ブーツの国の街角で

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#83

ルーマニア・トランシルヴァニア地方: 〜ブーツの国を飛び出して〜(5)

文と写真・田島麻美

 

 

掘り出し物が満載! ルーマニアのショッピング事情

 

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 現地の予備知識をほとんど持たずに旅したトランシルヴァニア地方。行った先々で美味しいものを発見したり興味深い歴史・文化に触れたりと、予想外の体験に満ちていたのだが、中でも嬉しい驚きだったのがショッピング。「トランシルヴァニア旅行の記念にドラキュラグッズの一つでも買ってくるか」という程度の考えしかなく、正直言ってルーマニアでショッピングをするなんて想像していなかったのだが、街歩きをしていると思わず足を止めたくなる素敵なグッズがそこかしこで売られていてテンションが上がりっぱなしだった。しかも値段がびっくりするほど安く、品質が高い掘り出し物ばかり。手作りの工芸品から高級スキンケア製品まで、ルーマニアに行ったら絶対ゲットしたい特産品の数々をご紹介しよう。
 

 

 

1・手描き陶器
 

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 ユネスコの世界無形遺産にも指定されている「ホレズ陶器」に代表される手描き陶器製品はルーマニア土産の代表格。伝統技法を用いた独特の風合いが特徴のホレズ陶器はホレズ修道院があるホレズ村で作られているが、それ以外の街でもその土地独自のデザインや柄を用いた様々な陶器が見つかる。私が気に入って購入したのはホレズ陶器よりもかなりお手頃なトランシルヴァニア地方の伝統柄が入った手描き陶器。写真上の絵皿は42Lei(約千円)、写真下のミルクピッチャーとコーヒーカップもそれぞれ数百円という安さだった。自分用はもちろん、プレゼント用にも気軽に買えるお値段が嬉しい。但し、ホレズ陶器はやはり別格で、数千円〜数万円の予算が必要。主な観光地のデパートやお土産店ならどこでも置かれている。
 

 

2・刺繍製品

 

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   トランシルヴァニアは知る人ぞ知る「刺繍の聖地」。この地方のカロタセグ村で古くから伝わる伝統の手刺繍は「イーラーショシュ・ステッチ(Irasos stitch)」と呼ばれ、世界中の刺繍ファンの憧れの的。村の女性たちが何世代にも渡って受け継いできた技法とデザインは、毎日見ていても飽きない素朴な自然美にあふれている。刺繍製品はコースターからブラウス、ワンピースなどバラエティ豊かなアイテムがそろっていて、刺繍の柄や色なども文字通り目移りしそうなほどバリエーションに富んでいるので、予算と好みで自分だけの一点を探してみるといい。値段は伝統柄を使った機械刺繍のブラウスなら千五百円前後で見つかるが、これが全て手刺繍の製品だと2倍から3倍の値段になる。手刺繍製品は複雑で細かい柄であればあるほどお値段も高くなるので、製品を吟味して選びたい。
 

 

3・天然蜂蜜

 

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  品質の規格基準が高く、検査も非常に厳しいEU諸国の中でも飛び抜けて高品質で生産量も多いことで知られるルーマニアの天然蜂蜜。日本の某蜂蜜会社も製品の原料となる蜂蜜はルーマニアから輸入しているのだそうだ。アカシア、ミレフィオーリ(多種の花のミックス)、菩提樹、ひまわりなど、どれも野生の花々から集められた蜂蜜は豊かな自然そのものの美味しさで、栄養価も非常に高い健康食品として愛用されている。蜂蜜以外にも高品質のプロポリス、キャンディなど、蜂蜜を使用した製品はルーマニアのどの街でも手軽に見つかる。食材店、スーパーはもちろん、路上にも蜂蜜売りの売店などが出ている。
 

 

4・イースターエッグ

 

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 緻密な柄を本物の卵の殻に一つ一つ手描きで装飾したイースター・エッグもルーマニアを代表する工芸品として名高い。カラフルでエキゾチックな独特の装飾を施した卵は見ているだけでもうっとりするほど美しい。本物の卵の殻を使った製品は当然ながら中身を取り出して殻だけにしたものに装飾しているので、非常に繊細で壊れやすい。本当はこれが欲しかったのだが、持ち帰る時に壊してしまう危険性が高かったので泣く泣く断念し、代わりに木製の卵に装飾したイースター・エッグを買って帰った(写真上)。
 

 

5・木彫り工芸品

 

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  木製の雑貨やキッチン用品がとても豊富なルーマニア。手の込んだ装飾が施された料理用スプーン、サラダボウル、写真立てなど、お土産にも喜ばれそうな品々が手頃なお値段で手に入る。飾りにするのもいいが、実用品として使い込めば使い込むほど風合いが増していくという楽しみもある。普段、旅先では「本当に気に入った物を一つだけ」をモットーに買い物をする私も、今回は一つだけに決められず結局写真の5つを買ってしまった。それでも30分以上吟味してようやく5つに絞ったのだ。お値段は一つ25Lei(約600円)だったので、躊躇せずにまとめ買いすることができた。
 

