韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#83

古くて新しい鍾路3街の歩き方〈3〉

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 “おしゃれ”な街並みと“DEEP”な街並みがまだら状に組み合わさってできている鍾路3街(チョンノサムガ)の魅力をお伝えしているが、今回はこのエリアの輪郭部分、外周を歩いてみよう。下の地図の赤い線で示した部分がそれだ。

 

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※地図はクリックすると大きくなります

 

清渓川添い 

 昨年11月、東京で鍾路3街に関するトークイベントを行うときに調べてわかったのだが、鍾路3街は意外と広く、南は清渓川(チョンゲチョン)の手前までを含んでいる。

 2年半前に双葉社から出した『韓国ほろ酔い横丁 こだわりグルメ旅』で取り上げたシュポ(小さなよろずや。クモンカゲともいう)『ソウル食品』は、このブロックの町工場街にある。最近は若者、それも女性客が増え、気候がよくなってからは店の前後左右に簡易テーブルが置かれるほどの繁盛ぶりだ。

 

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ますます人気の『ソウル食品』。終業した隣りの工場の前にまでテーブルが

 

 韓国の若者が古いものをかっこよいと思うようになったこと、長引く景気低迷で懐具合がよくないこと、そして、この一帯の再開発が話題となっていることも、こうした店の人気に拍車をかけているのだろう。

 

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『ソウル食品』は周辺の町工場のおじさんたちの購買部的な存在なのだが、最近、若い女性客も珍しくなくなった

 

 いつ行っても混んでいるうえ、最近は女将がまめまめしく働く様子を愛でることができる1階の特等席の確保が難しくなっているため、私はここからもう少し北寄りに新たなアジトを見つけた。そこは『ソウル食品』のように収容力がないので、あまり知られ過ぎると常連さんが気の毒かもしれない。女将に相談の上、9月発売予定の次回作で取り上げたいと思っている。

 

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新たに巣くっているアジトで昼酒を楽しむ筆者

 

宗廟の西側 

 鍾路3街駅11番出入口から歩道をそのまま進むと、左手に新緑がまぶしい宗廟(ジョンミョ)市民公園が見えてくる。その手前を左折してしばらく行くと、左手に立ち飲み屋が2軒ある。

 マッコリや焼酎が1杯1000ウォンで飲める店で、つまみはテーブルに並べられたキムチやナムル、煮干しや乾きものをつまようじでつついて食べる。

 

05左端が立ち飲み屋『トゥンスネ』。右側に宗廟の緑が見える

 

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飲み物代を払うだけで、作り置きのつまみが自由に食べられる


 私がよく行くのは手前の『トゥンスネ』のほう。女将は気のよい人で日本人も歓迎してくれる。客はお年寄りばかりで、韓国の若者や女性客はまず見かけないが、最近、読者の女性が一人で訪れ、常連のハラボジ(おじいちゃん)たちにえらく可愛がられたという。臆せず入ってみてほしい。

 

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外国人、しかも女性となると、常連のおじいちゃんたちが放っておかない 

 

 

西スンラキルを北へ 

 立ち飲み屋を出て左手に進み、右手の宗廟沿いの道が西スンラキルと呼ばれる通り、スンラは巡邏、キルは道のこと。朝鮮王朝時代、宗廟の警備員が歩いた通りだ。

 

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十年ほどまえの西スンラキル

 

 ほんの数年前までは静かな通りで、私も「この辺りに小さなマッコリ酒場でも出せたらなあ」と妄想したこともあるのだが、この西側の伝統家屋街・益善洞(イクソンドン)の隆盛により、おしゃれなカフェやバーが何軒もできている。

 

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昨年の秋から冬にかけてのスンラキルの様子。隣りが宗廟ということもあり、狭い路地に店がひしめいている益善洞と比べると、落ち着いた店が多い

 

屋上酒場 

 西スンラキルをさらに北上すると、左手はまだ益善洞化が進んでいない住宅街なのだが、最近、この辺りにセンスのよいプチホテルがいくつかできていて、屋上が流行のルーフトップバーになっているところが多い。

 言うまでもなく私は日本でいう赤ちょうちん派で、おしゃれな店には積極的には行かないのだが、まあ、おつきあいなどもあり、夜風に吹かれながらワインなどを飲んだりしている。

 

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屋上がルーフトップバーになっている歓農洞(クァンノンドン)のホテル・エイメス


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北方向に南山とソウルタワーを望む

 

 これも多面体、鍾路3街の魅力のひとつ。シュポとはまたちがった、もうひとつの外飲みスタイルを経験するのもよいだろう。

 

(つづく)

 

*筆者の近況はtwitter(https://twitter.com/Manchuria7)でご覧いただけます。

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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