台湾の人情食堂

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#98

食べ歩きのコツと美味しい店探しの法則〈前編〉

文・光瀬憲子

 昨年、台湾を鉄路で一周しながら各地で食べ歩きをして、あらためて食べ歩きのコツと美味しい店を見極める法則があると感じた。そこで今回から2回に渡って、台湾旅行の初心者でも実践できる「食べ歩きのコツ・美味しい店探しの法則」をお教えしよう。

 

法則1:人だかりを探す 

 日本でも言えることだが、台湾でも混雑店は美味しい。だが、混雑の仕方に違いがある。たとえば、レジから整然と1列に行列ができていたとすれば、そこは確かに人気店だが、並んでいるのは地元民ではなく観光客である可能性が高い。外国人旅行者や、遠くからわざわざ食べに来た人たちだ。美味しいことには違いないが、案外、地元の人はあまり食べない店だったりする。

 では、どんな混み方が本当に美味しい店なのか? それは、人だかりだ。きちんと行列になっていないが、大勢の人がごちゃっと群がっている店が地元の人気店である。店頭で席が空くのを待つ人、会計を待つ人、テイクアウトを待つ人などが立っていて、いまひとつ整理されていないが、地元の常連客は注文するときの手順や席に座るタイミングなどをちゃんと心得ている。

 こういう店はちょっとハードルが高いが、思い切って近づき、店員らしき人に「1人」とか「2人」など直接人数を伝えて、店内で食べたいと言うといい。そうすると、席に案内してくれたり、待つ場所を教えてくれたりする。お昼どきや夕飯どきはこういう人気店を見分けやすいので、あえてピークの時間帯に食堂をめぐり、人気店を押さえておいて、空いた頃に再訪して食べるというのも賢いやり方だ。

 

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人気朝食店のひとだかり。食べ物を用意する店員や席を待つ客が入り混じっていた

 

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人気食堂の前はテイクアウトを待つ人やこれから注文しようとする人でごったがえしていた

 

法則2:廟前を探す 

 美味しい店は廟の周辺にある。台湾では、どんなに小さな町にもたいてい廟がある。町の人たちが気軽に訪れてお参りをしたり、占いをしたりする場所だ。

 台湾に住む漢民族の多くは中国大陸から移住してきた人たちだ。彼らは海を渡るとき、「媽祖」という海の女神像を船に乗せ、無事台湾に到着したとき、媽祖様を祀る廟を建てた。だから人が根付いた土地には媽祖廟がある。人々は廟に集まり、人の集まるところには市場ができた。古くからずっと続く店は廟の周りにあるのだ。

 たとえば、台北の龍山寺周辺には昔から東三水街市場という朝市があり、この周辺はグルメの宝庫だ。高雄の保安宮廟前には街でもっとも有名な腸詰屋台がある。基隆の廟口夜市は、廟の入り口からずらりと屋台が並ぶ大型夜市だ。小さな町の小さな廟でも、その周辺には味のある老舗がたいていある。スマホのマップでまずは町の廟を探し、そこから名店を探してみよう。

 

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台北、大稻埕(ダーダオチェン)の慈聖宮前。広々とした境内の前には屋台が並び、昼酒を楽しめる

 

04台北、艋舺(バンカ)の清水巖祖師廟。廟に向かって右手には牛肉炒めで一杯飲める大衆酒場が、左手には人気のお粥専門店がある

 

05雙連朝市の真ん中に構える文昌宮。市場での食事や買い物ついでに参拝する人も多い

 

法則3:ロータリーを探す 

 廟よりももっとわかりやすいのがロータリーだ。ロータリーは台湾では圓環と呼ばれる。日本時代に作られたものが多いが、ロータリーというのは交通量が多い町の中心部にあり、そこには旨い店も集まっている。

 スマホのマップを拡大して町を俯瞰すると、どこにロータリーがあるかすぐわかる。地図上で丸い円を描いている場所がそれだ。台北の圓環といえば南京西路と重慶北路が交わる交差点が有名。ここは美味しいものが多いことで知られる寧夏夜市の入り口にもなっている。

 台南市内にも圓環はいくつもあり、西門圓環には虱目魚(サバヒー)やラム肉の有名店が集まっている。新しい町を訪れるときは、まず地図で圓環の場所を確認してみてほしい。

 

06嘉義市の東公有市場そばにある大きなロータリーには、『黒人魯熟肉』をはじめ人気店が軒を連ねる

 

07『黒人魯熟肉』の魯熟肉とは、豚モツのスライスや練り物のこと

 

(つづく)

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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