琉球島猫百景
#13
宮古島〈1〉ミャークヌカギマユ
写真・仲程長治 文・シマネコキネマ
島の神様の懐で、幸せそうに子育てをしていた母子猫
ロケーション撮影では何度となく訪れている宮古島だが、「島猫」を意識して巡るのは初めてのこと。「島のどこに猫がいる?」と宮古の友人たちに聞いてみたところ、「どこにでもいるから気にしたことがない」という正しい答えが多かった。
そんな中でも、「猫といえばここかな」と数名が教えてくれたのが漲水御嶽(はりみずうたき)だ。宮古島最高の聖地と言われる漲水御嶽には、撮影前のご挨拶で何度も訪れているのだが、正直なところ、そんな自分たちも「そういえば猫がいたような…?」という認識だった。
元気いっぱいの子猫たち。ガジュマルに見守られながら遊んでいた
子どもたちが遊び始めると、母さん猫は平御香漂う拝所でお昼寝
宮古島の創世神話の残る漲水御嶽は、地元の人たちの信仰も厚く、その日もたくさんの人たちが拝みをしていた。正面の拝所で撮影のご挨拶をして、大きなガジュマルの木に守られた拝所を回ると、真っ白な母猫が子猫たちにお乳を飲ませている最中だった。神様も猫も驚かさないようにそっと近づき、静かに撮影させてもらう。やがてお腹がいっぱいになると、子猫たちはガジュマルの枯れ葉やセミの抜け殻で遊びはじめた。沖縄本島の市街地ではもうあまり見ることができなくなってしまった、穏やかな子育ての風景に心が和んだ。
集落の石敢當の前に座り、じっとこちらを見ていた猫
ニャンですか? お昼寝中のところ起こしてスミニャセン!
その後もいくつかの集落や公園、歓楽街などを回り、島猫映画『Nyaha!』の撮影で培った「島猫センサー」を張り巡らせて、宮古島の猫たちを探してみた。すでに真夏の太陽が照りつけていた島では、風通しの良い涼しい場所を探せば、島猫たちを見つけることは難しくはない。出会った宮古の猫たちは、来訪者である私たちをそれほど恐れず、カメラを向けると、「ニャンですか?」と好奇心旺盛な瞳で見つめ返してきた。
市街地の店先に置かれた鉢植えの影から様子見
こちらも鉢植えの影からひょっこり覗き見
2日間、宮古島とその周辺離島を巡ってみての感想を、本連載の撮影を担当している仲程長治監督に聞いてみたところ、「宮古島の猫はスタイリッシュだね」とのこと。確かに太り気味の猫は皆無で、しなやかな体つきと、大きくパッチリとした目が印象的な美人猫やイケニャンが多かった。ちなみに、今回のタイトルの「ミャークヌカギマユ」とは呪文ではなく、宮古の方言で「宮古の美しい猫」という意味である。
ミャークヌライダーマユ! なんともスタイリッシュ
撮影協力・日本トランスオーシャン航空
*「琉球島猫百景」から日めくりカレンダー「島猫めくり」が誕生しました。31枚の写真と島猫からのメッセージが、毎日の暮らしをゆるくピリっと引き締めてくれるはず。ただいま予約受付中です。→https://nyaha.official.ec/
*島猫映画『Nyaha!』(ニャハ!)は2018年秋より一般公開予定。「第10回沖縄国際映画祭」で上映された同映画のプロローグ編『Nyaha! Part#0』(54分作品)を公式ショップにて配信中です。
公式ショップ→https://nyaha.official.ec/
公式インスタグラム→https://www.instagram.com/nyaha_28/
公式フェイスブック→https://www.facebook.com/nyaha28/
公式ホームページ→http://www.nyaha.ryukyu/
*本コラムの姉妹企画「琉球百景」は、沖縄発信の季刊誌『モモト』(編集工房 東洋企画)で好評連載中です。
*本連載は毎月22日(=ニャンニャンの日)に配信予定です。次回もお楽しみに!
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仲程長治(なかほど ちょうじ) 1959年、石垣島生まれの写真家、アーティスト。20代の頃より沖縄県内であらゆる分野のアートデザインを手がける。琉球・沖縄の文化誌『モモト』の撮影とアートディレクションを32号まで担当。2018年冬に沖縄本島北部で開催される「やんばるアートフェスティバル2018-2019」では昨年に引き続き、総合ディレクターを務める。 |
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シマネコキネマ 2018年夏に完成、秋より一般公開予定の島猫映画『Nyaha!』(ニャハ!)(監督/仲程長治、音楽/宮沢和史、脚本原案/仲村清司)の制作チーム。現在、琉球朝日放送(QAB)の夕方のニュース番組「Qプラス」/毎週金曜日のエンディングにて「琉球島猫百景」の映像を放映中です。
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