旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#57

韓流紀行〈5〉ボゴム入隊と『雲が描いた月明り』

文・康 熙奉(カン・ヒボン)

 韓流の若手俳優の中でトップとも言えるパク・ボゴムが、8月31日に兵役によって海軍に入隊することになり、しばらく芸能活動を休止する。ファンとしては従来の作品を繰り返し見ることになりそうだが、その中で一番人気があるのは、やっぱり『雲が描いた月明り』に違いない。

 

パク・ボゴムは韓服が似合う

『雲が描いた月明り』は、韓国のインターネット上で膨大なPV数を誇ったユン・イスク作家の人気WEB小説を実写化した作品だ。

 韓国のKBSで2016年8月から10月まで放送された。WEB小説を原作としていただけに、新しい感覚を持った時代劇に仕上がっていたが、ストーリーを見ると本格的な歴史物語だったと言える。

 パク・ボゴムが演じた主人公イ・ヨンは、朝鮮王朝の世子(セジャ)である。つまり、次の国王が約束された身分なのだ。とても頭脳明晰で才能に優れた世子をパク・ボゴムが演じて大きな話題になった。

 ドラマのメインストーリーは、高官たちの策略に負けずに、イ・ヨンが正しい国王を目指していくというもの。イ・ヨンが民を思って苦悩する姿や、愛する人に素直になれないツンデレさがかえって好感を呼んでいた。

 しかも、『雲が描いた月明り』を見ていてつくづく思ったのは、パク・ボゴムほど伝統的な韓服が似合う俳優はめったにいないということだ。それほど彼は、冠がよく似合い、伝統的な衣装を着ると絵になっていた。しかも、若き世子を颯爽と演じるのだから、ドラマが面白くないわけがない。

 そして、共演はキム・ユジョンだ。

 キム・ユジョンといえば天才子役として知られ、数々の有名な作品で主人公の子供時代を演じてきた。

 特に『トンイ』ではハン・ヒョジュの子供時代を担っていたし、『太陽を抱く月』ではハン・ガインが演じた巫女の子供時代を巧みに演じていた。それだけに、韓国時代劇が好きな人にとって彼女は特に知られた存在だった。

 そのキム・ユジョンが、『雲が描いた月明り』では大人の女優としての成長を見せていた。

イ・ヨンの人生とは?

 キム・ユジョンは、『雲が描いた月明り』ではホン・ラオンという内官に扮していた。

 この場合の内官というのは、宦官(去勢された男性の官僚)によって構成されていた。それなのに、女性であるはずのホン・ラオンが宦官になるというのが、『雲が描いた月明り』のツボだった。

 朝鮮王朝では絶対にありえないことなのだが、そこはドラマである。奇抜な設定を作り出したものだ。

 実際、ドラマでは宦官になるための厳しい身体検査をホン・ラオンがなんとかクリアしていくところがコミカルに描かれていた。

 こうして『雲が描いた月明り』は、将来有望なイ・ヨンという世子と女性でありながら宦官になったホン・ラオンの胸がときめくような恋の物語を描いていた。

 同時に、『雲が描いた月明り』は全編にわたって歴史上の重要な事件をストーリーに取り込んでいた。

 たとえば、イ・ヨンの父親の純祖(スンジョ)が国王でありながら強い王権を発揮できなかったこと、高官が国王を上回るほどの権力を握っていたこと、そして、庶民の不満が爆発するような反乱がたびたび起こっていたことなどである。

 それはすべて歴史上で実際に起こっていた。

 つまり、『雲が描いた月明り』は宮廷を舞台にして世子と内官の恋愛を描きながら、見ごたえのある本格的な歴史劇にもなっていたのだ。そこが『雲が描いた月明り』の大きな見どころだと言える。

 何よりも気になるのは、パク・ボゴムが演じたイ・ヨンが歴史的にどんな人だったのか、ということだ。

 そこで、イ・ヨンの人生を振り返ってみよう。

 イ・ヨンは、歴史上では孝明世子(ヒョミョンセジャ)と呼ばれた。23代王・純祖(スンジョ)の長男として1809年に生まれ、小さい頃から頭脳明晰で、才能が抜群だった。

 

「歴史の悲劇」

 

 純祖は体調が良くなかったので、1827年から孝明世子は国王に代わって政治を取り仕切った。

 すると、彼は自分が政治をうまく動かせるように臣下たちを適材適所に配した。さらに、宮中行事を改善して冠婚葬祭の典礼を時代に合わせて整備した。朝鮮王朝は儒教を国教にしているので、先祖に対する祭祀は最重要な儀式に位置づけられていたが、祭祀においても孝明世子は自ら先頭に立って礼楽を整えたりした。

 また、民衆のために刑罰を改善させた。

 このように、孝明世子は短期間に次々と政治的な実績を作っていった。彼の統治が続けば、朝鮮王朝は様々な面で改革の成果を見せたことだろう。

 しかし、1830年に急に亡くなってしまった。享年は21歳だった。

 もしも孝明世子が長生きしていれば、祖父のイ・サンと同じような名君になっていたことだろう。

 現実は思い通りにいかない。孝明世子の早世は「歴史の悲劇」と称されてしまっているのだ。そんな悲しい歴史を現代に明るく甦らせたのが『雲が描いた月明り』のすばらしいところだ。

 今の韓国でも孝明世子は本当によく知られるようになった。彼は歴史書を読むと、相当な美男子だったそうだから、パク・ボゴムが演じたのはピッタリだった。そういう意味でも、パク・ボゴムにとって『雲が描いた月明り』は、入隊前の彼のキャリアを彩る代表作だ、と言っても過言ではないだろう。

 

(次回もお楽しみに!)

 

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