琉球島猫百景

琉球島猫百景

#43

首里〈2〉祈りのまちの祈りねこ

写真・仲程長治 文・シマネコキネマ


首里のだるま寺こと、西来院のねこ住職

 

 シマネコキネマの事務所が那覇の高台に引っ越し、夕方のさんぽエリアが首里界隈になって久しい。この1年は観光客の姿が激減し、かつては大勢の人で賑わっていた首里城公園周辺も、朝夕に行き交うのは地元の方々と見回りの警備員さん、そして、公園を住処にする島猫たちだけになった。

 沖縄が琉球という王国であった時代に政治や文化の中心とて栄えた首里は、琉球独特の風水(フンシー)に基づいてまちづくりが行われた沖縄屈指の「祈り」のエリアでもある。人の消えた首里城公園で、それぞれにテリトリーを持って城跡の四方に住まう島猫たちは、人の世の移り変わりに翻弄され続ける首里城の見守り猫のようだ。

 

首里城公園のボス的存在であるシロキジ。円鑑池から久慶門前あたりがテリトリー

 


円覚寺跡の前でポーズ。食欲が満たされると、門の向こうに静かに消えていく

 

タヌキ顔のシャムも首里城公園の住猫。月桃の花の下で優雅に毛づくろい

 

 首里には、干支を守る仏様がまつられた4つの寺院をめぐる「首里十二支巡り」という行事がある。その1つである西来院 だるま寺に祀られているのは卯、戌、亥だが、実際に境内を闊歩しているのは、十二支には入れてもらえなかった猫である。

 お寺に飼われている島猫たちは、疫病除災を願って訪れるニンゲンたちを「なで達磨」の横で静かに見守り、時には稲荷大明神の前で大胆に昼寝をしたりと、実におおらかに、平和に暮らしている。

 

 


様々なお願いごとを抱えて訪れる、ニンゲンたちをお出迎え

 


境内にある稲荷神社の鳥居をくぐって向かう先は…

 

神をも恐れぬ、定番のお昼寝場所。風通しがいいんです

 


両手で福を招くまねき猫も鎮座。まねき猫のおみくじもあります

 

 年々、都市化が進む那覇のまちだが、歴史的な景観が保護されている首里のまちには、島猫好みの細道や古い民家がまだ点々と残されていて、思いがけない出会いもたくさんある。ぜひ、車ではなく徒歩で、ガイドブックには載っていない首里の島猫さんぽを楽しんでほしい。

 


壁を覆ったツタの緑が歴史を感じさせる古民家前にて

 


瓦屋根とシーサーと島猫親子。こんな風景も首里ならでは

 

*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

profile_nakahodo

仲程長治(なかほど ちょうじ)

1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。2018年に完成した島猫映画『Nyaha!』が初監督作品。現在、イリオモテヤマネコの島、西表島を舞台にした映画『Us 4 IRIOMOTE』を撮影中。

profile_shimaneko

シマネコキネマ

沖縄を拠点に活動するメディアファクトリー。島猫映画『Nyaha!』の企画・制作、『琉球島猫百景』のコンテンツ制作などを担当。沖縄の猫メディアでつくる「島猫力向上委員会」のメンバー。

紀行エッセイガイド好評発売中!!

 

ryukyu-shimaneko00_book01

島猫と歩く那覇スージぐゎー
著・仲村清司 写真・仲程長治

     
関連タグ:, ,

琉球島猫百景
バックナンバー

その他のJAPAN CULTURE

ページトップアンカー