台湾の人情食堂

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#63

『鉄道やバスで台湾一周』講座ダイジェスト〈2〉

文・光瀬憲子

 台湾一周というと鉄路が思い浮かぶが、台湾は長距離バスが充実しているので、鉄道とうまく組み合わせて一周の足にすることをおすすめしたい。

 前回は名古屋の栄中日文化センターで講師を務めている台湾一周講座(全3回)の第1回「台北から嘉義」を取り上げた。今回は第2回「台南から墾丁」をダイジェストでお届けしよう。

 

01台北・高雄を往復する阿羅哈(アロハ)バスの外観

 

 

高速バスの魅力

 台北から台南や高雄にアクセスする場合、時間優先なら高鐵(新幹線)、車窓風景優先なら台鐵(台湾鉄路)となるが、快適性優先なら長距離バスではないだろうか。

 台湾では高速道路を走る長距離バスは「巴士(バーシー)」と呼ばれ、通常の路線バス(公車)と区別される。長距離バスは2階建て構造が主流で、1階部分は荷物置きやトイレになっていて、乗客が座るのは2階部分。しかも通常の4列座席ではなく、3列や2列といったものが多く、列数が少ないほど座席が大きく、ゆったりしている。

 台北から台南はおよそ4時間、高雄までは5時間程度。夜行バスとして使うと少し睡眠不足になりそうだが、リクライニングで座席はかなり平らに近い状態になるので、座席に内蔵されたスピーカーで音楽を聴いていれば、心地よい揺れとともにすうっと眠りに引き込まれていく。

 座席ごとにテレビも付いているので飛行機のようにオンデマンドで映画を楽しむこともできる。毛布や飲料水なども配られる。こんなにぜいたくなバス旅のお値段は、台鐵より少し高いが、新幹線よりはだいぶ安い。

 

02阿羅哈バスの車内(2列シート)。5時間かかるので夜行バスとしても使える。30分に1本と本数も多い

 

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阿羅哈バスの豪華2列リクライニングシート。夜行なら1泊分浮かせられる

 

 

台南名物、魚スープと牛肉スープ

 食都・台南には名物料理が数多くあるが、その代表と言えるのが虱目魚(サバヒー)だ。まずは市場で虱目魚がどんな魚なのか見てほしい。グルメストリート國華街の近くには永楽市場や西門市場がある。鮮魚を扱う店に行けば、白と黒の美しい魚が目につくはず。全長30センチ前後で尾が大きく、均整が取れている。これが台南や高雄を中心に養殖されている虱目魚だ。

04台南や高雄などの温かい地域で養殖されている虱目魚(サバヒー)

 

 王道的な食べ方はスープで、西門街のロータリーに店を構える『阿堂鹹粥』は地元民にも旅行者にも人気。虱目魚がまるごと入った魚肚湯や、珍しい虱目魚のモツなども取り揃えている。

 おすすめがもう一軒ある。珍しい虱目魚の皮のスープと美味しい魯肉飯が一緒に楽しめる『阿和肉燥飯』だ。スープの中でくるんと丸まった虱目魚の皮はうっすらと肉がつき、スープの中に溶け出した皮と肉の間の脂が絶妙な旨味を作っている。肉燥飯とは魯肉飯のこと。ゴロゴロした大きめの肉がごはんの上に乗っていて食べごたえもたっぷり。

 

05『阿和肉燥飯』の虱目魚スープは、くるんと丸まった皮が特徴のさっぱりしたスープ

 

 台南の人々は食に手間と時間をかける。わざわざ遠くの有名店に足を運んだり、早朝から美味しい朝ごはんを求めて行列したりする。そんな行列必須の朝ごはんが『六千牛肉湯』だ。その日の朝に仕入れた新鮮な牛肉にさっとスープをかけただけの、シンプルゆえにぜいたくな朝ごはん。白いごはんに牛肉。それだけだからこそ、牛肉の鮮度やスープの旨味が大切だとも言える。

 

06朝7時には売り切れてしまうこともある『六千牛肉湯』の牛肉スープ。案外あっさりしていて朝食にぴったり

 

台南の絶品アイスクリーム

 ごはんで満足したら、次はスイーツだ。台南には伝統スイーツの店が多く、フルーツ専門店が提供するかき氷が人気だが、アイスクリームも負けてはいない。その代表が、町外れで伝統を守り続けているアイスクリーム専門店『一二三氷城』だ。

