韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#81

古くて新しい鍾路3街の歩き方〈1〉

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 伝統家屋をリモデリングしたおしゃれなカフェやバー、レストランが並ぶ益善洞(イクソンドン)が大人気なこともあり、ソウルでも俄然存在感を増してきたのが、益善洞を含む鍾路3街(チョンノサムガ)エリアだ。

 おじさんの歓楽街、旧市街のDEEPゾーンのイメージが強かったが、益善洞のおかげでハードルが低くなり、日本の旅行者の姿もよく見かけるようになった。

 今回から数回に渡り、このエリアを散歩しながら鍾路3街全体像をつかんでみよう。

 

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※地図はクリックすると大きくなります

 

待ち合わせは鍾路3街駅5番出入口付近 

「おじさんが多いなあ」

 日中、仁寺洞のメインストリートから東方向に進み、楽園商街ビル1階部分のトンネルを抜けて鍾路3街駅の5番辺りに出る。あるいは鍾路3街駅の改札からエスカレーターを乗り継いで5番の階段から地上に出ると、だれもがそう感じるだろう。

 

01仁寺洞方向から見た楽園商街ビル1階部分のトンネル(車道と横断歩道)

 

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楽園商街ビルのトンネルを抜けると、すぐ右手に楽園洞の象徴といえるヘジャンクッ屋さんがある。牛肉でダシをとりダイコンの干し葉や豆腐といっしょに煮込んだスープにごはんとカクトゥギが付いて2000ウォン

 

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トンネルを抜けると鍾路3街5番出入口が見えてくる。女子や若者が増えたのはこの左手にあるおしゃれゾーン、益善洞のせい

 

 おじさんやおじいさんが多いのは、5番出入口のあるソンヘギル(人気MCソン・ヘの名が冠された商店街)を南方向に進み、屋台が集まっている通りを右に曲がったところにあるタプコル公園があるせいだ。かつては日本の植民地支配からの独立運動の拠点だったが、いまは中高年男性の憩いの場となっている。

 

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鍾路3街5番出入口を背に、ソンヘギルから南方向を望む。右手に見える縦書きのバゴタタウンの看板(緑色のハングル5文字)の手前を右折すると屋台街がある

 

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タプコル公園に至る道に集まっている屋台街。お客は高齢者が多い

 

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タプコル公園の周りには安い飲食店が集まっている。左手の貼り紙には、ソジュとマッコリが各2000ウォン、ビールが3000ウォン。ひとり酒セット(ソジュorマッコリ1本+各種チヂミ1品)が5000ウォンと書かれている。中央のニワトリは食材ではなく、店のマスコット。この辺りのお年寄りに可愛がられている

 

タプコル公園の内部。飲食が禁止されているので酔っ払いもいない

 

 そして夜、同じ5番辺りに立つと、独特の雰囲気をもった若い男性の二人組、あるいはグループが多いことに気づくだろう。

 

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鍾路3街5番出入口から屋台通りを挟んだ向こう側の少し薄暗い通り。ここの2本目の路地を右折すると日本人利用者も多いホテルビズがある

 

 彼ら同性愛者がこの辺りに集まるようになった理由については諸説ある。

 そのひとつに、現在のパゴタタウンという雑居ビルがかつて映画館だったとき、そこが俗にいう“ハッテン場”だったというものがある。

 儒教思想が色濃く残る韓国社会で、彼らは日本以上に肩身の狭い思いをしてきたと想像する。だが、10年ほど前、鍾路3街の屋台通りで楽しげに酒を酌み交わす彼らの姿を目の当たりにした頃から、世の中の空気が少しずつ変わったように思える。

 最近では屋台で彼らと隣り合わせると、自然に話しかけ、ソジュを注ぎ合って盛り上がったりする。彼ら独自の文化が日本のそれと共通性があるせいか、屋台通りで出会う彼らには日本語が話せる人や日本通(とくに新宿二丁目)が多い。

 

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週末ともなると、屋台通りはちょっとしたお祭りのよう

 

 ソンヘギルを南下し、タプコル公園の反対側の路地を左折し、そこからさらに細い路地に入ると、彼らが集まるスナック風のバーが点在している。さすがに女の私は入りにくい雰囲気だが、屋台で知り合った男の子にいつか案内してもらいたいと思っている。

 鍾路3街の5番から南下せず、逆方向(北)の屋台通りを渡り、楽園商街ビルを左手に見ながら少し薄暗い路地に入り、そこから1、2本目の路地を右折すると、彼らでなくても入ってみたくなるおしゃれなバーが点在している。

 

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ホテルビズの周辺で見かけたバー。私も男性と2人で2度ほど入ったことがある 

 

 女性だけだと「ご遠慮ください」と言われることもあるが、店が比較的空いているときで、少人数の男女混成グループなら入れてもらえる場合もある。

 

(つづく)

 

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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