台湾の人情食堂

台湾の人情食堂

#67

まだまだ暑い高雄で食べたい納涼グルメ!

文・光瀬憲子

 日本は朝晩、少しずつ過ごしやすくなってきたが、台湾は北から南まで、まだ夏真っ盛り! とくに南部は照りつける太陽が容赦ないが、なぜか人々は南へ行くほどエネルギーに満ちている。今回は南部の大都市、高雄で今食べたいグルメを紹介しよう。

 

 

小籠包と小皿料理でビールを

01小籠包の店でビールを出す例は実は珍しい。鹽埕の気軽に入れる食堂『金温州餛飩大王』は昼飲み天国

 

 高雄は広いので台南や嘉義のように一カ所にグルメが凝縮しているというよりは、各エリアそれぞれに特徴的なグルメスポットがある。そんななかでも筆者のお気に入りは大人が楽しめる高雄の下町、鹽埕(イェンチェン)だ。高雄港に近い港町で、かつては日本軍や米軍が拠点としていたため大いに栄えた。その名残りが町の随所で見られるので、どこか懐かしい気持ちにさせられる。

 とは言え、夏の食べ歩きは体力との勝負だ。こまめに水分補給し、冷房にあたりながら少しずつ食べ歩くのがいい。鹽埕の路地裏にそんな夏の食べ歩きにぴったりな店がある。『金温州餛飩大王』はワンタンスープが看板の食堂だが、夏場は肉汁たっぷりの小籠包が売れ筋メニュー。台湾の人たちは小籠包や餃子の類を炭水化物とタンパク質が同時に摂れるお手軽ランチと考えている。1人8個~10個食べてちょうどいいが、旅行中なら2~3人でシェアもできる。

 

02セルフサービスの小皿で野菜を摂れば外食でもかなりヘルシーに。酒の肴になるツマミも豊富

 

 さらにありがたいのは、小皿料理が充実していること。旅行者にとってはセルフサービスなのも注文の手間も省けてありがたい。キュウリや豆類の炒め物や漬物を選べばヘルシーさもアップ。

 そして何よりうれしいのは缶ビールが置いてあること。台湾を何度か訪れるとわかることだが、気軽に入れる麺や小籠包の食堂にビールが置いてあることは少ない。だからこそ、冷房がきいたこぎれいな食堂で、小籠包をツマミに台湾ビールが飲める店というのはとても貴重なのだ。

 

03地元の家族連れやカップルも気軽に立ち寄る『金温州餛飩大王』は観光客率が低い

 

04鹽埕の『金温州餛飩大王』は路地裏にあるので、うっかりすると見過ごしてしまう。昼どきは混雑覚悟で

 

 

ジョッキの生ビールと濃い目の味付けのつまみ

 ビールつながりで、次は缶ビールではなくジョッキの生ビールが飲める店をご紹介しよう。日本人は台湾のような暑いところへ旅行に行くと、どうしてもビールで1日を締めくくりたくなる。いや、昼間からひっかけたいという人も少なくないだろう。

 

05台湾では珍しいジョッキの生ビールが楽しめる『愛河生啤酒小吃部』

 

 そんな呑兵衛にぴったりなのが鹽埕から愛河をへだててすぐのところにある『愛河生啤酒小吃部』だ。台湾ではジョッキの生中を飲める店はとても珍しい。高雄の地元民に愛されているこの店は、ビールのつまみにぴったりなエビ炒めや肉料理が豊富。2、3人のグループで数品頼み、ビールで乾杯するのにうってつけの店だ。中生だけでなく、ピッチャーでビールを頼むこともできる。この店の料理はいずれも味付けがやや濃い目だが、ビールが進むし、発汗でミネラルが失われた身体にちょうどいい。

 

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川沿いにあるところが涼しげな『愛河生啤酒小吃部』。午前11時からやっているが、夜は21時半閉店と早めなので気をつけよう

 

 

鴨肉で鉄分&ビタミン

 高雄の鹽埕といえば外せないのが鴨肉料理の専門店『鴨肉珍』。遠方からはるばる訪れる人で常に行列ができているのだが、並ぶ価値のある間違いない旨さ。冬場は鴨鍋などでが人気の鴨肉だが、実は夏にこそ食べたい栄養食品。牛、豚、鶏などの肉に比べて鉄分とビタミンがとても豊富なので、血液を補い、食欲不振や疲れにとてもよいとされている。

