚を狙う底引き網や定置網、さし網など網を使って獲る漁法、それにカゴや筒、タコ壺などで獲る漁法に、海女のように潜水して獲る漁などたくさんの種類がある。
多様な海に囲まれた日本では各地で獲れる魚介も漁法も違う。大きく分けると北(寒流)と南(暖流)に分類でき、北は釣りや突き、南は釣りや網、潜り漁が多い。