料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
#49
家族揃って初冬の東京旅
文と写真・山本益博
「アマン東京」のメインダイニング「アルヴァ」、
東銀座「銀座八五」、一番町「鮨みずかみ」へ。
11 月、ロンドン在住のピアニストの娘が、東京、名古屋、山口でコンサートを開くために、一時帰国しました。東京では、サントリーホールの小ホール「ブルーローズ」での開催、300 人近いお客様にヴァイオリンとのデュオとピアノソロを聴いていただきました。
3 つのコンサートのあと、遠出の休息は難しかったので、東京のホテルに家族で1 泊することにしました。選んだ宿は「アマン東京」、7 月にでかけた志摩の「アマネム」が良かったのと、インバウンドの外国のお客様にとても評判がよいので、ここに泊まることに決めました。
場所は大手町、東京の「超」がつく一等地にあります。ビルの33 階にあるレセプションルームは、巨大な吹き抜けのスペースが都会の贅沢感を演出しています。このフロアにメインダイニングの「アルヴァ」があります。
用意された客室は38 階にあり、眼下に皇居、遠くには新宿の超高層ビル群が眺められ、陽がゆっくりと沈んでゆく夕刻の眺めはなんとも壮大な黄昏で、東京も捨てたものじゃない、と思えた一刻でした。
ディナーはイタリア料理の「アルヴァ」で。時期が白トリュフの季節の真っ只中でしたので、パスタやリゾットに白トリュフを散らした贅沢を楽しみました。白トリュフはシンプルな料理に威力を発揮します。ラヴィオリやリゾットの上にスライスされた白トリュフがかけられると、たちまち妖艶な香りがテーブルの上に立ち昇ります。本当に魔法の茸です。
ご主人の水上行宣さん
「鮨みずかみ」で存分に鮨を堪能した娘は、数日後、食べるスケジュールも完璧にこなして、ロンドンへ飛び立っていきました。
「アマン東京」のクリスマスツリー前で
次回は、燕三条です。
*この連載は毎月25日に更新です。
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山本益博(やまもと ますひろ) 1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。
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