琉球島猫百景
#17
首里 琉球の古都、首里の神猫族
写真・仲程長治 文・シマネコキネマ
門扉の両側に鎮座して、首里のまちを見守るシーサーマヤー
「琉球島猫百景」というタイトルの本連載だが、もちろん「琉球島猫」という猫種は確認されていない。しかし、琉球という王国が栄えていた1700年代に、王府御用達の絵師によって描かれた「神猫図(しんびょうず)」という猫の絵が残されている。当時、猫は「神様からのお使い」と考えられていたようで、島猫が高貴な人たちに愛されていたことがうかがえる。
今でも首里城公園にはカミマヤァー(沖縄の言葉で「神猫」という意味)という公式のオリジナルキャラクターがいるし、首里のまちを散策すれば、神猫の末裔らしき?一族に出会うことができる。
世界遺産、首里城跡を背にしてポーズ。行き交う観光客などお構いなし
沖縄県立芸大側の入り口や弁財天堂付近でいつも門番をしているシロキジ
「神猫図」に描かれている島猫は、シッポが黒い白猫だったりサビ猫だったりするのだが、少し毛足が長くてキリッとした表情が特徴だ。
時は流れて、現在の首里城公園周辺にいる猫たちはほとんどが「さくらねこ」だが、どの猫も人間たちに過度にこびることはなく、どこか高貴な雰囲気を漂わせている。門番をしながら観光客の撮影モデルもこなすシロキジ猫、城郭回りの神聖な杜に隠れ棲む白猫、首里城がライトアップされる宵闇時になると現れるシャム系猫など、それぞれに個性的でもある。
カメラを向けると跳ねるように緑の中へ逃げた白猫。神猫図の猫に佇まいが少し似ていた
首里城公園を後にして周辺を散策してみると、薄れつつあるとはいえ、首里にはまだ「古都」の雰囲気が残っていることに気づかされる。赤瓦屋根の家、曲がり角の石敢當、花と緑に彩られた石塀……昔ながらの町並みは、どれも島猫によく似合う風景だ。
猫たちを驚かせないように、足音も立てずに静かにスージぐゎー(筋道)を進んでいくと、門扉の上に二匹の白猫が向き合ってシーサーのように鎮座していた。いつか撮影したいと願っていた夢のシチュエーション……! ゆっくりと近づいて数枚シャッターを切ると、現代の神猫たちは一目散に逃げて行った。
シーサーに見守られながら、毛色の違う4匹を子育て中の母猫
城下町の風情がチラホラと残っている首里のスージぐゎーには猫がよく似合う
石敢當と一緒にマジムン(魔物)からまちを守るんニャ~
*島猫映画『Nyaha! 』完成!初上映イベントを沖縄で開催します。
●日時:2018年12月1日(土)15時〜/17時〜
※15時の回は上映後に仲程長治監督の舞台あいさつ、17時の回は上映前によしもと沖縄芸人による島猫コーナーあり。公演の詳細とチケットのご予約はこちらから↓
http://www.yoshimoto.co.jp/okinawakagetsu/pc/schedule12.php#day01
*「琉球島猫百景」から日めくりカレンダー「島猫めくり」が誕生しました。31枚の写真と島猫からのメッセージが、毎日の暮らしをゆるくピリっと引き締めてくれるはず。公式ショップにて発売中です。詳細はこちら→https://nyaha.official.ec/
*「第10回沖縄国際映画祭」で上映されたプロローグ編『Nyaha! Part#0』(54分作品)を公式ショップにて配信中です。
公式ショップ→https://nyaha.official.ec/
公式インスタグラム→https://www.instagram.com/nyaha_28/
公式フェイスブック→https://www.facebook.com/nyaha28/
公式ホームページ→http://www.nyaha.ryukyu/
*本コラムの姉妹企画「琉球百景」は、沖縄発信の季刊誌『モモト』(編集工房 東洋企画)で好評連載中です。
*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!
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仲程長治(なかほど ちょうじ) 1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。20代の頃より沖縄県内であらゆる分野のアートデザインを手がける。琉球・沖縄の文化誌『モモト』の撮影とアートディレクションを32号まで担当。2018年冬に沖縄本島北部で開催される「やんばるアートフェスティバル2018-2019」の総合ディレクター。現在、西表島の自然と暮らしをテーマにしたドキュメンタリー映画を撮影中。 |
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シマネコキネマ 島猫映画『Nyaha!』(ニャハ!)(撮影・編集・監督/仲程長治、音楽/宮沢和史、脚本原案/仲村清司)の制作プロダクション。 沖縄の猫メディアの面々と共に、沖縄の島猫の地位向上を目指す「島猫力向上委員会」を発足、「ニャハ市長選」などを企画・開催している。 |