台湾の人情食堂

台湾の人情食堂

#88

『台湾vs韓国』講座ダイジェスト〈1〉

文・光瀬憲子 

 台湾と韓国、両方訪れたことがある人は多いだろう。だが、リピーターとなると「どちらも同じくらいリピートしている」という人は少なく、たいてい台湾か韓国のどちらかに偏っている。それぞれリピートする理由はさまざまだが、先日、東銀座で「韓国旅行との比較で語る台湾旅行の魅力」をテーマに講座を行った。今回からそのおさらいをしつつ、台湾旅行の魅力を再認識してみたいと思う。

 

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『台湾vs韓国』の講座は、一般社団法人アジア未来ラボの主宰で7月20日(土)銀座で行われた

 

 

繁体字vsハングル 

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台北の昆民街の韓国料理店のメニュー。繁体字なのでどんな食べ物なのかイメージしやすい

 

 同じアジア圏にありながら、独自の表音文字「ハングル」が発達してあまり漢字を使わなくなった韓国に比べ、台湾は漢字大国。中国本土では簡易化された「簡体字」と呼ばれる中国語が使われているが、台湾は本来の旧字を生かした「繁体字」が使われているため、日本人にとってもなじみがある。

 台湾に降り立ち、あたりを見回して思うのは「漢字が読める」ことだ。ハングルは勉強しないとお手上げだが、台湾では看板、道路標識、乗り場案内、店名や営業時間、食堂のメニューにいたるまで、パッと見ただけでなんとなく理解できてしまう。これは旅行者にとって安心できるポイントだ。ストレスなく、行きたい場所や食べたい物を選ぶことができる。

 

多彩なホルモン料理vs焼肉 

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台湾では豚肉料理といえば茹でモツ、韓国ではサムギョプサル

 

 食べ物に関してはどうだろう。韓国料理はやはり焼き肉のイメージが強く、牛肉料理が安くはないが充実している。一方の台湾では豚肉料理が主流だ。豚肉を調理させたら世界一ではないかというほどの台湾人。耳の先からしっぽの先まで、余すところなく豚肉を美味しく食べることに長けている。

 また、焼き肉という定番の調理法が目立つ韓国に対して、台湾は煮込んだり湯がいたり、干したり、漬けたり、と調理法もバラエティに富んでいる。台湾の豚モツなどは、しっかりと下処理をした新鮮なものを使うため、焼かずにさっと湯がいただけで美味しく食べられる。

 さらに豚の目、歯茎といったレアな部位を朝から提供する店も少なくない。滷味(ルーウェイ)と呼ばれる豚肉や野菜の醤油煮込みも台湾独特の調理法で、豚のあらゆる部位をうまく調理し、柔らかいまま提供してくれる。

 

安価な小皿料理vsつきだし 

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韓国(写真右)の食堂では何を注文してもキムチやナムルの小皿が数皿添えられる

 

 しかし、野菜に関しては韓国に軍配が上がりそうな気配がある。韓国料理の副菜(つきだし)の多さは有名で、朝昼晩外食してもまず野菜不足にならない。副菜の料金は主菜の料金に含まれていて、おかわりもできる。

 とはいえ、台湾の食堂も豚肉ばかり出しているわけではない。台湾に暮らし始めた頃、食堂や屋台で注文するたびに店の人が「野菜は何にする?」と聞いてくることに気づいた。外食文化が根付いている台湾では、外食時に野菜を摂るのが当たり前になっている。店には必ず数種類の青菜が用意されており、炒めたり湯がいたりして提供する。だから店員は「野菜炒めは要りますか?」ではなく「どの野菜を炒めますか?」と聞くのだ。韓国と違って有料だが、1皿50円程度。主菜の値段は総じて韓国より安いので、たいした負担ではない。

 

茶藝館vs伝統茶室 

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左が台北の茶藝館、右がソウルの伝統茶室

 

 お茶とスイーツに関しては台湾に軍配が上がりそうだ。台湾のお茶といえばもちろん烏龍茶だ。韓国にも、映画『慶州(キョンジュ)ヒョンとユニ』(東京アップリンク吉祥寺や大阪シネ・ヌーヴォで公開中)に登場したような伝統茶室があり、伝統茶を楽しむことができるが、もとを辿れば韓国の伝統茶は中国茶にルーツがあり、その淹れ方や茶葉も中国のそれと似ていてオリジナリティに乏しい。

 一方の台湾は、高山が多いため、美味しい茶葉が育ち、古くからお茶の栽培が盛んに行われてきた。台湾は農業大国だ。野菜、果物、茶葉など、改良に改良を重ねて土地に合う美味しい食材を育てることに注力してきた。阿里山茶、梨山茶といった高山の最高級茶葉は中国本土でも手に入らない台湾のオリジナル。茶葉に恵まれた台湾では飲茶人口が多く、そのため茶藝館も多い。古い日本家屋や古民家を利用したものから、現代風のモダンな茶藝館までまさざまだ。食べ歩きに疲れたら、茶藝館でゆったりとした優雅なひと時を過ごすのもいいだろう。

 

台湾の多彩な伝統スイーツ 

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左が台湾のタピオカ入り豆花、右が韓国のパッピンス

 

 台湾スイーツの世界は実に奥深い。タピオカをはじめとするかき氷や豆花のトッピング群もオリジナリティにあふれていて種類が豊富だ。日本でもマンゴーかき氷、タピオカ、豆花などが話題となっている台湾スイーツ。夏はマンゴーのシーズンなので、美味しい地元産のマンゴーを安くいただくことができる。

 また、小さなタピオカのような「西米露」、タロイモとさつまいもの団子をお汁粉風に煮込んだ「芋圓」、愛玉という天然の木の実から作られるヘルシーゼリー「愛玉氷」、白玉団子によく似た餡入り団子のスープ「湯圓」、苦味と甘味のバランスが絶妙な仙草ホットゼリー「燒仙草」、ピーナッツをクタクタに煮込んだ甘いお汁粉「花生湯」などなど、古くから伝わる知恵と地元の食材を生かした台湾伝統スイーツが親しまれている。

 

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台湾ではかき氷屋さんスイーツをつつく男性2人組の姿(左端)も珍しくない

 

 洋風のケーキは苦手…という男性やお年寄りからも、台湾伝統スイーツは支持を集めている。台湾には「スイーツ男子」なる甘党男子が多いが、彼らは「甘い物」というよりも、豆花や愛玉といった身体に優しい健康スイーツを好んで食べているようだ。いかつい中年男性2人が顔を突き合わせながら豆花を食べている…なんていうのは、台湾ではわりとよく見る光景なのだ。

 

 次回は台湾と韓国の市場、離島、リゾート地などを比べてみよう。

 

(つづく)

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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