台湾の人情食堂

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#79

日本や中国で見つけた台湾グルメ

文・光瀬憲子 

 今や日本の若者のあいだで「タピオカ」を知らない人はいないだろう。台湾発祥のタピオカティーは日本各地で飲まれており、人気店には1日中行列ができている。

 90年代に日本に上陸したタピオカティーは2000年以降、徐々に市民権を得て、ここ数年の台湾ブームで誰もが知るドリンクとなった。それ以外にも、さまざまな台湾の食べ物や飲み物が日本上陸を果たしている。

 今回はそんな台湾グルメが外国でどこまで再現できているかについて考えてみたい。

 

本格化が進む日本。値段もお手頃に 

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1日中行列の絶えない渋谷のタピオカ専門店『CoCo』。世界で3000店舗を展開

 

 10年ほど前まで、日本で飲めるタピオカミルクティーのタピオカは小さく、ミルクティーの味も甘みが足りなかったり、逆に変に甘過ぎたりと、台湾本場の味を再現しているとは言いがたかった。

 ところが最近、日本ではタピオカミルクティーの本家本元『春水堂』をはじめ、台湾の人気チェーン『CoCo』、『貢茶』、さらには日本オリジナルの台湾タピオカ店なども出没し、そのレベルはかなり向上している。台湾産の乾燥タピオカ(お湯で煮るとモチモチになる)を使う店もあれば、片栗粉などの原料で独自のタピオカを作る店もあるようだ。

 タピオカティーを提供する店が増えると同時に、日本での単価も下がりつつある。都内のタピオカティー専門店では1杯500〜700円程度が相場だが、中には300円台、400円台で提供する店も出てきている。

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新宿御苑駅のそばにあるタピオカスタンド『QQタピオカ』。テイクアウト客が多く、1杯400円~とリーズナブル

 

大学の学食にも! 

 地方にある某大学の学食では、小さめのサイズだが200円で本格的なタピオカミルクティーを提供しており、女子大生たちのあいだで大人気。台湾での相場(180~200円)にだいぶ近い。

 

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某地方大学の学食で飲めるタピオカミルクティー(200円)

 

 価格帯が下がってきたと同時に、カスタマイズ性の高さが問われるようになってきている。タピオカと組み合わせるお茶の種類、氷の有無、トッピングのバリエーションなどが女性たちのこだわりポイントになっているようだ。

 

豆花も登場 

 タピオカと同様、最近日本で存在感を増しているのが台湾風豆乳プリンの「豆花」だ。もともと豆乳になじみのある日本人にとって、違和感なく受け入れられる台湾伝統スイーツである。作り方も大豆(または豆乳)、地瓜粉(サツマイモ粉)、硫酸カルシウムなどの凝固剤を使えば簡単。各地で開催される台湾グルメのイベントなどでもおなじみのスイーツとなっている。

 

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湘南のアジアンフード・イベントでブースを出す都内の豆花専門店

 

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シンプルな手作り豆花に柔らかく煮たピーナッツと緑豆のトッピング。本場の味に近い

 

 本場台湾の豆花は大豆の味が濃厚で、シロップをかけただけのシンプルなものも多いが、日本で人気なのは何種類ものトッピングが乗った豪華版だ。

 台湾では豆花は1杯30元~40元程度(110円~150円程度)で、身近なおやつだが、日本ではさまざまなトッピングをして600円~900円という価格設定が多い。

 台湾ではどこにでもある豆花だが、日本ではやはりわざわざ食べに行くぜいたくなスイーツという感覚なので、付加価値を付けて販売しているのだろう。トッピングのサツマイモの甘露煮や小豆、ピーナッツなどは本場の味がよく再現されているが、やはり台湾の朝市や夜市で味わうような「できたて感」には乏しい。

 

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日本全土でチェーン展開している『台湾甜品店』の綜合豆花は食べごたえたっぷり。本場よりも豪華な感じがウケている

 

 

日本の魯肉飯は“本場感”不足 

 もうひとつ、日本で広く親しまれるようになった台湾人のソウルフードに魯肉飯(ルーロウファン)がある。本場の魯肉飯は小さな茶碗に盛られた白米に豚肉のそぼろ煮がのったものだ。

 台湾では通常、これに青菜炒めやスープなどを組み合わせて食べるが、日本では「丼もの」として売られていることが多い。小さなどんぶりに入ったごはんとそぼろ肉では、おなかを満たせないので、丼に野菜や大きめの豚の角煮などといっしょに盛り付けたものを一品料理として扱っているのだ。味付けも本場のものより無難な醤油煮込みであることが多い。

 

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横浜の『口福館』の魯肉飯は別名「台湾風肉丼」。がっつり肉が食べられて600円代なのでサラリーマンに人気

 

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鰺の押し寿司で有名な駅弁店『大船軒』が発売している台湾風ルーロー飯弁当(950円)は脂身の少ない大きめの肉が乗っていてヘルシー

 

台湾チマキも 

 新宿御苑のタピオカ専門店では台湾チマキも扱っている。台湾チマキ独特の香りがあり、塩卵や豚肉の角煮が入っている。聞けばオーナーは台湾人だが、台湾でタピオカやチマキを販売していたわけではないという。台湾で飲食店を営む人が日本に店を出す、ということは少なく、あくまでも日本でのビジネス展開を狙う人が多い印象だ。

 

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『QQタピオカ』の手作り台湾風チマキ(500円)。1つでお腹いっぱいになるボリューム

 

 こうした台湾グルメを展開する国は日本だけではない。おとなり中国でも台湾の食べ物やスイーツは人気で、タピオカティーも「台湾風」と銘打って売り出している。

 台湾との文化・経済交流が盛んな広東省深圳(シンセン)で見つけたタピオカティーの店のタピオカはやや小さめで、タロイモやサツマイモの味を全面に押し出したタイプ。甘さは控えめでどちらかというと薄味だが、地元の若者には人気がある。

 

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深圳の大型ショッピングモール内にあるタピオカドリンクスタンド。地元の若者がひっきりなしに訪れる

 

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タピオカはやや小さめで黄色いサツマイモの色をしている。ミルクティーは甘さ控えめ

 

 日本や中国、さらには韓国や東南アジアなど、台湾への渡航客が増えるに連れ、台湾本場の味の再現性が高くなってきている。在外台湾グルメをきっかけが、さらに台湾への旅行者が増えそうだ。

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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