台湾の人情食堂

台湾の人情食堂

#119

「台湾ロス」の皆さんへ〈10〉忘れられない旅 馬祖編(3)

文・光瀬憲子

 旅の思い出をたどり、これからの台湾旅行への期待を盛り上げるシリーズ。中国大陸のすぐそばにある馬祖列島編の3回目は、離島のなかの離島を目指す。

 

01

馬祖を構成する島のひとつ、東莒。人口千人あまりの離島らしい離島

 

東莒。時間が止まった島 

 馬祖は大きく4つのエリアから構成されている。行政や市場などがあるのは南竿といういちばん大きな島。その向かいに北竿。この南北竿から船で2時間ほどのところに東引、1時間ほどのところに莒光がある。莒光はさらに東莒と西莒に分かれている。

 多くの観光客は台湾本島からの飛行機や船が到着する南竿に滞在し、ここを拠点に他の島を巡る。私はあえて南竿から船で15分の北竿に宿を取った。日が暮れると真っ暗になってしまうような、海以外には何もない島だが、静かな夜を過ごすことができる。

 だが、もっとも気に入ったのは東莒という島だ。南竿や北竿と比べるとこぢんまりとしていて、馬祖らしい風情が残っている。

 

004

大きく5つの島から成る馬祖。島から島への移動は船なので、帰りの便に気をつけないと宿まで帰れなくなる

 

 島から島への移動は南竿が発着地なので、北竿の宿に泊まっていた私はいったん南竿に出てから東莒へと向かう。北竿から南竿、そして南竿から東莒へとスゴロクのように移動するのだが、帰りの船の時刻まで頭に入れておかないと宿に戻れなくなってしまう。馬祖で暮らす人々は、こうした船の移動に慣れていて、往復の時刻表がすっかり頭に入っているようだ。

 

03

島から島への移動は小さな旅客船で。南竿から北竿へは毎時間船があるが、莒光へは1日3便ほど

 

04

移動手段が限られているので、見覚えのある旅行者と同じ船に乗り合わせて言葉を交わすことも。彼らは高雄から来た旅好き夫婦

 

島外への持ち出し不可(!?)、幻の豆腐東莒 

 東莒は人口が少なく、飲食店も数えるほどしかない。時間が止まってしまったような孤島だ。

 だが、独特の石造りの家屋が多く残されていて異国感がある。高い建物がないので、どこにいても海を見渡せる。バスなどの公共交通手段はないので、観光はレンタルバイクかタクシーだ。

 

05

06

小さな島、東莒を回るにはレンタルバイクが便利。丘と海の風景を全身で受け止められる

 

 この島の高台には東犬灯台という真っ白な灯台がある。1800年代にイギリスの要求に基づいて建てられた灯台だそうで、今も現役だ。どことなく洋風な造りで、異国情緒あふれる東莒の風景によくなじんでいる。

 

07

1872年、アヘン戦争の後に建てられた東犬灯台。現役で馬祖の海を見守っている

 

 この島に来たら立ち寄ってほしい店がある。豆腐専門店の「國利豆腐」だ。水のきれいなこの島で手作りされている豆腐は、濃厚な大豆の香りと甘みが格別だ。

 まるでチーズのような舌触りの豆腐に感動し、「ぜひおみやげに!」と誰もが考えるのだが、日持ちがしないので台湾本島に持ち帰るのは難しい。馬祖に足を運んだ者しか味わえない幻の豆腐と言われている。この豆腐を食べるために、いつか東莒を再訪したい。

 

08

東莒の「國利豆腐」の豆腐では、濃厚な豆腐や新鮮な豆乳が味わえる。チーズのような食感の豆腐には、とろみのある醤油膏をかけていただく

 

(つづく)

 

*映画やドラマの吹替翻訳についての講座

 コン・ユ主演の映画『新感染 ファイナル・エクスプレス』やイ・ビョンホン主演『天命の城』、イ・ヨンエ主演のドラマ『師任堂、色の日記』などの韓国作品をはじめ、ネット配信されている北京語や英語コンテンツの吹替翻訳を担当した本コラムの筆者が、字幕翻訳とはひと味もふた味も違う吹替翻訳の仕事のおもしろさについて語ります。アジアの映画やドラマに出てくる言葉に関心のある人や、得意な語学をいつか仕事に活かしたいと考えている人におすすめです。

 詳細とお申し込みは、下記の朝日カルチャーセンター新宿教室のサイトで。

https://www.asahiculture.jp/course/shinjuku/9a2f04e2-f5cc-f97d-2e93-5f59ff7bccf3

 

 

*文庫『台湾一周!! 途中下車、美味しい旅』好評発売中!!

 著者の新刊が双葉文庫より好評発売中です。『台湾一周‼ 途中下車、美味しい旅』、全国の書店、インターネット書店でぜひお買い求めください。

 

カバーA04

双葉文庫『台湾一周‼ 途中下車、美味しい旅』

著:光瀬憲子 定価:本体700円+税

 

*本連載は月2回(第2週&第4週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

taiwan_profile_new

著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

紀行エッセイガイド好評発売中!!

taiwan00_book01

台湾一周! 安旨食堂の旅

taiwan00_book02

台湾縦断! 人情食堂と美景の旅

isbn978-4-575-31183-9

台湾の人情食堂 こだわりグルメ旅

ISBN978-4-575-71470-8

台湾グルメ350品! 食べ歩き事典

関連タグ:, ,

台湾の人情食堂
バックナンバー

その他のアジアの人情グルメ

ページトップアンカー