韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#97

映画館でのトークショーレポート

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 連載中のソウルの川辺特集は1回お休みさせていただき、先日の日本出張について書くことにする。

 前回(9月)のトークイベントは新刊発売記念のイベントで版元の双葉社の主催だったが、今回の主催は映画配給会社だ。6月から日本で公開中の映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』を鑑賞したあと、エンドロールを観終わったばかりでまだ余韻にひたっている人たちを対象に、『韓国映画と旅と恋』というテーマで45分間、話をした。

 

01映画鑑賞+トークイベントの会場となったユジク阿佐ヶ谷

 

02『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』は、吉林省の延辺朝鮮族自治州出身のチャン・リュル監督作品

 

映画館で話すという興奮体験 

 映画館(韓国では劇場=グッチャンという言い方が一般的)という空間が好きで、日本に来ると、目当ての映画がかかっているわけでもないのに、小さな劇場を訪れたりする。埼玉県川越市にある100年以上の歴史のあるスカラ座をこの目で見たときなどは大いに興奮したものだ。

 今回の会場は中央線沿線の『ユジク阿佐ヶ谷』。雑居ビルの地下にあるミニシアターだが、女性スタッフの心配りが随所に感じられる素敵な空間だった。

 劇場内でお客さんを前にしゃべるというのは、とても緊張しそうだと思っていたのだが、照明が落としてあるので、蛍光灯で煌々と照らされる空間よりよほど話しやすかった。これはクセになりそうだ。

 

03おかげさまでイベントのチケットは50枚近く売れ、劇場内には補助席まで設置された

 

『韓国映画と旅と恋』ベスト10 

 今回は、『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』に出演した俳優のエピソードを話したあと、あらかじめピックアップした旅心と恋心を刺激する韓国映画10作品の魅力について語った。ここではそれをダイジェストでお送りしよう。

 

04トークイベントでは、韓日の寛大な関係者のおかげで映画の一部を映写することができた

協力:ミラシン・コリア、西ヶ原字幕社、イ・チャンホ監督、ノ・ヨンソク監督、A PEOPLE

 

 

第10位 ひと夏のファンタジア(2015年) チャン・ゴンジェ監督 キム・セビョク、岩瀬亮主演

 韓国人が奈良県五條市を旅する話。韓国人目線での日本の田舎町の描写は新鮮。市井の人々のなにげないひと言が印象に残る。

 

第9位 秘花 スジョンの愛(2000年) ホン・サンス監督 イ・ウンジュ、チョン・ボソク、ムン・ソングン主演

 一人の女性(故イ・ウンジュ)を巡って、ソウルの街をさまよう男二人。筆者の行きつけの酒場に至る路地(仁寺洞と鍾路3街の間)が登場していたことに最近気づいた。

 

第8位 気まぐれな唇(2002年) ホン・サンス監督 キム・サンギョン、チュ・サンミ、イェ・ジウォン主演

 江原道の春川と慶尚北道の慶州が舞台。ソウルの仁寺洞や益善洞のような観光地になる前の慶州の姿が見られる。キム・サンギョンとチュ・サンミがソジュを何本も空ける焼肉店は城東市場に現存する。

 

第7位 昼間から呑む(2009年) ノ・ヨンソク監督 ソン・サムドン、イ・ラニ主演

 江原道の旌善や鏡浦台を訪れた若者の珍道中。旅はけっしてドラマチックではないということを突き付けられる。それでも旅はやめられない。

 

第6位 慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ(2014年) チャン・リュル監督 パク・ヘイル、シン・ミナ主演

 旅の途中で素敵な人と出会うことはあるにはあるが、たいていその数倍の気まずい思いもセットになっている。本作を見て慶州に出かけた人は少なくない。しかし、シン・ミナやパク・ヘイルのような人に会えたかどうかは不明。

 

第5位 神様こんにちは(1987年) ペ・チャンホ監督 アン・ソンギ、チョン・ムソン、キム・ボヨン主演 

 夜汽車、ヒッチハイク、田舎町の宴会、出逢いと別れなど、旅心を刺激する場面が多い。旅のゴールは慶州の瞻星台(チョムソンデ)。※YouTubeで視聴可

 

第4位 往十里(1976年) イム・グォンテク監督 シン・ソンイル、キム・ヨンエ主演

 日本から十数年ぶりに帰国した謎の男性(シン・ソンイル)がソウル往十里に数日滞在する。経済力で北朝鮮に後れをとっていた70年代の韓国ソウルの街並みが見もの。※YouTubeで視聴可

 

第3位 旅人は休まない(1987年) イ・チャンホ監督 キム・ミョンゴン、イ・ボヒ主演  

 それぞれ、わけあって北朝鮮との国境線近くにやってきた男と女が、わずかな時間いっしょに旅をする。陰鬱なセピア色の画面処理は日本の東映の仕事。※YouTubeで視聴可

 

第2位 鯨とり コレサニャン(1984年) ペ・チャンホ監督 アン・ソンギ、キム・スチョル、イ・ミスク主演 

 気弱な大学生と経験豊富なホームレスが、だまされて娼婦になった田舎娘を故郷に送り届けるロードムービー。キム・スチョルが担当した音楽と名優アン・ソンギの踊りは白眉。※YouTubeで堂々と視聴可

 

第1位 カンウォンドの恋(1998年) ホン・サンス監督 オ・ユノン、ペク・チョンハク主演

 道ならぬ恋に落ちた女子大生と大学講師が、微妙にすれちがいながら江原道の雪岳山や鏡浦台、大浦港を旅する。講師役のペク・チョンハクは『サニー 永遠の仲間たち』『次の朝は他人』『私の頭の中の消しゴム』『春の日は過ぎゆく』にも出演。チョイ役でも存在感がある。

 

 トークイベントでは時間が足りず話せなかった、「韓国のロードムービーは『なぜ江原道が舞台になることが多いのか?』『なぜ男二人、女一人の組み合わせが多いのか?』」については、またの別の機会に書くことにする。

 

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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