料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
#23
台北・台中
夫婦お気に入りの台北へ4泊5日
日帰りで台中のフランス料理店へ
■台湾で最も予約の取れないレストラン「MUME」へ
旅先の土地に友達ができると、その街が突然愛おしくなって、お気に入りの場所になります。台北がまさしく、そうした都市になりました。
きっかけは、台北の「愛飯團」という食いしん坊の仲間たちが東京へ食べ歩きにやってきて、私がご案内役をしているうちに、すっかり気の合う仲間になりました。その一人が「愛飯團」代表のCindy Hsuです。「ELLE」の元編集長で、ファッションと料理に長けた才女です。
今回、彼女が選んでくださった宿が「Chez Nous」というデザインホテル。お洒落なうえに、どこへ出かけるにも便利な街の中心地にありました。ここを拠点に、今回は4泊5日、なか1日、台中まで日帰りで出かけてきました。
夕食で出色だったのは「MUME」。
ホテルから歩いて行ける距離にありました。いま台湾で最も予約の取れない1軒なのですが、客席数が少ないだけでなく、料理がインターナショナルなうえに洗練されていて、台湾にいることを忘れさせるほどでした。とりわけ、甘鯛のうろこ焼き、マンゴーのデザートなどは、久しく忘れがたい味でした。店の近くにラボを持っていて、そこでスタッフたちが試作を重ねて勉強するのだそうです。
新幹線に乗って、台北から台中まで1時間足らず、目的はフランス料理店「Le Mout」です。何年も前から、噂には聞いていたのですが、出かけて見て、立派なグランメゾンのレストランにびっくりしました。料理、内装、サービスの3拍子が揃った、日本でもなかなかお目にかかれない店で、久しぶりにいい気分で食事をさせていただきました。料理はクラシックをベースに台湾、フランスの食材を巧みに組み合わせたもので、味わいは鳩をはじめ、どれも軽快、優美、デザートも盛り付けからしてエレガントでした。カルチャーショックに近い体験でした。
そして、今回初めて「龍山寺」を訪れました。ご利益が多大ということで圧倒的な人気を誇る寺だそうです。台湾の人々の信仰心の深さを知る上でも、ぜひ出かけ欲しい名所です。
Cindyにどうしてももう1度行きたいとお願いして、会員制のレストラン「世界貿易中心聯誼社」でも夕食をいただきました。膨大な手間暇かけたスープは久しく忘れられません。
また、Cindyは新進気鋭のシェフの料理も食べてほしいと、市内から少し離れた板橋にある「望月樓」へも連れていってくださいました。
シェフの料理はどれも溌溂としていて、焼き物から点心までオールラウンダーの料理人だそうです。デザートは豆腐を包丁で極細に賽の目にし、花を咲かせたもの。まるで、秘術を尽くした離れ業でした!
台北へ来て忘れてはならないのは「鼎泰豊」。名物小籠包や鶏のスープ、粽などをお腹いっぱいいただいて、松山空港を飛び立ちました。再会(ツァイツェン)台湾!
*次回はパリです。
■「MUME」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
||
甘鯛のうろこ焼き |
![]() |
|||
オーナーシェフRichie Linさん(左)と一緒に |
|
■「 Le Mout」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
![]() |
|
鳩のロースト |
優美な卵料理 |
![]() |
![]() |
|
エレガントなパイナップルのデザート | シェフのLanshu Chenさんと一緒に |
■「世界貿易中心聯誼社」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
![]() |
||
手間暇かけたスープ |
Cindy Hsuさんとシェフと一緒に |
|
■「望月樓」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
![]() |
![]() |
|
野菜料理 |
見事なデザートの豆腐 |
シェフのWilson Soさんと |
|
■「Chez Nous」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
|||
スタイリッシュな外観 |
|
|
![]() |
![]() |
|
デザインされたルームキー | シンプルでモダンな室内 |
■「 龍山寺」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
||
台湾を代表するパワースポット |
|
*この連載は毎月25日に更新です。次回はパリへ。