台湾の人情食堂

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#85

西台北の輝き再び〈5〉台北駅裏編

文・光瀬憲子 

地元民に愛される豚肉唐揚げ丼 

 西台北特集の5回目は、前回に続き、台北駅裏のスポットを紹介する。

 台湾には魯肉飯、鶏肉飯など、小さな丼の上に肉が乗ったものが数種類ある。ただ、どれもサイズが小さめで、ほかに肉や野菜を頼むのが普通だ。

 だが、台北駅裏の路地には、いつも地元客でにぎわっている大きな豚丼の店『阿吉小吃店』がある。近所の市場やドミトリーで「美味しい店は?」と聞くと、たいていこの店の名前が挙がる。ただ、営業時間が午前10時から午後3時頃までと短く、常に混雑しているので、これまでなかなか入ることができなかった。

 

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雨の昼下がり。路地裏の屋台にはやっぱり人だかりが。もちろん、テイクアウトもできる

 

 やっと小さな店の奥に席を確保できたのは雨の日の午後2時。まだ客はいたものの、昼どきほど混雑していない。さっそく名物の紅焼肉飯(60元)を注文。なるほど、ラーメンどんぶりよりはやや小さいが、日本の牛丼よりも大きい。ここに茹でキャベツと豚肉の唐揚げスライスがびっしりと載っている。かなりのボリュームだが、肉は薄切りなので女性でも食べやすい。無料でスープが添えられるのもうれしい。

 

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白米の上にたっぷり載った豚唐揚げのスライスと茹でキャベツ。台湾の丼としてはかなり大きめだ

 

 この店には、黒白切(ヘイバイチエ)と呼ばれる豚モツのスライスもある。部位を指定すると、1人前を出してくれる。大好物のコブクロは新鮮でプリプリしていて美味だ。日本人の感覚だと、ビールや焼酎がほしくなってしまうが、アルコールは置いていない。これも台湾らしいといえば台湾らしい。

 

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コブクロにはたっぷりのショウガが添えられ、甘辛い醤油ダレに浸って出てくる

 

美人女将の屋台で米粉スープと揚げ豆腐 

 路地裏をぶらぶらと歩いていると、開店支度をしている屋台に目が留まる。若い女性がひとり、テキパキと食材を用意している。女将だろうか? 働き者の美人妻、といった雰囲気に魅せられて、そのまま開店を待ち、丸椅子に座った。ここは米粉スープと厚揚げが人気の屋台。店の名前は特にないようだ。行き交う人々を眺めながら、看板メニューが出てくるのを待った。

 

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重慶北路と重慶北路一段83巷の交差点の小さな屋台。看板メニューは米粉スープと厚揚げ

 

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女将さんとご主人のどちらかが屋台に立つようで、この日は女将さんの番だった。テキパキと注文をさばく姿に好感が持てる

 

 女将は口数が少ないが、それでも常連らしき客にニコニコと対応する。出てきた米粉スープと厚揚げは、真っ白のスープと米粉に刻んだセロリが入っただけで、さっぱりとした優しい味付け。女将の雰囲気に似つかわしい。

 豆腐はふわふわで柔らかく、薄味なのでたくさん食べられてしまう。これはいい屋台を見付けた。また美人女将の笑顔見たさに、足を運んでしまいそうだ。

 

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裏路地の小さな屋台でいただくシンプルな米粉スープと揚げ豆腐。優しい味の虜になる

 

 

香港でおなじみの縮れ麺そぼろ肉ソースがけ 

 台北駅周辺の飲食店は店じまいが早い。さあ夕ごはんは何にしようか思いながら歩いていると、20時まで営業している『珍珍水餃』があった。

 水餃子が売りの店だが、もうひとつの隠れ人気メニューが撈麵(縮れ麺)のワンタン乗せ。黄色く縮れた麺は香港ではわりとおなじみなのだが、台湾ではあまり見かけない。細くて噛みごたえがあり、ギュッと肉が詰まったワンタンとよく合う。

 

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台北駅の裏で20時まで営業している食堂『珍珍水餃』。近所に宿泊している旅行者や地元の人々で夜も賑わっている

 

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台湾では少し珍しい縮れ麺(乾麺)のワンタン乗せ。大き目のワンタンなのでお腹がいっぱいになる

 

 お腹が空いているならスープありの湯麺がおすすめだが、筆者の好みはスープのない乾麺。そぼろ肉のソースが縮れ麺によく絡む。これで仕事納めのビールがあれば……と、やっぱりほんの少し残念に思いつつ、麺の歯ごたえを楽しんだ。

 

 

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 本コラムの筆者・光瀬憲子が、『韓国との比較で語る台湾旅行の魅力』講座を行います。詳細やお申込みは下記で。

https://www.facebook.com/418443838950536/posts/462244171237169/

 

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*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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