韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#88

私の地元、ソウルの東、千戸洞写真館〈後編〉

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 私が40年以上住んでいるソウル東部の下町、千戸洞(チョノドン)の空気を伝える連載2回目は、かつてこの街の中心地だった千戸市場交差点から始めよう。

 

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ソウル中心部の生活市場の多くが、統一されたデザインのゲートや看板でリモデリングされているなか、千戸市場は放ったらかし感が強い。そのため、昔の風情がそのまま残されている

 

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こちらは丸い形の統一看板が採用されているソウル中心部の生活市場の例。色は青、オレンジ、白がある。これらは市や区から提供されるケースがほとんど

 

千戸市場 

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千戸市場交差点の目の前にある入口から市場に入ると、右手にはチヂミなどのつまみで飲ませる屋台風の店があり、その先には漬物屋がある。もう少し奥に入ると、右手に鶏肉や犬肉を扱う精肉店、その向かいに子供用のチマチョゴリをディスプレイした韓服店、さらに行くと瀬戸物屋や布団屋……。こうした無秩序な感じも生活市場ならでは。今は内部に入れば入るほどさびれて、空き店舗も多いが、かつては生活市場としてはソウル東部最大規模だった

 

消えゆく紅灯街 

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千戸市場に入り、突き当りを左方向に歩くと、ハングルで「青少年通行禁止区域」と書かれた横断幕のある通りに入る。そこが千戸テキサスと呼ばれる50年以上の歴史がある紅灯街(色街)だ。写真は2018年末に撮ったもので、まだところどころ灯りが見られた。今は灯りはさらに少なくなったが、2019年中の撤去が予定されている

 

市場の奥にまた市場、東ソウル市場 

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千戸市場を突き当りまで行くと、さらに薄暗い通りがある。店がぽつぽつとあるので、かろうじて市場なのだとわかるが、ここが本当にソウルか? と思うほどさびれている。外国の人には最初は少し怖く感じられるかもしれないが、この雰囲気になれてくると、不思議な安らぎを感じるようになるだろう。この通りを抜けて外に出て後ろを振り返ると、「東ソウル市場」という看板が目に入る。1970年代、私は母に連れられてここでよく買い物をした

 

市場の奥にまた市場、千戸ティッ市場 

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千戸市場の突き当りから右方向に歩き、ゴマ油や唐辛子を売る店などを左手に見ながら進むと、外に出る。丁字路で左方向を向くと、その先の道が二又に分かれている。その右側の屋根付きの細い道が千戸ティッ市場だ。ティッとは裏のこと。先の東ソウル市場のような正式名称がないところがもの悲しいが、私がこの辺りでいちばん好きな場所である。そのまま進むと、左手に屋台が移動するのに疲れ、決まった場所で商いを始めたように見える酒場がある

 

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カウンターに腰かけて、生マッコリを頼む。目の前にある食材を焼いてもらったり、辛く炒めてもらったりできる。手ごろなのはテジモリと呼ばれる豚の頭部の肉。これは脂が旨い。かたまりをスライスしてもらうだけなので、すぐ出てくる。青唐辛子の千切りと生ニンニクを添えて、味噌につけて食べる。これぞ庶民のつまみ。そこに生マッコリを流し込む

 

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生マッコリを一本空けて店を出る。ビニールカーテンの向こう側が愛おしくて、もう一度戻りたくなる

 

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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