料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

#59

第57回 「山形 赤湯」

文と写真・山本益博

 

 

滝波イチボのロースト

 


山形新幹線に乗って、赤湯へ2泊3日の旅  

名物ラーメン、ワイン、あんびん田中屋、ピッツア。

 

赤湯は山形県の南、置賜盆地にある。この地は寒暖の差が大きく、米をはじめ野菜、果物の名産品が多い。今回、私が出かけた時期は、さくらんぼの最盛期だった。
 
 

赤湯さくらんぼナポレオン赤湯のさくらんぼ「ナポレオン」

 

 

米や野菜の生産者、ぶどうを栽培してのワインの醸造者などが集まって旅館「山形座 瀧波」で「置賜盆地食卓戦略会議」が開かれるとのことで、山形新幹線に乗って、赤湯まで出かけてきた。
じつは、赤湯と言えば、皆さんがまず初めに思い浮かべるのが「龍上海」の「からみそラーメン」。横浜にある「ラーメン博物館」にまで出店している赤湯名物のラーメンである。
私は、これまで何度も赤湯を訪れてはいるが、長時間並ぶこと避け、食べずに来た。今回は、コロナ禍ということもあり、店の前まで来ると、行列はしているが、さほど時間はかからないと思い、列に並ぶことにした。
丼のラーメンの中央に、赤いからみそが鎮座していて、これをスープに溶かしながら、食べる。辛いが、にんにくが程よく利いていて、人気のほどがうかがえた。

 

 

龍上海のからみそラーメン名物「赤湯からみそラーメン」

 

その後に、ワイナリーを訪問し、その晩は「瀧波」に泊まり、夕食に出た米沢牛のイチボのローストに舌鼓を打った。サーロインより赤身のもも肉のほうが、肉のうまみがある。
 

 

瀧波;夏牡蠣夏牡蠣

 

滝波イチボのロースト

イチボのステーキ

 

赤湯「瀧波」露天風呂

「瀧波」の露天風呂
 

 

翌日は、ワイナリーなどを訪問した後、昼食は、赤湯へ来るたびに訪れるイタリア料理の「イル・レガーレ」でとり、午後「置賜盆地食卓戦略会議」に参加した。口下手な人はひとりもいず、各生産者が熱弁をふるい、その熱い思いが時間を忘れて伝わってきた。彼らの情熱を伝える手助けをしなくてはならない。会議のメインイベントは、米作り農家の方々が持ち寄った米で炊き上げた御飯の食べ比べ。どれも甲乙つけがたく、なるほど、山形は「つや姫」ほか、お米の名産地であることを実感した。

 

 

置賜盆地食卓戦略会議メンバー「置賜盆地食卓戦略会議」のメンバー

 

その晩は、参加者が米沢まで移動して、日本料理の「はやし」で懇親会。赤湯にある「イエローマジックワイナリー」と「グレープレパブリック」のワインを持ち込んで、和食にワインを合わせて楽しんだ。
 

 

イエローマジックワイナリーのワイン「イエローマジックワイナリー」のワイン

 

グレープレパブリックのワイン

「グレープレパブリック」のワイン

 

「瀧波」にもう1泊することになり、その際、赤湯の町においしい大福があることを聞きつけた。朝7時に店を開け、10時半には店を閉めてしまうという。早速、予約を入れてもらい、翌日朝、その大福を取りに店へ出かけた。店の名前は「あんびん田中屋」という。その店の張り紙には、「お餅の中に手作り粒あんが入っています。(地元餅米百パーセント使用の品です)時間が経ちますと堅くなりますので早めに早めにお召し上がりください(できれば午前中に)」と書かれている。
宿に持ちかえり、部屋でいただくと、出来立てならではの絹のような肌触りの餅のなかに、小豆の香りの豊かなあんが詰まっていた。お土産にしたいが、それが叶わぬ赤湯の特撰甘味である。
 

 

赤湯あんびんの大福「あんびん田中屋」の大福

 
赤湯あんびん店構え「あんびん田中屋」の店構え

 

 

そうして、東京へ戻る前の昼食に出かけたのが、開店間もないという、ピッツァ専門店「桜丸」。そば屋を改造して、ピッツァ窯を作り、地元の食材をトッピングして、ピッツァを焼き始めたという。
ピッツァの定番「マルゲリータ」も美味しかったが、季節限定ピッツァ「丘ひじきのジェノベーゼ」はバジルソースにしゃきしゃきの丘ひじきをたっぷり載せたピッツァで、しばらく忘れ難いピッツァとなった。
赤湯は来るたびに魅力的な場所が増え、ここしばらくは通うことになりそうである。
 

 

赤湯桜丸の丘ひじきのピッツア「桜丸」の丘ひじきのピッツア
 

 

赤湯桜丸

ピッツァ専門店「桜丸」

 

 

 

次回は、東京の味の新名所です。

 

 

■山本益博さんの公式HPが新しくなりました!

 

https://www.masuhiroyamamoto.com

 

 

 

■「龍上海」赤湯本店

 

住所/山形県南陽市二色根6-18

 

問い合わせ/0238-43-2952

 

https://ryushanhai.com

 

 

■「山形座 瀧波」

 

住所/山形県南陽市赤湯3005

 

問い合わせ/0238-43-6111

 

http://takinami.co.jp

 

 

■「あんびん田中屋」

 

住所/山形県南陽市赤湯851

 

問い合わせ/0238-43-2249

 

 

■「桜丸」

 

住所/山形県南陽市二色根513-3

 

問い合わせ/0238-27-8819

 

https://pizzeriasakuramaru.wixsite.com/website

 

 

*この連載は毎月25日に更新です。

 

 

山本さん顔

山本益博(やまもと ますひろ)

1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。山本益博さんの公式HPが新しくなりました! https://www.masuhiroyamamoto.com

 

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