旅とメイハネと音楽と

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#66

レシピブック『MEYHANE TABLE More!』発売!!

文と写真・サラーム海上

 

桜の季節の「出張メイハネ」ツアー

 サラームの2冊目の中東料理オールカラーレシピブック『MEYHANE TABLE More! 人がつながる中東料理』(LD&K)が3月27日に発売となった。
 このTABILISTAの連載#01ではシリーズ前作『MEYHANE TABLE 家メイハネで中東料理パーティー』の発売記念出張メイハネを記事にしている。それから三年、読者はご存知のとおり、僕は中東諸国やその周辺国、そして日本全国を周り、注目すべき人々と出会い、中東料理について取材し、作り方を学び、自分でも作り続けてきた。
 バラバラだった素材をいくつかのテーマでまとめ直し、財政的にはクラウドファンディングで368名の支援者の力を借りて、ついに一冊の本を作り上げることが出来た。
 新刊の内容や制作過程は僕のサイトやクラウドファンディングサイト「wefan」https://wefan.jp/crowdfunding/projects/meyhanetable_more をご覧いただくとして、ここでは発売直後の桜の季節の珍道中というか、お祭り騒ぎを記しておこう。
 
 完成した本は3月中旬に版元や僕の手元に届いた。僕にとっては9冊目の著書だが、完成した自分の本を手にするのは何冊目だろうが本当にうれしいんだよ。
 実は焼きなすのタヒーニサラダを単独でアップにした表紙はちょっとしたチャレンジだった。前巻はアボカド・ホモスやビーツのペースト、ババガヌーシュなどの色鮮やかなペースト系の前菜を複数小皿に並べて俯瞰撮影したものだった。それと比べると焼きなすとタヒーニでは色が淡いのでは? 前作同様にカラフルな前菜を複数並べるほうが、書店の店頭で二冊並べた時にシリーズ色が強まるし、何より前菜が沢山並ぶほうが中東料理らしいのではないか? せっかく前作で中東料理の認知度が上がったのだから、同じ路線を貫くほうがいいのではないか? などなど、様々な意見が僕、編集者、デザイナー、版元のプロデューサー(およびLD&Kの女性社員たち)の間で挙がり、何度も何度も意見交換した上で、前作のイメージに引っ張られることなく、新しい試みで行くことを決めた。
 どうせ中東料理なんて99.99%の日本人は興味はないし、存在すら知らないのだ。残りの0.01%の好きモノの皆さんならどんなに新しい試みだろうと受け入れてくれるはず。それに読者やメイハネの参加者は8割以上が女性なのだから、表紙も裏表紙もとびきりガーリーに振り切ってしまえ!と。
 加えて表紙のロゴも前巻の表紙のためにデザイナーが手書きしてくれた重厚なアラベスク調ロゴに、あえてポップなフォントで「more!」とカラフルに上乗せしてもらった。内容こそ前作の続きだが、『MEYHANE TABLE 2』や『続 MEYHANE TABLE』ではなく、『MEYHANE TABLE More!』なのだ。「メイハネテーブル、お代わり〜!」または「メイハネテーブル、もっともっと〜!」なのだよ。手にとった読者がこんな思いを汲み取ってくれたらうれしいなあ。
 それから発売日までの二週間、僕はクラウドファンディング支援者のために400冊 に手書きのサインを入れ、特注したメイハネテーブル・ロゴのゴム印を押し、書店に顔を出し、J-WAVEを中心にラジオでのプロモーションを行って過ごした。

 

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3月12日、ついに『MEYHANE TABLE More! 人がつながる中東料理』が完成!

 

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六本木の新名所『文喫』の一階店頭でも『MEYHANE TABLE More!』展開中!

 

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直筆サインを400冊ノック! 三年前の前作の時と違い、版元の女性たちの力を借りて丸一日で終わりました!

