台湾の人情食堂

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#65

この夏、台北で食べるべき納涼グルメ!

文・光瀬憲子

 先日、猛暑の日本を訪れた台湾人を案内したのだが、35℃を上回る東京で「日本は涼しいですね」と言うので驚いてしまった。そう、台湾の夏は暑い。日本が暑いときは、台湾はもっと暑い。それでもお盆にしかお休みが取れない方のために、暑いからこそ食べたい台湾グルメをご紹介しよう。

 

 

栄養バランスのいいチマキは、じつは夏の食べ物

 台湾人は暑いからといってやたらと冷たいものを食べたり、飲んだりしない。これは漢方的な考え方だ。体を内側から冷やす「寒性」のものを食べたり、スタミナの付くものをガッツリ食べたりするのが台湾流の暑さの乗り切り方だ。 

 そこでおすすめしたいのが、肉、米、野菜を同時に取れる手軽なスタミナ料理のチマキ。台湾では肉が入ったものは「肉粽(ロウゾン)」と言い、暑くなり始める端午の節句(旧暦5月5日、毎年6月半ばころ)から食べるのが習わしとなっている。

 

01旧暦の5月5日頃から食べ始めると夏を乗り切ることができると言われる肉粽(チマキ)。甘辛いソースと香菜をプラスして

 

 大きな豚肉がゴロリと入っていて、卵の黄身、干しえびや干し椎茸、栗やピーナツなどの具材もたっぷり。さらにもち米なのでお腹にたまる、お手軽で栄養満点のグルメなのだ。1つ食べれば疲れなんて吹っ飛んでしまう。

 

02西門町などに店を構える『王記府城肉粽』は3種類のチマキとスープだけのシンプルなお店。味は地元の人たちのお墨付き

 

 台湾の南部と北部ではチマキの作り方や味がだいぶ違う。南部は煮る製法、北部は蒸す製法なので、南部チマキはもっちり柔らかく、北部チマキは米粒の歯ごたえが残る。

 

 

解熱、整腸作用がある漢方スープ

 夏は胃腸も疲れれば、日に焼けて肌荒れも悩ましい。そんな疲れた身体に優しく効くのが「四神湯(スーセンタン)」と呼ばれる漢方スープだ。

 

03夏バテ予防にもってこいの四神湯。さまざまな漢方素材と豚の小腸が入った淡白なスープ

 

04四神湯の「四」は4種類の漢方食材を指す。解熱作用や整腸作用があり、夏バテや食べ歩き疲れに最適

 

 漢方の香りから最初は少し抵抗があっても、2口目からハマる日本人旅行者が多い魅惑のスープ。4つの神とは茯苓、欠実、蓮の実、山芋の漢方素材のことなのだが、最近の四神湯には薏苡仁(ヨクイニン)が入っていることが多い。これを豚骨や豚の小腸と一緒に煮込んだ乳白色のスープで、効能はさまざま。暑い夏に欠かせない解熱作用があり、胃腸を整え、疲労回復、利尿作用、肌荒れ改善、精神安定などの効果が期待できる。食べ歩きに疲れたあとに飲むのもおすすめだ。

 

05MRT板南線府中駅そばの慈恵宮と黄石市場の間に店を構える『永和葉記肉圓』では、本格的な四神湯が味わえる。写真は店からの風景

 

 

緑豆で体の中からクールダウン

 解熱作用があり、夏に摂るのがよいとされる代表的な漢方素材が緑豆。日本ではもっぱらもやしの原料だが、台湾ではこの豆を料理にもスイーツにもよく使う。特に緑豆を使った台湾の伝統スイーツは筆者の大好物。かき氷に緑豆の餡をかけたり、緑豆ミルクシェイクにしたり。なかでもお手軽で素材の味が生かされているのが緑豆汁粉。大鍋に緑豆と水を入れて煮込み、砂糖を加えて甘みを出したもの。

 

06夏バテ対策の王様、緑豆汁粉。ほんのりと優しい甘み、すっきりとした味わいで心も体も癒やされる

 

 そんなシンプルで優しい緑豆汁粉の人気屋台が艋舺夜市にある。艋舺夜市が梧州街と交差するところで夕方から営業する「緑豆湯(リュウドウタン)」屋台では、ほどよい甘さの緑豆汁粉を夏は冷たく、冬は暖かくして出してくれる。夜市で食べ歩いたあと、暑さで疲れたあとに、緑豆の優しさが身体に染みわたる。

 

07艋舺夜市の中央に夕方から屋台を構える緑豆湯。店のおじさんが話し相手になってくれる

 

台湾版冷やし中華

 冷たいものをむやみに食べない台湾人だが、夏になると好まれるのは唯一の冷たい麺、「涼麺(リャンミェン)」だ。日本で「冷やし中華始めました」の張り紙が出されるように、台湾でも夏になると涼麺屋台が目立ってくる。

 

08台湾で唯一の冷たい麺「涼麺」。台北の龍城市場内にある『廣一涼麺』はごまダレとにんにくペーストが香ばしい

 

 黄色い中華麺にもやしやキュウリなどのシンプルな具が乗っていて、甘めのごま油をたらし、にんにくのすりおろしを少し添えていただく。ごまの風味が食欲をそそる。にんにくはお好みで増やせるので、匂いなど気にせず、たっぷり添えると元気が出てくる。

 

09油麺とごまダレ、にんにくソースをよく混ぜていただく。スープがないのでカロリーや塩分控えめ。朝食やランチにもおすすめだ

 

10『廣一涼麺』がある龍城市場の一角。冷房がきいているキレイな市場なので真夏でも快適に回れる

 

 

早起きして市場散歩→絶品ライスヌードル

 夏場の台湾旅行は朝が重要だ。夜市で遅くまで遊んでも、翌朝がんばって早起きすれば、まだ暑くなる前の、空気がきれいな清々しい台湾を満喫することができる。早朝から公園や市場を散歩し、日が高くなる頃にホテルに昼寝に戻れば効率がいい。

 早起きできた人におすすめなのが台北の艋舺にある環南綜合市場と、その近くの「米苔目(ミータイムー)」だ。環南市場は台北最大の市場で、一般人よりも業者の出入りが多い。広い市場内に並ぶ野菜や肉、魚介類を見て回るのも迫力があって楽しいが、市場の近くに商人や客が足繫く通う朝ごはん屋さんがある。店名はないが、地元では「環南市場米苔目」と呼ばれている。早朝から営業していて、米苔目という米粉でできたソフトな麺が人気だ。

 

11朝ごはんにちょうどいい米苔目。米粉で作られたふんわり優しい麺。甘辛いタレとよく絡めていただく

 

 米苔目は台湾の朝ごはんとして親しまれているが、この店のものは風味、歯ごたえ、味などが格別。乾麺(汁なし)と湯麺(汁あり)があるが、おすすめは乾麺。タレとよく絡めて食べる。発汗の多い時期だから汁気もほしいという日には、半分ほど食べたところでスープを追加してもらうという裏技もある。サイドメニューの青菜も注文すれば野菜不足も心配なし。朝散歩の際に立ち寄ってみよう。

 

12サイドメニューに野菜を頼めば栄養バランスも抜群。ほかにも湯がいたモツが絶品

 

13環南綜合市場近くの名もなき米苔目の店。地元の人たちが行列を作るのが人気の証拠

 

 

*今秋、首都圏で筆者のトークイベントがいくつか行われる予定です。具体化しましたら本コラムやTwitter(https://twitter.com/keyword101)でお知らせします。

 

 

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*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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