旅リスタ×食べリスタ

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#04

日本酒④:Sake(日本酒)= お米のワインは冷やに限る

文と写真・田島麻美

 

 

近年、冷酒の美味しさを知るイタリア人が増えてきている。
 ひと昔前までは、イタリアでSake(日本酒)といえば熱燗のことだったが、旅行や留学で日本に滞在した人や寿司好きのイタリア人の間で、生酒や吟醸酒など冷やで飲むSakeの美味しさが徐々に知られるようになってきた。
 もとよりイタリア人はワインに精通している人が多い。生まれた時から家庭に美味しいワインが常備されているような環境で育った彼らは、銘柄や産地はわからなくとも、「美味しいかどうか」は瞬時にその舌で判断してしまう。熱燗にはかなり抵抗感があったイタリア人でも、一度冷酒の美味しさを体験した人は、かなりの確率で「日本酒好き」になっていく。
 12年前に初めて日本を訪れた私のイタリア人の友達4人もそうだった。
 人生初の日本旅行、周囲の幼児を黙らせる勢いではしゃぎまわるイタリア人4人組を引き連れ、日本各地を旅した。その最初の訪問地である伊勢で、彼らは冷酒の洗礼を受けたのである。
 土地に明るい日本の友人が案内してくれたのは、山海の美食が集う伊勢でも指折りの名店と言われるお店。席につき、まずは一杯となったところで、彼らは「Sakeは熱いし、匂いがどうも…」と尻込みし始めた。熱燗しか知らなかった4人に、「Sakeはお米で作ったワインなのよ。熱燗じゃなくて冷やで飲むの。ここで飲まないと一生後悔するわよ!」と力説して最初の1杯を飲ませた。
 おっかなびっくりといった感じでぐい呑みを口に運んだ4人。一口飲んで、「ブォーノ!」と雄叫びをあげたのは、ソムリエ並みの知識と舌を持つクラウディアだった。その一言を皮切りに、彼らは次から次へと杯を重ね、店を出るときは全員が千鳥足になっていた。
 一晩で冷酒の虜になった4人は、翌日からどこへ行っても「この街の美味しいSakeの銘柄は?」と尋ねるようになった。土地ごとに風味が異なるワインと同じように、Sakeもまた、旅の楽しみを倍増させてくれることを彼らは瞬時に理解した。2週間の旅の間、ほとんど毎晩各地の地酒を飲み比べた4人。今では「Sakeは冷やに限る」とうんちくを傾けるまでに成長した。
 

 

 

 

ローマのキッチンに並べられたイタリア人の相棒の日本酒ボトルコレクション。味だけでなくボトルの美しさも興味の対象になっている

 

冷酒の美味しさをイタリア人の友達に知らしめた伊勢の地酒

 

初めての日本体験の出発地点となった伊勢神宮

 

日本人の私でさえ言葉を失うくらい美味しかった伊勢海の幸

 

 

酒を美味しく飲むためだけに相棒が日本で探し求めてイタリアへ持ち帰った枡

 

 

 

 

 

*高山コジローさん→タビリスタ編集長→編集Ⅰ→田島麻美さんへと続いたリレーエッセイ(テーマ:日本酒)は、これにて終了です。

 

 

 

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