旬の地魚を味わう全国漁港めぐり
#12
【6月の旬魚02】銚子「入梅鰯」、能登「鯣烏賊」
「本当に旨い魚を現地でいただく!」をテーマにお届けする「全国漁港めぐり」。
今回は関東から6月の旬魚②、千葉県銚子の「入梅鰯」、石川県能登の「鯣烏賊」をお届けします。
利根川河口につくられた銚子港。銚子大橋が対岸の茨城県神栖市と結ぶ 写真:「漁港の正月」嶋田徳寿
特定第3種漁港の一つ、銚子港は全国一の水揚げ量を誇る。銚子沖は、黒潮と親潮が交錯し、さらに市北部を流れる利根川からの淡水が加わり、プランクトンが大量に発生する好漁場となっているからだ。
もっとも水揚げされるのはマイワシやカタクチなどのイワシ類。銚子で水揚げされたものはエサをたっぷり食べ、丸みを帯びて太っているのが特徴である。特に梅雨の頃から獲れるマイワシは「入梅イワシ」と呼ばれ、最高に脂が乗って人気が高い。少ないときの倍以上という脂の乗りで、他の時期とは比べ物にならないほどの旨さだ。塩焼き、煮付け、つみれ、なめろうなどいろいろ楽しめるが刺身が一番。一口食べればその違いがわかる。
水揚げ日本一のイワシでも
最高に脂が乗った夏は別格
フライや刺身などいろいろな料理に合うイワシ
IWASHI ‐S a r d i n e‐
鰯(イワシ)ニシン科の青魚。北海道から九州に分布。動植物プランクトンをエサに1年で全長15cmほどまで成長。25cmほどの大きさになるが、過去には35cmを越えるものも。群れをつくり沿岸からやや沖合の水深100mぐらいまでの間を遊泳。仲間にはカタクチイワシやウルメイワシなどがいる。漢字で鰯と書くのは、弱くて死にやすい魚だからといわれている。カツオやマグロ、クジラなどのエサにもなり、海の食物連鎖では最下部に位置する魚でもある。
イワシは巻き網漁で漁獲。鮮度が命、水揚げも手早く。 銚子港は、北海道から沖縄までの沖合漁船の一大拠点地。
震災被害から再建されたばかりの新第一漁港に併設された漁協直営食堂「万祝」
【住所】千葉県銚子市飯186 【電話】 0479-21-6671【営】8:00~15:00(L.O.14:00)、火曜定休
Wosse21
【ウオッセ21】
写真提供:銚子市
日本人がもっとも食べる魚介がイカ類だ。スルメやコウ、ヤリ、アオリなどその種類は多い。大きくはスルメなどの細長い筒状のツツイカと、身体に硬い甲を持つコウイカの2種類に分けられる。
日本近海でもっとも獲れるのがスルメイカである。春から夏北上し、秋から冬に南下する。エサとなる小魚が多い石川沖には5〜8月に滞留、日中は海の下層を、夜は海面近くで活動している。
夏のスルメイカ漁は集魚灯を利用するため、沖合に瞬く漁火は石川の風物詩となっている。県下の金沢や輪島など各漁港に揚がるが、能登半島西側の富来(とぎ)漁港(写真・右上)には、イカはじめ地の魚を使った回転寿司店(右下)がオープンし人気となっている。
能登沖に集まるイカの大群
沖に瞬く漁火は夏の風物詩
SURUME-IKA
‐J a p a n e s e c o m m o n s q u i d‐
鯣烏賊(スルメイカ)北海道から九州までの日本周辺の海に広く分布。1年で寿命を終える1年魚。胴長が30cmほどまで成長。夜行性で小魚などを捕食。秋生まれと冬生まれ、春から夏生まれの3系統があり、それぞれ回遊するため1年中獲れる。日本でもっとも漁獲量が多く馴染みの深いイカでもある。地域によってはマイカと呼ぶところも。生でも焼いても煮ても、また干しても旨い。塩辛やいしりなどの加工品にもなる万能な魚介。
Ishiri/Ishiru 「いしり・いしる」
写真提供:石川県
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