台湾の人情食堂

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#62

『鉄道やバスで台湾一周』講座ダイジェスト〈1〉

文・光瀬憲子

 台湾は九州ほどの大きさの島で、鉄道やバスで一周するのはそう難しくない。そんな旅にぴったりなのが台鉄と呼ばれる在来線「台湾鉄路」だ。台北からスタートし、西廻り(逆時計まわり)がおすすめ。台湾は西側に人口が集中しているため、見どころ食べどころも多い。高鉄(新幹線)ならば速く回れるが、せっかく列車の旅を楽しむならば、やはり台鉄をメインにしたいところ。

 今回は、名古屋の栄中日文化センターで講師を務めている「台湾一周の旅」(3回講座)の第1回「台北から嘉義」の内容をダイジェストでお届けする。

 

01列車旅の始まりは、いくつになってもワクワクする

 

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台湾は面積のわりに景観や食べ物が変化に富んでいる。

拙著『台湾グルメ350品!食べ歩き事典』(双葉文庫)より

 

 

何日かけて一周するか? どの街に泊まるか

 台湾一周計画でまず考えたいのが、「どの街に泊まるか」だろう。一周にどれくらい時間をかけるかによって決まってくるのだが、たとえば4日間で一周したければ、滞在は台南、高雄、台東など3都市程度に絞る必要がある。

 その場合、比較的、車窓風景の変化が少ない台南までを新幹線(2時間弱)で移動し、台南で食べ歩きして次の高雄へ。高雄から台東、台東から台北に戻るときに海や山のダイナミックな景観を楽しむことができる。

 もし10日間ほどかける余裕があるなら、途中下車するところを増やして各地の特徴を楽しみたい。新竹、彰化、嘉義、台南、高雄、台東、花蓮、礁渓などがおすすめの立ち寄り駅だ。

 台南、高雄は大きめの都市なので1泊増やしてじっくり見物するのもいい。小さな島だが、北から南へ、西から東へと移動する中で、言葉や文化の違い、街の雰囲気や食べ物の違いを感じることができる。

 

 

台北駅を出発

03旅の始まりは巨大ホールのような台北駅から。駅ナカは土産店やレストランも充実

 

 台鉄には特急の「自強号」、準急の「莒光号」、各駅停車の「区間車」がある。自強号と莒光号は基本、指定席なのだが、日本の特急列車と違うのは、指定席券が買えなかった場合、乗車券だけで乗り込むことができるということ。ただし、台北から新竹へは自強号でも1時間強かかるので、ちょっとつらいかもしれない。

 

台北駅で自強号に乗り込む。席に座ろうとすると、この動画のようにすでに先客がいたりするが、チケットを見せればすぐにどいてくれる。指定席券を持っていない人は、その席に座る人が現れるまで座っていても大丈夫

 

 台湾では地方へ行くほど宿が安い。首都台北では宿が取りづらい、または宿代が安くないと思ったことがある旅行者も多いだろう。台北以外の地方都市は1泊3000円程度で簡易だが清潔なホテルに泊まれる。ただし、現地に到着する前にネットの予約システム(AgodaやExpedia)を利用して宿をおさえておくことをおすすめする。土日ともなれば国内旅行者でホテルが混雑することもあり、また、日本にはない台湾の祭日にたまたま当たってしまい、宿が満室ということもある。せめて前日までには宿を確保しておきたい。

 

 

駅弁の楽しみ

 台北から台鉄に乗り込む前に準備したいのがお弁当だ。新竹までは自強号で1時間なので、我慢して現地で美味しい地元グルメを味わってもいいが、一気に台中や台南まで足を運ぶなら車内でお弁当を楽しみたい。

 

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人気の台鉄弁当のひとつ、豚の角煮弁当。常に温かい状態で売られているので、座ったらすぐに「いただきます!」

 

 一押しは台北駅構内で買うことのできる台鉄弁当。昼時は行列もできるので余裕を持って並ぼう。定番の排骨弁当のほかにも、鶏肉弁当や燉飯(炊き込みご飯)弁当などバラエティ豊か。

 うれしいのは、日本の駅弁と違って台湾のお弁当はいつも温かいこと。台湾人にとって、冷や飯はどこかみすぼらしいものらしい。白米の暖かさは豊かさの象徴というわけだ。ただ、台鉄弁当だけではなく、市場で油飯(中華おこわ)弁当を買ったり、駅までの道中で魯肉飯弁当など自分の好きな弁当を買っておくのもいい。テイクアウトが当たり前の台湾なら、なんでもお弁当になってしまう。

 

 

新竹では限定グルメを狙う

 最初の下車駅は新竹。サイエンスパークがあるため、実は日本から出向しているビジネスマンも多いのだが、観光で訪れる人は意外と少ない。しかし、新しい新竹市長が「グルメ都市、新竹」を押していて、最近国内でも注目されている。

