<時間旅行>戦前日本の日記
和8年:警察学校を卒業。新人警察官として勤務を始めたばかりの男性。#戦前の日記 #1933年6月28日
10代後半もしくは20代前半の男性。警察学校を卒業し新人警官として勤務中。11月12日、12月23日、2月19日、3月29日、4月26日、5月17日、5月31日の日記と同じ人物。
この日記を書いた男性は東京は下町の警察に勤務する警察官だ。この日は賭場開帳の噂を聞きつけ現場に急行したものの空振りに終わるってしまったようだ。 おそらくこのときの賭場で行われていたと考えられるのは「手本引き」だろう。 現在は博徒がする賭博といえば丁半ばくちを思い浮かべる人も多いだろう。しかし、賭場といえば戦前戦後にかけて主流だったのは手本引きだ。 手本引きとは、1人の親と数人の子が行う賭博で親が1から6の数字を選びそれを子が予想するというものだ。 この賭博は偶然やカンよりも親の性格や癖、過去のデータなどを駆使して予想するもので、その心理的攻防戦の興奮度は非常に高いといわれている。この手本引きは博徒の間では、丁半博打よりも遥かに格上と考えられ「究極のギャンブル」、「賭博の終着駅」と呼ぶ人もいたほどだった。
【昭和8年の出来事】 1月 ヒトラーが独首相になりナチス政権樹立 2月 『蟹工船』の小林多喜二が特高警察により逮捕。拷問により殺される 3月 三陸地方大地震。津波により多くの被害が出る 9月 伊勢丹が神田から移転し新宿に出店