韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#119

「韓国ロス」のみなさんへ〈13〉先日の講座復習編

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 先月のオンライン講座の補講を兼ね、話し切れなかったこと、見せ切れなかった写真や動画をお送りするシリーズ2回目の話題は、鍾路4街の交差点から南西方向にのびている路地と、シュポ(一杯飲める食料雑貨店)利用時のトイレの問題について。

 

鍾路4街の貴金属・時計・カメラ卸売市場も見納め 

 講座では鍾路3街から世運商街辺りまでは話題にできたが、そのもう少し東の鍾路4街までは届かなかった。

 鍾路4街と言われても、3街や5街のように地下鉄の駅名にはなっていないのでピンとこないかもしれない。南北に連なる世運商街ビルの北端を右手に見ながら鍾路の大通りを東に100メートルほど歩くとぶつかる交差点(鍾路4街交差路)辺りが4街だ。

 その交差点の南西側ブロックを清渓川まで斜めに通っているのが、1960年代に形成された礼智金銀時計カメラ都売商街(卸売商店街)。150メートルほどの路地に小さな店が鈴なりになっている。

 

礼智金銀時計カメラ都売商街を清渓川側から鍾路4街交差路方向に歩く。映画『ペパーミント・キャンディー』でヨンホ(ソル・ギョング)が歩いたのは、この動画の30秒過ぎあたり。DVDや配信サービス(prime videoなど)で同じ路地の20年前の姿を確認してみてほしい

 

 韓国映画好きなら、家族も仕事も失って自暴自棄になったヨンホ(ソル・ギョング)が足を引きずりながらこの路地を歩くシーンを思い出すかもしれない。そう、イ・チャンドン監督が2000年に撮った『ペパーミント・キャンディー』だ。

 昔の恋人スニム(ムン・ソリ)からプレゼントされた手動式カメラを現金化しようと、小さなカメラ店に入ったものの、店主から3万ウォンにしかならないと言われ、せめて5万にならないかと食い下がった結果、4万ウォンで手打ちとなる。

 店を出て路地を歩くソル・ギョングに店主が「カメラの中にフイルムが入っていたよ。持って行きな」と冷たく声をかけ、それを放り投げる。

 腰をかがめ、それを拾い上げたヨンホは再び歩き始める。すれちがうのは、出前の定食をのせたトレイを運ぶ女性、台車を押す男性、カップの入った風呂敷包みとコーヒーの入ったポットを持って歩く茶房アガシ(接待嬢)。みな生気がある。

 そのなかを幽霊のように歩くヨンホ。なんとももの哀しい場面だ。

 

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礼智金銀時計カメラ都売商街の再開発によって最近廃業した冷麺の老舗「元祖咸興冷麺本館」。創業が1953年だから67年の歴史がある

 

 この通り、20年前はこんなに活気があったのだ。デジタルカメラが普及し始めたころだが、まだまだフイルムカメラが優勢だった。今、この一帯は再開発が決まり、半分以上の店がシャッターを下ろしている。

 保存が決まっている世運商街のビルを除けば、鍾路、乙支路など旧市街中心部の商店街や工場街は来年には多くが更地になる。今こそそのひとつひとつを目に焼き付けたいところだ。

 海外渡航が解禁となり、日本のみなさんもその目撃者となれるとよいのだが、間に合うだろうか。

 

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礼智金銀時計カメラ都売商街は清渓川の手前まで続いている

 

気楽に安く飲めるシュポだが、トイレは…… 

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アイスクリームや飲み物の冷蔵庫が店先に置かれた典型的なシュポの外観。乙支路4街のプルコギと冷麺の老舗「又来屋」の近くにある「デソン食品」。シュポとは個人経営のコンビニのようなもの

 

 「ソウルの鍾路3街や乙支路4街辺りのシュポはとても魅力的だが、トイレが心配」

これは受講してくださった女性数名から寄せられた質問だ。

 筆者が著作やweb記事でよく取り上げているシュポの例を挙げよう。ここの店の場所については、拙著『美味しい韓国 ほろ酔い紀行』の地図を参照してもらいたい。

 

●「ソウル食品」(鍾路3街)

 店内にトイレはないが、旅行社サイトの日本語表記の地図を見ればわかるように、半径50メートルの範囲内に小さくてこぎれいなホテルが4軒ほどある。トイレはたいてい1階にあるので、フロントの人に 「チェーソンハムニダマン ファジャンシル チョム ソド テルッカヨ?」(すみませんが、トイレを使わせてもらえますか?)と告げて借りるといい。ホテルスタッフなので英語はもちろん、日本語がわかる人もいるだろう。

 宿泊もしていないのに、トイレを借りるのは気が引けるという人は、店から南方向に30メートルほど歩くと目の前を横切っている清渓川沿いの歩道を左に行くと、すぐ右手に小さな公衆トイレがあるので、そこを利用しよう。

 

●「ヨングァン食品」(鍾路3街)

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料理上手で陽気な「ヨングァン食品」の女将。じつは元職業軍人だ

 店内にトイレはないが、北隣りの雑居ビル1階のトイレを利用できるので、女将に「ファジャンシル オディエヨ?」(トイレはどこですか?)と告げれば教えてもらえる。掃除の行き届いたトイレなので安心だ。

 

●「ヒョン食品」(世運商街の東側の工場街)

左手が「ヒョン食品」。零細工場街のど真ん中にある

 

 店内にトイレはないが、隣の建物の2階のトイレが利用できる。きれいとは言えないので、気になる人は3分ほど歩いて世運商街のビル内に入り、公衆トイレを利用しよう。

 

●「大福マート」(乙支路4街)

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「大福マート」の店内。突き当りの右手がトイレ、左手が別室(テーブル3卓)

 

 店内にまあまあきれいなトイレがある。ストレスゼロのトイレでないと困るという人は、最寄りの乙支路4街駅4番出口から地下に入り、公衆トイレを利用するか、東に50メートル行ったところに芳山市場のビルがあるので、そこの公衆トイレを利用しよう。

 

●「デソン食品」「トンイル食品」(乙支路4街) 

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「トンイル食品」の外観

 

「デソン食品」は前項の「大福マート」のある路地を100メートルほど東に歩いたところ。「トンイル食品」は「デソン食品」の前の路地を右方向(南方向)に50メートルほど歩いたところにある。

 両店ともトイレはない。女将に尋ねれば、近くの雑居ビルを案内されるだろうが、きれいなトイレがお望みなら、やはり芳山市場のビルの公衆トイレか乙支路4街駅の公衆トイレを利用しよう。

 

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「トンイル食品」の店内。左が創業者のハルモニ(90代)、右が常連さん

 

*シンポジウムのお知らせ

11月23日(月・休)14時、本コラムの筆者が「食生活ジャーナリストの会」主催のシンポジウムにオンライン参加し、「コロナ時代の韓国の食」について話します。

聴講のお申し込みは下記で。

http://www.jfj-net.com/11344?fbclid=IwAR3zIWwrrXH24moVoD4CSNla3z__JG_CIrVhVPfQWnO4WoVMoCGLcH8ndVM

 

*トークイベントのお知らせ

12月16日(金)夜、本コラムの筆者がソウル発のトークライブ&忘年会を行ないます。詳細は後日、下記のTwitterなどでお知らせします。

https://twitter.com/Manchuria7

 

*講座のお知らせ

2月7日(日)夕方、名古屋の栄中日文化センターで、本コラムの筆者がオンライン講座を行ないます。詳細は後日、下記のTwitterなどでお知らせします。

https://twitter.com/Manchuria7

 

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*本連載は月2回配信(第1週&第3週金曜日)の予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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