韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#78

写真で語る、全羅北道の魅力〈後編〉

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 今回も前回に続き、私の事務所の日本人男性スタッフ(56歳、初訪韓は1989年)が視察してきた全羅北道(以下、全北)の最新レポートをお送りしよう。

 

全羅北道らしい車窓風景 

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ソウルや仁川から高速バスや列車で全北へ向かうとき、景色が一変するのが益山(イクサン)市辺りからだ。韓国有数の穀倉地帯だけに、遮るもののない田園風景が車窓に広がる。益山市の北に位置する金堤(キムジェ)市は韓国で唯一、地平線が見えることでも有名だ。上の写真はムグンファ号の車内から見た8月後半の車窓風景、下の写真は刈り入れ間近の10月中旬の車窓風景。

 

人気の全州韓屋マウルで “静寂” 探し 

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韓国の地方都市のなかでも内外の観光客が訪れる場所としてもっとも成功したのが全州の韓屋マウル(伝統家屋街)だろう。土日はもちろん、平日でも各地から大量の観光バスが乗り付け、若者たちが吐き出されていく。そのにぎわいはソウルの北村(プクチョン)や仁寺洞(インサドン)、いや、明洞(ミョンドン)に匹敵すると言ってもいいだろう。となると、大人の旅人が韓屋マウルを楽しむコツは“静寂”を探すことになる。写真上は韓屋マウルの東側にあるホテル ル・ウィン(旧リベラホテル) の上階から見た韓屋マウルの全景。一見、静かな街のように見えるが、クローズアップすると、下の写真のような感じ。

 

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韓屋マウルで静けさを感じさせる場所の筆頭が『学忍堂(ハギンダン)』。朝鮮王朝時代末期、中央(ソウル)での政争に敗れて全州に逃げて来た人物によって1908年に建てられた家屋で、今もその子孫が住んでいる。建物は韓国的な造りと日本的な造りが混在していて、その時代ごとの影響がうかがわれる。驚くべきはここに宿泊ができること。金額は1部屋10万程度だが、グループで利用すればそう高くない。

住所:全羅北道全州市完山区校洞105-4

 

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韓屋マウルの南寄りにある慶基殿(写真上左)から貞洞聖堂(写真上右奥)へ向かう道も時間帯によっては静かだ。貞洞聖堂まで行ったら外観を見るだけでなく、中に入ってほしい。その荘厳さは信仰心の有無に関係なく心に残るだろう。

 

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リモデリングされた伝統家屋が目立つ韓屋マウルだが、十年ほど前までは朽ちた建物が多く、それはそれで渋い魅力があった。今でもマウルをくまなく歩けば、写真のような枯れた感じの家屋に出合える。

 

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伝統家屋を改装したおしゃれなカフェめぐりも韓屋マウルの楽しみのひとつ。喧騒に疲れたら、写真のようなゆったりとしたカフェを探してみよう。

 

ぜいたくな貝料理と多彩な地酒 

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黄海(ファンヘ)に面した扶安(プアン)はアサリやハマグリなどの貝の名産地として有名だ。日本では高くて手が出ないものも、こちらなら手ごろな価格で楽しめる。なかでも『名人パジラク・チュク』は人気店。写真上はアサリの辛酸っぱい和え物(中30,000ウォン、大40,000ウォン)。写真中はアサリのスープ(6,000ウォン)。写真下は高麗人参入りアサリ粥で9,000ウォン。

 

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『名人パジラク・チュク』は、お酒は焼酎やビール、マッコリはもちろん、地元の伝統酒も豊富だ。

住所:全羅北道扶安郡辺山面雲山里446-8 ℡:063-584-7171 年中無休 8:30~19:30 (ラストオーダー19:00)

 

 

全州、南部市場の上の注目スポット 

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全州最大規模の市場、南部市場の古びた建物の2階には、『青年(チョンニョン)モール』と呼ばれる、個性的な商店街がある。ここは地元の若者が中心になって2012年5月にオープンにした施設で、工場で大量生産される既製品は扱わず、ぬくもりのあるクラフトや、地産地消にこだわった食べ物や酒を出す店が集まっている。この施設ができた頃、一度訪れたことがあり、そのときは正直、企画倒れで終わるのではと思ったが、あれから8年が経ち、これだけの出店があり、にぎわっているのを見ると敬服せざるをえない。こうした試みの成功例として、他の地方都市も後に続いてほしいものだ。

 

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青年モールの向かい側の建物の2階は広場になっていてる。写真のコンテナを利用したカフェは、なかなか写真映えする。

 

酒飲み天国 

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全州を訪問する人の多くが楽しみにしているのが市内各所にあるマッコリ横丁。25,000ウォンのやかん入りのマッコリ(約2,000㏄)を頼むと、つまみがテーブルを埋めつくす天国のような店が集まっている。昨年は韓国も猛暑で、外出を控える人が多く、廃業する店も少なくなかったが、そのなかでもがんばっているのが西新洞(ソシンドン)に本店を構え、市内でチェーン展開している『イェッチョン・マッコリ』。つまみは、全羅道でよく食べられているエイの刺身を豚肉と発酵の進んだキムチと一緒に食べる三合(サマプ)、コマクという貝を茹でたもの、サムゲタン、焼きサバなどなど。

 

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やかん入りマッコリをおかわりすると、写真のカモ肉炒めやカンジャン・ケジャン(ワタリガニの醤油漬け)など、さらに豪華なつまみが供される。

『イェッチョン・マッコリ』韓屋マウル店 住所:全羅北道全州市完山区殿洞52-2 16:00~24:00 日曜定休

 

ゴージャス韓屋ホテル、全州郊外にオープン 

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ホテル不足が問題視されていた全北だが、ここ数年、かなり解消されてきた。2017年8月、全州郊外にオープンした伝統家屋ホテル『ロイヤル ルーム オブ キング』もそのひとつ。朝鮮王朝の王宮と西洋的なホテルの“いいとこ取り”をした造りで、とにかくゆったりしているのでグループでの利用がおすすめ。料金は1室1泊110,000ウォン程度から。韓屋マウルから3キロほどのところにあるので、自然も豊かだ。

住所:全羅北道全州市完山区春香路5218-20

 

 

*全羅北道 道庁公式HP(日本語)http://jp.jeonbuk.go.kr/index.jeonbuk

*取材協力/全羅北道 国際協力課 国際交流係

 

*4月21日(日)、本コラムの主筆チョン・ウンスクが名古屋の栄中日文化センターで韓国文化講座(2時間×2コマ)を行う予定です。詳細は本連載か筆者twitter(https://twitter.com/Manchuria7)で。

 

*著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属www.k-word.co.jp/ 著者の近況はこちら→https://twitter.com/Manchuria7

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