 

 東京の桜が四部咲きとなった3月27日水曜、発売当日は前作と同様に渋谷の『Cafe Bohemia』で70名のクラウドファンディング支援者を迎えて出張メイハネを開催した。

 

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テラス席に桜の枝が飾られた『Cafe Bohemia』

 

 作った料理は下記七種類。

*ホモス
*トルコ産セミドライチェリートマトとルッコラ、胡桃のサラダ、ざくろドレッシング
*クスール(ブルグルの冷製サラダ)
*ローストビーツとガーリック・ヨーグルト・タヒーニのファッテー
*かぼちゃ、にんじん、薩摩芋のスープ、ザータル風味
*牛と鶏の炭火焼きシシケバブ
*いちごとバニラアイスとミントのサラダ、ざくろ濃縮果汁かけ、セモリナ粉のヘルワ

 

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ブルグルの冷製サラダのクスール。こちらは新刊にレシピ掲載

 

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トルコ産セミドライチェリートマトを、ルッコラ、胡桃とともにサラダにして、ざくろドレッシング。こちらは新刊レシピのミニトマトを新食材セミドライトマトに応用

 

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メインディッシュのシシケバブ。新刊に掲載です

 

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いちごとバニラアイスとミントのサラダ、ざくろ濃縮果汁かけ、セモリナ粉のヘルワ。焦がし小麦のヘルワは落雁や八ツ橋を思わせるどこか懐かしい味

 

 基本的に新刊に掲載したレシピを元に、2品には新たに手に入れた食材や新たに知ったレシピを取り入れた。
 渋谷の『Cafe Bohemia』では既に4年以上も出張メイハネを行っているが、これまで最大でも60名ほどで、一度に70名強の料理を作るのは初めてだった。この10名分の差が予想以上にキツかった。
 いつもと同じく午後から店の厨房に入り、ひたすら料理を作り続けたが、食材切りも炒めも煮込みも思った以上に進まない。そして、はかどらないことがいくつか続くと、だんだん集中力が失われ、細部に目が届かなくなる。それでも19時には前菜4種類の目処がなんとか立った。メインディッシュの炭火焼きケバブは二名のスタッフが付きっきりでしっかり美味しく焼き上げてくれた。ふ~、これでなんとか形になりそうだ!
 本番が始まると、後はジェットコースターに乗っているようなもの。僕は進行役兼ホストなので、70数名の支援者の皆さんの席を周り、乾杯し、近況を聞き、新刊制作の裏話を伝える。お客さんの多くはリピーターで、親しい友人も多く、全員が僕の良き理解者だ。本当にありがたい。だが、この日の僕は調理だけで疲れ果ててしまい、いつもなら本番中に写真を撮影しまくり、翌日にインスタグラム投稿を行うのだが、それが出来ず、翌日もベッドから起き上がるのがやっとだった。己の体力の限界を知った一夜だった。

 

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野外ではメインディッシュのシシケバブを炭火で絶賛焼いてます!荒木君いつもありがとう!

 

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広い『Cafe Bohemia渋谷店』で乾杯!皆さんのおかげで新刊出ました!

 

tabilistamtmベリーダンサーNourahも友情出演し、場を盛り上げてくれました!

 

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リピーターの皆さんも楽しんでいただけたようで、ふ~!

 

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『MEYHANE TABLE More!』制作チームも駆けつけてくれました。左から編集の岡村理恵さん、フォトグラファーの櫻井めぐみさん、サラーム、スタイリストの阿部まゆこさん、一番右は同席していた松竹映像センターの安藤さん

 