 

07鹽埕の名物店『鴨肉珍』の鴨肉スライス。鴨肉の脂と旨味をしっかり味わえる定番メニュー

 

08ちょっと珍しい鴨のモツプレート。新鮮なので臭みがなく、食べやすい

 

09どちらにするか迷ったら、鴨肉と豚肉が両方乗ったミニ丼を。肉汁がしたたるご飯がたまらない

 

 鴨をじっくり味わうなら、やはり鴨肉プレートだ。鴨のもも肉をスライスしたもので、ショウガの千切りとタレというシンプルな食べ方で存分に味わえる。鴨肉スライスを小さなどんぶり飯に乗せた鴨肉飯も定番メニューだが、魯肉飯と迷った人のために鴨と豚の両方乗せというオプションも用意されている。鴨肉のスライスと、肉汁が染み渡った白いごはんを食べれば翌日の活力が湧いてくる。

 

10大通り沿いに移転してからますます盛況な『鴨肉珍』は平日が狙い目。閉店時間が20時半と早いので要注意

 

 

ラム肉で夏バテ解消

 台湾南部で盛んに食べられているラム肉。台北よりも新鮮な肉が手に入りやすいため、南部の街ではラム肉料理が身近な存在だ。

 高雄も例外ではなく、季節を問わず人々はラム肉に集まる傾向にある。ラム肉スープからラム肉と野菜の炒めものまで食べ方はさまざまだが、ここ鹽埕では真夏でも大繁盛のラム肉鍋『水源羊肉爐』が有名だ。夕方になると半分通りにはみ出した丸テーブルが客で埋め尽くされる。人気の秘密は、ラム肉鍋だけでなく、海鮮も扱っているところ。ラム肉鍋をつつきながら海鮮炒めなどを楽しむことができるバリエーションが受けているのだ。

 

11夏でも人気の薬膳ラム肉鍋。クセのない当帰のスープは日本人にも食べやすい

 

12コトコトと30分ほど煮込んだら食べ頃。ラム肉がホロリと骨から取れるほど柔らかくなる

 

 ラム肉は高タンパクで低カロリーなのでダイエットに最適だが、それでいてスタミナがつくので夏の疲れた身体にぴったり。また、ショウガを一緒に食べることで優れた脂肪燃焼効果があるという。この店のラム鍋は薬膳スープを使っているが、クセのないあっさりとした味付けなので日本人旅行者にも受け入れられやすい。

 

13夏場でも大盛況のラム肉鍋専門店『水源羊肉爐』。夏は海鮮を頼む客も多い。瓶ビールも数種類置いてある

 

 

愛玉ゼリーでクールダウン

 夏の伝統スイーツといえば忘れてならないのが愛玉だ。台北の夜市でも夏になるとよく見かけるが、1年中ほとんど寒くならない高雄では、季節を問わず食べられている。

 

14愛玉の実から作られる愛玉ゼリー。これ自体に味はないので、甘いシロップやレモン汁などと合わせる

 

15見た目も涼しげな愛玉ゼリー。愛玉自体はカロリーゼロなのでダイエットにも最適

 

 愛玉は、愛玉という木の実のタネをしごいて出るゼラチン質を固めたゼリー状の食べ物。それ自体に味がないので、レモン汁やシロップなどと混ぜて氷を入れていただく冷たいスイーツだが、実はさまざまな効能がある。解熱、解毒作業に優れているため夏旅の途中で取り入れると効果的。

 カロリーゼロでありながらも小腹が満たせるので女性にはうれしい限り。さらに胃腸の調子を整えて便秘を解消したり、たっぷりのコラーゲンで老化防止効果も期待できる。

 

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夏になると台北でも専門店が多くなるが、高雄は1年中気温が高いので愛玉屋台もなくならない

 

 昨今は台北をリピートした旅行者が徐々に南部へと流れつつある。思い切って高雄を拠点に台南や高雄の食べ歩きをするのも賢い手だ。スタミナがつくグルメをいただきながら、夏の延長戦を楽しもう。

 

 

*今秋、首都圏で筆者のトークイベントがいくつか行われる予定です。具体化しましたら本コラムやTwitter(https://twitter.com/keyword101)でお知らせします。

 

 

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*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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