旅する&恋する! 韓国ドラマ
#03
韓国創作ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』開幕!
文・『韓国TVドラマガイド』編集部/梶原知恵 撮影・桜井隆幸
「こんな舞台見たことない…」と、きっと言葉が漏れる
韓国創作ミュージカル『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』は、炎の画家として知られるゴッホと彼を支え続けた弟テオの物語。彼らが交わした700通にも及ぶ書簡をベースに繰り広げられる2人芝居だ。2014年2月にソウルで初上演され、翌年すぐに再演された人気作品が、いよいよ日本版として開幕する。映像を駆使した舞台美術と、絆以上の深いつながりを感じさせる兄弟のドラマは、見逃したら絶対にソン! 自信を持ってゲキ押しする!
ゴッホの絵の中にいるみたい!?なマッピング美術
ミュージカルというと、ストーリーとそれを彩る音楽に目が向けられるだろう。もちろん本作も類いまれなるドラマとスコアを十分に楽しめるのだが、今回の見どころはそれだけではない。韓国上演時にも話題になった「プロジェクションマッピング(以下、マッピング)」を駆使した舞台美術も今作のポイント。主人公・ヴィンセントが歩くと背景の道も動き、まるで自分も絵の中にいるような、一緒に歩いているような不思議な感覚を体験できる。
また、マッピングは真っ白なキャンバスにも映し出され、瞬きをしている間にそこにパッとゴッホ作品が現れて……。役者の動きや心情に合わせて背景のマッピングが自在に動いたりして、くすぐったい感覚も覚える。これはこれまでにない体感。映像と演技の融合に圧倒されること間違いなしだ。
(左)色鮮やかなゴッホタッチの背景が、プロジェクションマッピングで舞台いっぱいに広がる。
(右)キャンバスに映し出されたゴッホの作品。
日本版『ゴッホ』は、単なる兄弟愛じゃない!?
自らの手で37年間の生涯を閉じた炎の画家・ゴッホと、兄を支え続けた弟・テオ。韓国オリジナル版では二人の兄弟愛をドラマティックに描いて喝采されたが、日本版はさらにその関係性を深化。韓国版のヴィンセントとテオの関係を糸が真っすぐピーンと張られた状態にたとえるなら、日本版のそれはどこかたゆんでいたり、結び目があったりして、まさに“一筋縄ではない”関係を描いたと言えるだろう。
兄弟愛は確かにあるのだが、二人の中には愛だけでなく互いへの憧れのほか、羨ましさや疎ましさ、優越感や劣等感も行き交う。また、一般的にゴッホは弟・テオに依存しているように思われているが、この作品を見ると「果たしてそうだったのだろうか?」という疑問も浮かぶ。人間の嫌な部分や弱い部分も押し出し、より人物を立体的に描き出しているのが日本版と言えるのだ。
(写真・左)兄・ヴィンセント役の橋本さとし。(右)弟・テオ役の岸祐二。
実力派俳優たちの演技に、ゾクッとなってゴクリとする
タイトルロールのヴィンセント役には橋本さとし、テオ役には岸祐二というミュージカル界を代表する実力派俳優がコンビを組んで出演。プライベードでも兄弟のように仲のよい二人は、まさにヴィンセントとテオそのもの。明るいシーンはとにかく明るくて、こういってはなんだが二人の絶妙すぎる間合いがとにかくたまらない。また、深刻なシーンはとにかく深く、背筋がゾクッとして目を背けたくなる怖さもある。
彼らのほかに、ヴィンセント役には泉見洋平と野島直人、テオ役には上山竜治、入野自由がそれぞれコンビを組んで個性をぶつける。コンビネーションが違うとひと味もふた味も違った、ヴィンセントとテオに会えるのも本作の面白さだ。
公演の様子
日本版『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』は、ゴッホの色彩やタッチのように、舞台美術をはじめ、音楽もドラマも、俳優たちの演技も大胆でありつつ、繊細で緻密だ。明るい部分はことさらに輝いているのだが、だからこそ影の部分は際立って深くて暗い。たった二人で演じられているミュージカルではあるが、舞台から溢れてくるものは二人で演じている以上のものをたっぷりと感じられるだろう。
舞台上ではヴィンセントとテオが対話をしながら物語は進んでいくが、劇場を訪れたのならぜひ、舞台とそして彼らと対話をしながら見てほしい。
*9月2日、かめありリリオホールプレビュー公演の前日に行われた、最終リハーサルの公式舞台映像ダイジェストを特別公開!
(ヴィンセント役・橋本さとし、テオ役・岸祐二)
●『ヴィンセント・ヴァン・ゴッホ』公演情報
作:チェ・ユソン 音楽:ソヌ・ジョンア 映像:コ・ジュウォン
上演台本・演出:河原雅彦 訳詞:森雪之丞
出演:橋本さとし 岸祐二 泉見洋平 野島直人 上山竜治 入野自由
[日程]上演中~9月24日(土)
[会場]紀伊国屋サザンシアター
[公式サイト] https://musical-gogh.themedia.jp
[チケット料金] 7,800円(全席指定・税込)
[公演スケジュール]
[チケットお問合せ] サンライズプロモーション東京/電話0570-00-3337(全日10:00~18:00)
*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!
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