 二週間後の4月11日、今度は『Cafe Bohemia心斎橋店』での出張メイハネと関西のラジオ・プロモーションのため、僕は大阪へと飛んだ。伊丹空港から大阪モノレールに乗るとちょうど桜が満開。二週間前の東京に続き、大阪でも桜が見られるとはこりゃ幸先がイイ。モノレールから阪急電車に乗り換え、京都四条のFM京都へと直行し、まずは昼の番組に生出演した。そのまま大阪に戻り、南森町のFM802のスタジオでGWの番組のために収録を行い、終了後はスーツケースを抱えたまま、『Cafe Bohemia心斎橋店』に飛び込んだ。ホテルにチェックインするよりも、厨房を目指すのだ!
 初めての店での出張メイハネは事前準備と繰り返しの確認が重要になる。こちらが指定した食材を買ってくれているか? 手に入らなかった食材はないか? 食材の下準備はどこまで終えているか? ひよこ豆は十分に柔らかく煮てあるか? パセリのみじん切りは済んでいるか? トマトペーストの代わりにトマトピューレを買っていないか?(この間違いはしょっちゅう起きるのだ!) 切った野菜を保管出来る大型のボウルやタッパウェアは十分な数揃っているか? プロ仕様のフードプロセッサーを持っているか? オーブンの天パンのサイズは? 天パンを何枚同時に入れて焼くことが出来るか?  シリコンベラやトングは大中小サイズが揃っているか? チーズおろし金は家庭用サイズではないか? スタッフが数十人分のフルコース料理を作るのに慣れているか? いくら確認しても、何かしら抜けがある。初めての店では心配しすぎることはない。
 そんな心配をよそに、『Cafe Bohemia心斎橋店』の原田シェフは、僕との事前のメールでのやりとりに従って、ほぼ一人きりで前日の夕方までにすべて抜かりなく準備していてくれた。これはありがたい! それに今回は参加者が30名と少なめなので僕にも余裕がある。今日はぐっすり寝られそうだ。

 

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関西プロモーションツアーのスタート! 大阪モノレール万博記念公園駅から見た太陽の塔と満開の桜の花!

 

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大阪もりのみやキューズモールBASEまちライブラリーでFM Cocoloの人気番組『SATURDAY MAGNIFICENT CAMP』に生出演!

 

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『Cafe Bohemia心斎橋店』は渋谷よりこじんまりしていて居心地良い

 

 翌12日の午後1時半、『Cafe Bohemia心斎橋店』に入り、原田シェフとともに調理スタート。メニューは下記7点。

*タヒーニ・サラダ
*サラダ・メシュイヤ
*ローストビーツとタヒーニガーリックヨーグルトのファッテー
*人参のモロッカン・サラダ
*エゾゲリン・チョルバス(レンズ豆のスープ、ミントと赤唐辛子味)
*ヨーグルト・シニヤ(揚げなすと牛ひき肉と水切りヨーグルトの重ね焼き)
*ドライフルーツとりんごのコンポート、バニラアイス添え

 

tabilistamtm前菜一品目はタヒーニサラダ。レシピは新刊『MEYHANE TABLE More!』に掲載してますので、ぜひチェックして!

 

tabilistamtm二品目は人参のモロッカンサラダ。レシピは前巻『MEYHANE TABLE』に掲載

 

tabilistamtm三品目も新刊掲載、チュニジアのサラダメシュイヤ(焼きサラダ)

 

tabilistamtm四品目はローストビーツとガーリックタヒーニヨーグルトのファッテー。上にキャラメリゼした胡桃と塩レモン、ヒヨコ豆をのせて
 

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メインディッシュのヨーグルト・シニヤ。こちらも新刊にレシピ掲載。揚げナス、挽き肉、水切りヨーグルトを三層に重ね、トマトとスマックを散らしてオーブンで焼いたもの

 

 1品を除き、全て新刊からのレシピで、デザートのみアレンジを加えた。
 野菜もほぼ全て下準備が終え、ドライフルーツのコンポートやレンズ豆のスープまで仕込んでいただいていたのので、僕がやったのは、ソースやドレッシングを作り、野菜を煮て、メインディッシュの作り方を指示し、最終的な味付けを決めるだけだった。開場の30分前には準備が整ってしまった。こんなに順調に出来るのは珍しい!
 おかげで本番が始まった後は、お客さん一人一人とゆっくり話が出来、PCとプロジェクターを使った中東料理レクチャーもたっぷり行えた。初めて中東料理を食べるという方が多いのもうれしいし、そうした方からも美味しいとの声が上がった。
 よしよし、イイぞ~! 一つうまくいくと、必ず次につながる。「次回はいつ大阪に来てくれますか?」とお客さんやお店のスタッフにも何度も尋ねられた。大阪なら食べ物も美味しいし、いつでも喜んで伺いますよ~!