 

6・アンチエイジング化粧品『ジェロビタール』

 

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  美容大国ルーマニアが国家プロジェクトで研究・開発を進めるアンチエイジング化粧品の集大成とも言えるのが『ジェロビタール』。日本はもちろん、世界中で流通している製品なのでご存知の方もいるかもしれない。アナ・アスラン博士が独自の研究に基づいて開発したジェロビタール製品は、スキンケア製品というよりも「若返りの薬」としてその名を世界に知らしめ、抜群の効果があることで愛用者が急増している。高価な製品として認知されているが、実はルーマニアで買うとびっくりするほど安い。私も街の薬局に飛び込んで、試しに「一番効果が期待できる製品をくれ」と言ってみたところ、高級ラインのホワイトニング+アンチエイジングのクリームをお勧めされた。お値段は約3千円。後でネットで調べてみたら、同じ製品が日本で2万円以上のお値段で販売されていた。ジェロビタール製品はラインナップも非常に豊富で、数百円程度のジェルやハンドクリームから数千円の高級ラインまで幅広くそろっている。どの街でもスーパーか薬局で購入できる。
 

 

7・天然バスソルト

 

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 あまり知られていないが、実はトランシルヴァニア地方には500年近くの埋蔵量を誇る巨大な塩鉱山があり、この地方の経済活動の重要な資源となっている。地下120mの深さに広がるサリナプレイドの塩鉱山は地下都市となっていて、内部を見学することもできる。一方、その周辺にあるソヴァタは塩鉱山からつながる天然の洞窟を使った温泉があり、16世紀から欧州の重要なスパリゾートとして栄えてきた。ナトリウムと塩素が豊富な温水、そして泥パック療法は特に有名で、婦人科系、リウマチ、静脈瘤や末梢神経系の病気に高い効果があると言われている。この天然の塩鉱山から採れる塩を原料としたバスソルトは可愛いだけでなく健康にも良いお土産品で、天然のハーブを混ぜたものやアロマソルトも人気だ。薬局やスーパーでも入手できる。
 

 

8・ドラキュラグッズ
 

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 トランシルヴァニアでお土産といえば、やはりドラキュラグッズは欠かせないだろう。ルーマニアならどこへ行ってもドラキュラグッズは簡単に手に入る。Tシャツ、マグネットなら数百円から、豊富な種類・デザインの中から選ぶことができる。マグカップやビールカップ、栓抜きなど、奇抜なデザインのグッズは見ているだけでも面白いが、中には手に取るのを躊躇してしまうようなグロい品もある。ウケ狙いでお土産にしてもいいが、迷惑がられる可能性も高いので、ドラキュラグッズを買う時はできるだけ無難なアイテムを選んだ方がいいかもしれない。
 

 

ルーマニアのお金について
 


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 ルーマニアはEU加盟国だが、通貨はユーロではなく独自の「Leu/レウ(複数形はLei/レイ)」が流通している。1レウは約25円(2020年2月13日のレート)。ショッピングには当然現地通貨レウが必要で、両替は街中にある両替商で行う。両替にはその都度手数料がかかるので、必要な分だけをその都度両替して使い切るようにした方がいい。ほとんどのスーパーや商店、レストランではクレジットカードが利用できるので、現金はそれほど必要ない。現金が必要になるのは屋台や市場、バールのカフェ、バスの切符など小額な出費がある場合に限る。観光地では有料トイレが多く、トイレを使用する際に1〜1.5レイが必要になる。また、レストランやタクシーを利用した場合、通常10%のチップを置いていく。

 

 

<参考サイト>

ルーマニア観光・商務局公式サイト(日本語)

https://www.romaniatabi.jp/

 

 

 

 

*この連載は毎月第2・第4木曜日(月2回)の連載となります。次回は2020年8月27日(木)掲載予定です。お楽しみに! 

 

 

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田島麻美 (たじま・あさみ)

千葉県生まれ。大学卒業後、出版社、広告代理店勤務を経て旅をメインとするフリーランスのライター&編集者として独立。2000年9月、単身渡伊。言葉もわからず知り合いもいないローマでのサバイバル生活が始まる。半年だけのつもりで暮らし始めたローマにそのまま居座ること19年、イタリアの生活・食文化、歴史と人に魅せられ今日に至る。国立ローマ・トレ大学マスターコース宗教社会学のディプロマ取得。旅、暮らし、料理をメインテーマに執筆活動を続ける一方、撮影コーディネイター、通訳・翻訳者としても活躍中。著書に『南イタリアに行こう』『ミラノから行く北イタリアの街』『ローマから行くトスカーナと周辺の街』『イタリア中毒』『イタリア人はピッツァ一切れでも盛り上がれる』他。

 

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