韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#80

群山写真館〈後編〉

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 前回に続き、この一年で三度訪れた全羅北道の港町・群山(クンサン)の写真を見ながら、その魅力をお伝えしよう。

 

観光資源としての日本家屋 

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群山を初めてじっくり歩いたのは2004年冬のこと。当時は日本家屋を観光資源として生かそうなどという動きはまったくなかった。たまたま雪が降っていたこともあり、朽ちかけた瓦屋根の家々が雪をかぶった姿は、日本の田舎町そのものだった。その後、2013年に訪れたとき、群山港に近い旧市街地に日本家屋を大幅改装した旅館風ペンションを目にして、衝撃を受けた。この手法で観光地化に成功した例としては、全羅南道の木浦(モッポ)や、慶尚北道の九龍浦(クリョンポ)などがある。

上の写真は、1920年代に建てられた日本家屋を生かした宿『ゲストハウス イウッ(IUT)』から観た、旧・広津家(#79参照)。下の写真は増築した建物の中身がもともとは日本家屋であることをガラス張りで示したもの。

 

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『ゲストハウス イウッ(IUT)』の玄関に至る路地、前庭、客室(オンドル)。

住所:群山市新興洞57-10 TEL 010-4048-8811(9時~21時まで対応)。2人用客室は1泊50,000~60,000ウォン、3人用客室は70,000ウォン。いずれも週末はプラス10,000ウォン。

 

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『ゲストハウス イウッ(IUT)』は、チャン・リュル監督の映画『群山』(パク・ヘイルとムン・ソリ主演)の舞台。この『群山』同様、地名を冠した同監督作品『慶州 ヒョンとユニ』は今年の初夏、東京のユーロスペースやシネヌーヴォで公開予定。詳細はこちら→http://apeople.world/gyeongju/

 

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日本の寺院そのままの姿を残す東國寺(トングクサ)も、群山を代表する観光資源。複雑な日韓関係を象徴する場所でもあるのだが、韓国の若い観光客が無邪気に写真撮影する様子が印象的だった。

 

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群山で撮影され、日本でも韓流以前から人気のある映画『八月のクリスマス』の写真館セットの真向かいにある韓式食堂『ハニルオク』。ソコギムウクッと呼ばれる牛肉と大根とネギを煮込んだスープ(9,000ウォン)が人気だが、タックッという鶏のササミのスープ(8,000ウォン)も、キムチの汁を加えると美味しい。ほかにシレギクッ(ダイコンの干し葉スープ、8,000ウォン)、コンナムルクッ(7,000ウォン)などがある。

 

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『ハニルオク』の建物は、群山の別の場所にあった日本家屋を移築したもの。観光バスが大量に乗り付ける人気店なのだから、建物すべてを食堂にしてもよさそうなものだが、2階はオーナーが所有していた家財道具の展示スペースとして開放している。どれも骨董的な価値がありそうだが、食堂の利用者はこれらを自由にさわり、動かすことができるというから驚き。

住所:全羅北道群山市新昌洞2-1 TEL 063-446-5502 4:00~21:30 無休

 

 

レトロおやつ、刺身天国、大衆酒場。すべてが充実 

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1920年に日本人が開業した製菓店があった場所で、植民地支配からの解放の年(1945年)に韓国人が創業した韓国最古のパン屋さん『李盛堂(イソンダン)』。こちらも群山レトロ観光に似つかわしい。あんぱんと野菜パンは行列ができる人気商品だが、他のパンも美味しい。

 

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群山と聞けば刺身を連想する人が多い。観光施設の多い『群山近代歴史博物館』辺りでタクシーを拾い、『美味しい刺身屋さんに行きたい』といえば、連れて行ってもらえる。写真はタクシーに10数分乗ったところにあった店。どれが主菜なのかわからなくなる刺身の波状攻撃に、日本人なら幸せの絶頂だろう。4人でたっぷり飲んで食べて、最後はチゲまで付いて1人当たり40,000ウォン前後と、日本では考えられない安さだ。

 

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昨年、筆者が本コラム#65で発表した『韓国大衆酒場ベスト10 地方編』第1位の『紅チプ(ホンチプ)』。安さ、旨さ、情緒の3つを満たす韓国でも屈指の酒場だ。2月末のこの日、男子3名+女子1名でマッコリを9本、ビールを1本飲み、テーブルを埋め尽くすつまみやアンコウのチゲまで食べて総額65000ウォン(!)だった。女将はやたらと笑顔を振りまくタイプではないが、外国人客でも分け隔てなくもてなしてくれる。

 

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この日、『紅チプ』でとくに美味しかったのは、パクテと呼ばれる黄海でしか獲れない魚。シタビラメの仲間で、こぶりなのに肉が多く、揚げ焼きがマッコリのつまみとして最高だった。女将は「その日の食材を使い切ると、平等につまみを出せないので、早く店じまいすることもあるよ」と言っているので、夕方早めの入店をおすすめする。

住所:群山市新栄洞57-10(群山公設市場内) TEL 063-446-9912  無休 10:00頃~20:00頃

 

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ソウルから群山への移動はソウル駅(写真)または龍山(ヨンサン)駅からKTX山川(サンチョン)に乗って益山(イクサン)まで行き(所要1時間20分)、益山駅から在来線かバスで群山まで30分程度。

 

*取材協力

群山市文化芸術課

全羅北道 国際協力課 国際交流係

 

*4月21日(日)午後、本コラムの筆者チョン・ウンスクが名古屋の栄中日文化センターで講座を行います。テーマは、『心で話そう! 韓国人の心を開く韓国語&コミュニケーション術』(2時間×2コマ)。お申込みは、3月7日(木)午前10時より、下記のフリーダイヤルやホームページで。

栄中日文化センターフリーダイヤル 0120-53-8164

http://www.chunichi-culture.com/center/sakae/

 

*筆者の近況はtwitter(https://twitter.com/Manchuria7)でご覧いただけます。

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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