 

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お客さんの料理写真撮影タイム!

 

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原田シェフがメインのヨーグルト・シニヤを仕上げ中。大阪は彼のおかげで仕込み万全!

 

 

ドライフルーツとりんごのコンポート、バニラアイス添え

 さて、今日のレシピは心斎橋の出張メイハネで作った「ドライフルーツとりんごのコンポート、バニラアイス添え」。『MEYHANE TABLE More!』掲載の「ドライフルーツとりんごのコンポート、水切りヨーグルト」から、水切りヨーグルトをバニラアイスに置き換えたものだ。

 

■ドライフルーツとりんごのコンポート、バニラアイス添え
【材料:5人分】
ドライあんず:150g
ドライマンゴー:30g
ドライクランベリー:25g
水:1と1/2カップ
カルダモン:2粒:殻をむき、種だけを取り出しておく
アールグレイのティーバッグ:1個
クローブ:1粒
シナモンスティック:1/2本
グラニュー糖:40g
ローズウォーター:小さじ1
りんご:1個
バニラアイス:200g
ピスタチオ:15g
【作り方】
1.鍋に水とカルダモンの種、アールグレイのティーバッグ、クローブ、シナモンスティック、グラニュー糖を入れ、火にかける。沸騰したら弱火にして5分煮る。火を止め、ティーバッグを取り出して、室温まで冷ます。ローズウォーターを足す。
2.ボウルにドライフルーツを入れ、1をまわしかけ、一晩漬けておく。
3.りんごは皮をむき、8か12個のくし切りにして、2に加える。
4.ピスタチオは小さなフライパンに入れ、火にかけて、軽く炒ってから、半分に砕く。
5.デザート用の器に③をとりわけ、バニラアイスをのせ、ピスタチオを散らす。

 

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ドライフルーツとりんごのコンポート、バニラアイス添え。翌日改めていただいたところ、りんごやドライフルーツにさらに味が沁みてて最高

 

 

 サラームの『MEYHANE TABLE More!』プロモーションはまだまだ続きます!

 

*5月1日水曜 出張メイハネ@高崎あかり@(満員御礼)
*5月12日日曜 サラーム海上と中東料理を楽しむ会@六本木文喫BUNKITSU 
https://libropb.stores.jp/items/5cb19926adb2a13bb00e0eb6?fbclid=IwAR0pw_6pYlsm04sqZ05WuNqgVVYUfv8wt4o677ZOfnE_r10n7GW5KjwQW8w
*5月24日金曜 中東料理トーク@都内某書店
*6月 中東料理トーク@西荻窪旅の本屋のまど
*初夏 中東料理教室@湘南T-SITE内湘南料理塾
 

 

*著者の最新情報やイベント情報はこちら→「サラームの家」http://www.chez-salam.com/

 

*本連載は月2回配信(第1週&第3週火曜)予定です。〈title portrait by SHOICHIRO MORI™〉

 

 

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サラーム海上(サラーム うながみ)

1967年生まれ、群馬県高崎市出身。音楽評論家、DJ、講師、料理研究家。明治大学政経学部卒業。中東やインドを定期的に旅し、現地の音楽シーンや周辺カルチャーのフィールドワークをし続けている。著書に『おいしい中東 オリエントグルメ旅』『イスタンブルで朝食を オリエントグルメ旅』『MEYHANE TABLE 家メイハネで中東料理パーティー』『プラネット・インディア インド・エキゾ音楽紀行』『エキゾ音楽超特急 完全版』『21世紀中東音楽ジャーナル』他。最新刊『MEYHANE TABLE More! 人がつながる中東料理』好評発売中。『Zine『SouQ』発行。WEBサイト「サラームの家」www.chez-salam.com

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