料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
#45
名古屋・賢島 家族旅
文と写真・山本益博
名古屋の中華料理店「麗穂」で娘のコンサート、
伊勢志摩・賢島「AMANEMU(アマネム)」で家族水入らずの旅
私たちの娘山本絵理はピアニストとして、英国ロイヤルアカデミーのプロフェッショナルディプロマコースを卒業し、アーティストVISAを取得後、ロンドンに在住しています。
その娘が7月に一時帰国し、東京と名古屋でコンサートを開きました。
娘のピアニスト山本絵理
会場の様子
名古屋でのコンサートは、東京・六本木「中国飯店」の支店「麗穂」でした。絵理がショパンの「バラード第1番」やリストの「ペトラルカのソネット第104番」など、ピアノの名曲を演奏した後、60名ほどのお客様が北京ダックなどの名物料理を堪能しました。黒酢の酢豚も美味しかったですが、トリュフ入りチャーハンの味は格別でした。
北京ダック
目の前でシェフが切り分ける
酢豚
トリフ入りチャーハン
せっかく、名古屋まで家族で来たのだからと、その後、近鉄特急に乗って、伊勢志摩の終着駅の賢島まで行き、いま評判の「AMANEMU(アマネム)」に宿泊しました。「AMANEMU」は「AMAN」グループが、東京に続いて開いたリゾートホテルです。宿泊施設は、賢島から橋を渡り、迎えの車で20分ほど走った英虞湾を望む、広大な敷地の中にありました。
緑に囲まれた小径を車が進むと、ようやくレセプションの館が見え、笑顔溢れるスタッフに迎えられ、簡単な受付を済ませると、ゴルフのカートに乗って、宿泊棟に案内されました。
客室の天井は高く、室内は驚くほどシンプルで、リゾートならではの極上の快適さです。庭先には英虞湾が広がり、牡蠣の養殖の筏が浮かんでいました。
60度の温泉の源泉を水で調節しながら、お風呂に浸かり、都会の垢を落として、夕ご飯を待ちます。ダイニングまではカートに乗って出かけます。気がつけば、カートを運転するスタッフの誰もが、笑顔でもっておしゃべりをしてくれます。
このサービスの心地よいこと。
今から、30年ほど前、「アマン」グループの最初のリゾートホテル、インドネシア、バリ島の「アマンダリ」タイのプーケットの「アマンプリ」のサービススタッフも、笑顔をいつも絶やしませんでした。
そうそう、バリ島のデンパサール空港に着いた晩、パスポートコントロールを通過すると、プラカードを持って待っていたホテルマンが、車に案内してくれるやいなや、冷たいタオルを差し出してくれ、そのタオルで飛行機を下りた途端溢れだした顔の汗をぬぐったときの快適さは今でも忘れることができません。
屋外のテラスにて妻の美穂子、娘の絵理と一緒に
夕食の目玉は、伊賀牛、松阪牛のしゃぶしゃぶ、すき焼きです。3人で、欲張って両方いただき、食事の最後の御飯のころには皆口数が減るほど、お腹いっぱいになりました。デザートは、屋外へ出て、夜空の下、なんとも贅沢な時間を過ごしました。
刺身盛り合わせ
松坂牛
翌日のお楽しみは、「SPA」。レンタルの水着をつけ、温水プールで時間を忘れて、くつろぎました。プールサイドはBGMなど流れていませんから、鳥の声を聴きながら、リゾートならでは静けさに包まれました。
SPAレセプション
プールサイド
アマネム和朝食
本来なら、伊勢神宮を参拝するところなのでしょうが、「AMANENU」でなるべく長い時間滞在していたいとチェックアウトタイムまでいて、ランチもここでいただきました。「伊勢海老のカレー」はこの地ならでは贅沢極まりないカレーですね。
伊勢海老のカレー
家族揃って新幹線にて
次回は燕三条、越後湯沢です。
*この連載は毎月25日に更新です。
![]() |
山本益博(やまもと ますひろ) 1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。
|