<時間旅行>戦前日本の日記
和4年: 20代前半と思われる男性。 1929年12月24日
東京で建築や工業を学ぶ学生をしていたが、現在は実家のある静岡県に戻ってきている。
彼は7月くらいまで東京で大学生をしていたのだが、就職などに悩み、結局うまく立ち行かず、この時は実家に戻り家の手伝いをしつつも日々無為に時を過ごしている。この日記が書かれた昭和4年は、未曾有の就職難の時代だった。小津安二郎の映画『大学は出たけれど』が公開されたのもこの年だ。統計によれば当時の大卒者の不就職率は40%を超え、大学専門部卒業者に至っては80%以上と、昨今の就職氷河期どころではなかった。日記を書いた青年もそんな状況にあったようだ。
【昭和4年の出来事】 2月 東京市で説教強盗妻木松吉が逮捕 2月 大正天皇の第3皇男子・宣仁親王が、徳川喜久子と結婚して高松宮家を創設 4月 寿屋(現サントリー)が初の国産ウイスキーを販売。価格は4円50銭 4月 新宿と片瀬江ノ島を結ぶ小田原急行電鉄江ノ島線が開通 6月 隅田川に厩橋完成 6月 北海道駒ヶ岳が噴火 8月 ドイツの大型飛行船・ツェッペリン伯号が霞ヶ浦海軍航空隊施設に降り立つ 9月 小林多喜二の『蟹工船』が発売 10月 NY証券取引所で株価が大暴落。世界恐慌の引き金に 11月 光州学生事件 12月 東京駅に八重洲口開設