 昔ながらの製法で、シャーベットに近い、さっぱりとしたバニラアイスを作っているのだが、名物は卵の黄身が乗ったアイスクリーム。アイスクリームと卵なんて、ちょっと思いつかなかった組み合わせ。でもケーキを作るときに牛乳、砂糖、卵を混ぜることを考えれば、アイスと卵が合わないわけがない。生卵がうまくバニラに溶け込んで、優しく、コクがある甘みになる。

 

07『一二三氷城』の卵乗せアイスクリーム

 

 

高雄の下町で伝統スイーツ

 台南から高雄は、台鐵の自強号なら30~40分と近い。台湾第2の都市、高雄は12月でも半袖でいられるくらい暖かい。都会だけれど人々の歩みは台北よりものんびりしている。

 高雄は広いのでエリアごとに特徴があるが、おすすめは鹽埕(イェンチェン)という下町。歴史のある飲食店がコンパクトにまとまっているので食べ歩きがしやすいエリアだ。

 そんな鹽埕の人気者は、これからの季節に重宝しそうなかき氷。『李家湯圓』という店名で湯圓(白玉団子)が看板メニューなのだが、夏はかき氷を求めてくる人が後を絶たない。伝統的なかき氷は、外観からは氷にシロップをかけただけのシンプルなものに見える。だが、中を掘ってみるとそこには甘く煮込んだ小豆、緑豆、蓮の実などが宝物のようにたくさん入っている。

08鹽埕の老舗『李家湯圓』のかき氷。湯圓(白玉団子)が人気の店だが、夏はかき氷がよく売れる

 

 

高雄、高鐵駅近くの人気店

 もうひとつのグルメエリアは左營地区。高鐵で高雄へ行く場合は左営駅に到着するのでアクセスがいい。

 左營大路と店仔頂路の交差点付近に名前のない水餃子と麺を扱う店がある。看板が出ていないのでシャッターが降りていれば飲食店だとは気づかないが、オープンと同時に行列ができるのですぐにそれとわかる。この店の肉絲乾麺(ひき肉ソース)と麻醤乾麺(ごまソース)はとてもパワフルで美味。2つのソースが人気を二分していて、注文時に迷わない人はいない。麺の下にたまったソースとよく絡めていただこう。

09高雄の左營地区にある無名の水餃子と麺の店。写真は人気のひき肉乾麺

 

 

高雄から墾丁まで行ってこそ台湾一周!

 さて、どのルートを回れば台湾を一周したと胸を張れるのか? 鉄路だけだと台湾のなかの異国、墾丁を逃すことになる。地図を見ればわかるが、台湾南端の尻尾のような部分はかなり面積がある。ここを踏破せずして、台湾一周と言うのは少々おこがましいだろう。

 高雄駅からバスに乗り、車窓越しの熱波を感じながら2時間ほど行くと現れるのが、青い空と海のリゾート墾丁。ここはサーフィンのメッカで、男性は上半身ハダカに短パン、女性はタンクトップに短パンというのが地元の人たちのスタイル。1年中太陽にさらされた小麦色の肌ですぐに地元民とわかる。

10太平洋を望める墾丁の龍磐公園。台湾らしいごちゃごちゃした街並みもいいが、ときにはこんな風景に出合うと旅の思い出がさらに豊かになる

 

 墾丁を訪れたら、南国ムードたっぷりのペンションや民宿に泊まりたい。なかでもとびきりおしゃれなのが『国境之南』。小高い丘の上に立てられたギリシャ風のホテルだ。平屋で部屋数が少なく、ホテルというより裕福な知人の別荘を訪れているような気分になる。

 

11高級民宿『国境之南』。オーナーは身長190センチの元俳優

 

 墾丁は公の交通手段が少ないので電動バイクや電動自転車のレンタルが便利。2時間400元程度からレンタルでき、墾丁の街なかを移動するには十分だ。青空の下なら、自動車よりもかえって自転車のほうが爽やか。南国の風を満喫できる。

 

12墾丁での移動に便利な電動バイク。音が静かなので波の音を楽しみながら走れるのが魅力

 

*筆者の名古屋の栄中日文化センターでの講座『台湾一周! 鉄道&高速バスの旅』は、残り1回分(7月8日の13:00~14:30)が定員に達したため席を増やしました。あと2、3名様の受付が可能です。7月8日は墾丁を出て東側を北上し、台北に戻ります。詳細やお申し込みは下記で。

℡ 0120-53-8164

http://www.chunichi-culture.com/programs/program_160822.html

 

 

 

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*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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