 新竹駅の改札を出たら、振り向いて駅舎に注目してほしい。大きく羽を広げたような、横長のうぐいす色の駅舎が美しい。設計したのは日本人で、100年経っても威厳を放っている。東京駅と1年差で完成したことから、東京駅の妹分ともいわれる。

 

06羽を広げたような新竹駅舎。100年以上の歴史をもつ

 

 また、新竹は台湾の少数民族のひとつである客家人が多いことで知られている。とっつきにくいイメージもある客家人だが、料理上手で、いったん仲良くなると客人を手厚くもてなしてくれる。

 新竹グルメはいろいろあるが、一食だけなら「中央市場」のなかの『糯米水餃』をおすすめする。朝市の奥にある水餃子とワンタンの専門店なのだが、水餃子の皮がもち米でできている。賑やかな中央市場を奥へ、奥へと進むと、人気店なのですぐにそれとわかる。

 メニューは水餃子、ワンタン、ミックスの3種。あっさりとしたスープに入っている。もち米水餃子は皮が白玉団子のようにとろとろで、一口かじると中からじゅわ~っと肉汁があふれる。他では味わえない新竹限定グルメだ。

 

07新竹中央市場の名物のもち米水餃子。あっさりしたスープ、とろけるような皮、肉汁たっぷりの具がたまらない

 

 

彰化では扇形庫が必見

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台鉄で西側を南下する際に見られる夕焼け。台中付近は風力発電が多く、神秘的な風景が見られる

 

 新竹駅から列車に乗り込み、さらに南下すること1時間20分で彰化の駅に到着する。彰化は古くから農業の町として知られ、私の知り合いの彰化出身者には地道な努力家が多い。力仕事が主だったため、地元グルメは肉料理が多く、特に豚の角煮をご飯の上に乗せた「控肉飯」は見た目のインパクトも食べごたえも申し分ない。

 

09台北ではなかなかお目にかかれない、彰化名物の控肉飯

 

 彰化には列車の旅をするなら必ず立ち寄りたい場所がある。今も現役で活躍中の扇形庫だ。日本時代に作られた列車用の車庫で、日本には本来の役目を果たしているものは残っていないのだが、台湾では今も車庫として稼働している。鉄道好きではなくても一見の価値がある。彰化駅から徒歩10分ほどのところにあり、入場無料。すぐ間近で列車が車庫入れされる様子などを見ることができる。

 

10彰化で降りたら、ひと目見ておきたい扇形庫。鉄道ファンの垂涎の的だ

 

 

扇形庫から機関車が出てくるところ。間近で見られるので迫力満点

 

 

もうひとつの食都・嘉義

 彰化の次の下車駅は、自強号で1時間弱の嘉義。最近、駅前のロータリーがリニューアルされ広々と使いやすくなった。

 嘉義は台南に負けないグルメタウン。特に東公有市場と呼ばれる朝市や文化路夜市は活気があって楽しい。

 また、八田與一がダムを作り灌漑システムを確立させたことで嘉義一帯が潤い、農業が盛んになったことから、嘉義の人々は特に日本びいきといわれる。甲子園球児を題材にした台湾映画『KANO 海の向こうの甲子園』が2014年に記録的な大ヒットとなり、嘉義人気はうなぎのぼり。いまもっとも注目すべき街だ。

 そんな嘉義のナンバーワングルメはなんと言っても鶏肉飯。台北の魯肉飯、高雄の焼肉飯に匹敵する「ミニ丼」の代表格。特におすすめは『劉里長雞肉飯』だ。ぜひ下水湯(鶏モツスープ)も合わせて飲みたい。

 

12嘉義名物の鶏肉飯。見た目はあっさりしているが、肉汁がたっぷりで塩味がきいていて美味

 

*筆者の名古屋の栄中日文化センターでの講座『台湾一周! 鉄道&高速バスの旅』は、残り1回分(7月8日の13:00~14:30)が定員に達したため席を増やしました。あと2、3名様の受付が可能です。7/8は東側を北上します。詳細やお申し込みは下記で。

http://www.chunichi-culture.com/programs/program_160822.html

 

 

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*本連載は月2回(第1週&第3週金曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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著者:光瀬憲子

1972年、神奈川県横浜市生まれ。英中日翻訳家、通訳者、台湾取材コーディネーター。米国ウェスタン・ワシントン大学卒業後、台北の英字新聞社チャイナニュース勤務。台湾人と結婚し、台北で7年、上海で2年暮らす。2004年に離婚、帰国。2007年に台湾を再訪し、以後、通訳や取材コーディネートの仕事で、台湾と日本を往復している。著書に『台湾一周 ! 安旨食堂の旅』『台湾縦断!人情食堂と美景の旅』『美味しい台湾 食べ歩きの達人』『台湾で暮らしてわかった律儀で勤勉な「本当の日本」』『スピリチュアル紀行 台湾』他。朝日新聞社のwebサイト「日本購物攻略」で訪日台湾人向けのコラム「日本酱玩」連載中。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/  近況は→https://twitter.com/keyword101

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