<時間旅行>戦前日本の日記
和11年: 石川県金沢市近辺の工場で働いている20代男性。前日に起こった二二六事件で東京はこの日も戒厳令下にあった。1936年2月27日
二二六事件で東京はこの日も戒厳令下にあった。ラジオや新聞の報道なども非常に限られてたものであり、人々は不安な時を過ごしていたようだ。日記を書いた男性は「大官の暗殺は愈々最近の流行の形になった感なきにしも非ず」と記しているが、まさに当時は、政治家や軍部高官らを襲撃する事件が相次いでいた。 昭和7年の5月15日に武装した海軍の青年将校らが総理大臣官邸に乱入し、当時の総理大臣犬養毅を殺害。さらには他の大臣官邸、政党本部、警視庁、変電所、三菱銀行などを同時に襲い軍による政権奪取を狙ったのが、文中にもある五.一五事件。 さらには文中で永田事件として触れられている、前年の昭和10年8月12日には、陸軍中佐が、対立する永田鉄山軍務局長を、陸軍省において白昼斬殺した一件。他にも、昭和8年には右翼によるクーデター計画が発覚した神兵隊事件、昭和9年には陸軍士官学校を起こったクーデター未遂事件など、同様の事件は枚挙に暇が無い。 そんな社会情勢をうけて二二六事件は起こった。日記を書いた男性は、事件を起こした青年将校たちと同世代であり、昭和維新を叫ぶ彼らに色々と想うところがあったようだ。
【昭和11年の出来事】 1月 日本がロンドン海軍軍縮会議から脱退 2月 全日本職業野球聯盟設立 2月 二・二六事件勃発し東京市に戒厳令布告(7月まで) 5月 阿部定事件 8月 ベルリンオリンピック開幕 9月 ソ連にてスターリンの粛清が始まる