旅リスタ×食べリスタ

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#01

日本酒①:佐賀の地酒「鍋島」

文と写真・高山コジロー

 

 

 

 

汽車の旅が好きで食いしん坊、お酒好きとしても知られる内田百閒の言葉に「大体お酒のみには二種類ありますね。酔いたい人と飲みたい人とです。」とある。
僕はどちらかというと、飲みたい人。
外でも内でも酒を飲む。そのためウィスキー、日本酒、焼酎等々100本以上ストックしている。だから冷蔵庫の野菜室に野菜の姿はなく、日本酒で埋め尽くされている。
最近は家で日本酒と向きあいじっくり飲むのが好きだ。肴はなくてもいい。千葉県富津産の焼きのりがあれば尚いい。
ご贔屓は佐賀の地酒「鍋島」(富久千代酒造)。今日はキリッと冷やした「純米吟醸 山田錦」を開ける。陶芸家・大嶺實清さんが構える工房のペルシャンブルーの器に注ぎ啜る。口開けのひと口は透明感とフレッシュさが溢れる。香り高く、酵母による微発酵で口の中がかすかにチリっとする。そこから米の持つ華奢なる奥深い旨みがいっぱいに広がる。酒作りには仕込み水、酒米、麹作りが重要だが、杜氏と働く人たちの酒作りに込められた思いが反映されている。「鍋島」は旨みの持久力が非常に長く、杯を重ねることにじわじわコクと旨みが膨らむ。目を閉じると有明海に面した佐賀県鹿島市浜町に構える酒蔵の歴史情緒漂う町並みや、清流を流れる仕込み水が浮かぶよう。
「鍋島」で仕込まれる酒米は山田錦のほか雄町、愛山、五百万石など種類が多く、火入れをしない生酒、磨かれた純米大吟醸があり、それぞれの米の旨み、コク、繊細な変化が面白い。
外では、御馳走とあわせて酒を飲む。フランス料理にも日本酒があう。旨い肴をアテに一盃も格別だ。旅先の膳で出会う酒もいい。先日訪れたのは沖縄県那覇市内「もつやき 松井」。肉と野菜の素材がよく串焼きの火入れ具合が素晴らしい。店主は串に合うよう敢えて大吟醸でなく「鍋島」や「而今」などの旬の純米生酒をグラス600円から揃えている。銘酒と串焼きのマリアージュが絶妙。ついつい酒がすすみ、かなり酔っ払ってしまう。気分は昂揚し饒舌になり、愉しくなる。
僕は、酔いたい人でもある。

 

 

 

「鍋島 純米吟醸 山田錦」

 

野菜室、特約店で購入した日本酒

 

漁師さんから直接仕入れた焼きのり

 

冷蔵室にも全国の銘酒が揃う

 

 

 

 

*次回のリレーエッセイ(テーマ:日本酒)は、高山コジローさんからタビリスタ編集長へ。

 

 

 

顔

高山コジロー

編集者・旅人・たまにバーテンダー。大学卒業後、出版社にて男性ファッション誌、女性ファッション誌、漫画誌、トラベル誌、フリーマガジンなど25年に渡り20誌ほど編集長として携わる。現在は11歳の白黒の雄猫と暮らす気ままな旅人。JALの生涯搭乗数317回・2017-2021サファイア会員。忘れられぬ旅はJALファーストクラス(特典航空券)で行ったパリ一人旅。世界中の酒と旨いものに目がない「食いしん坊」でもある。特に麺好きで2019年、日本各地で265杯を完食。2017年「マイル修行&麺の旅」、2019年「飛行機に乗って麺の旅」、現在「自転車で巡るニッポン麺の旅」をTABILISTAにて連載中。Twitter/コジローKojiro(@takayama_kojiro)

 

 

 

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