料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
#27
鳥取
冬の鳥取へ蟹の旅
「かに吉」の松葉蟹フルコースを堪能
■今回は娘と一緒に親子旅
ここ数年、毎年必ず鳥取の「かに吉」へ出掛けています。多いときは、12月に1回、年開けてシーズンが終了する3月末までに2回ほど仲間を誘っては出掛けています。それほどに「かに吉」は魅力的です。この連載でも1度取り上げていますが、再登場です。前回は妻の美穂子と出掛けましたが、今回はロンドンから帰国中の娘を連れて出掛けました。
「かに吉」の松葉蟹のフルコースは、「蟹みそ」にはじまり、刺身、焼き、フライと続きます。まず誰しもが「蟹みそ」でいきなりノックダウン。濃厚で濃縮した蟹のエキスの結晶とでも言いましょうか。えぐみがなく、舌と脳髄がしびれます。酒が最高に活きる一品です。生の蟹の脚には、醤油をつけすぎると味が台無しになるということで、スポイドで醤油を数滴垂らします。焼きといっても、焦げ目が全くありません。香ばしいのはよしとしても、焦げ臭は禁物。
そうして、鍋となります。(12月中ですと親蟹といって雌の小さい蟹も食べられ、この身やみそを使って蟹すしも作ってくれます)蟹を存分に楽しんだあとは「魂炊」と呼ぶ雑炊が待っています。「かに吉」の2時間半は、東京からわざわざ飛んでくる価値のある「至福の時間」です。毎年、「かに吉」詣でが欠かせないわけです。
翌日、昼のでかけには、そばの「かわぐち」が打ってつけ。まず、冷たい「もり」を手繰り、温かい「かけ」をいただくと、お腹も心も大満足です。「もり」そばの香り、「かけ」のつゆのうまさは逸品です。
もう1軒おすすめがあります。「かに吉」並びのイタリア料理店「レオーネ」。この店の薪釜で焼かれるピッツアは本格の味で、いつも焼き立ての「マルゲリータ」を、我先にといただいてしまいます。
宿は「かに吉」から歩いて5分ほどの「鳥取グリーンホテルモーリス」、格安で温泉つきで、至極快適です。 次回はシンガポールへ。
■「カニ吉」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
![]() |
||
朝山陰浜坂漁港から直送の極上の松葉蟹 |
蟹すき |
![]() |
![]() |
||
脂の乗った松葉蟹の蟹みそ |
蟹すし |
|
![]() |
||
娘とご主人と一緒に |
|
■「 かわぐち」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
||
香り豊かな「もり」 |
|
![]() |
![]() |
||
つゆがうまい「かけ」 |
古材と波板ガラスを使ったモダンな外観 |
|
■「 レオーネ」 PHOTO/MASUHIRO YAMAMOTO
![]() |
|||
イタリアから取り寄せた石窯 |
|
|
*この連載は毎月25日に更新です。次回はシンガポールへ。