韓国の旅と酒場とグルメ横丁

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#57

ソウル、すぐに見つかる美味しい駅前食堂〈2〉

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 前回に続き、今回もソウル中心部の駅前特集。
 地下鉄駅を出たらすぐに見つかる美味しい店を5軒紹介する。

 

 

『仁王市場カルククス』(弘済駅1番出口)

 市場とその周辺は安くて美味しい食堂の宝庫だ。
 仁寺洞の北側にある安国駅から北西方向に4駅。弘済(ホンジェ)駅前に広がる仁王市場(イナンシンジャン/本コラム#45#46)もそのひとつ。1番を出て露天商が並ぶ歩道を少し進み、バーガーキングの角を右に曲がると、そこはもう市場だ。最初の路地を左折し、道なりに行くと店頭で麺を打つ男性が目に入る。ここがランチどきには行列ができるカルククス(韓国式手打ちうどん)の店だ。

 

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このカルククスが3500ウォンで食べられる。うどんの代わりにすいとんを入れたスジェビも3500ウォン。うどんとすいとん、両方味わいたい人はカルジェビというハーフアンドハーフのメニューを。こちらは盛りが少し多く、4000ウォン


 ソウル中心部の専門店では6000ウォンはするカルククスが、この店ではなんと3500ウォン! スープは魚介ダシの風味が豊かで、麺にも手打ちらしいコシがある。下町市場散策の際、ぜひ立ち寄ってほしい店だ。

 

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店先で打たれるカルククス

 

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看板もなく、『仁王市場カルククス』という名前も通称だ

 

 

『ウソン・カルビ』(薬水駅5番出口)

 日本人の利用も多い新羅ホテルのふもとにある薬水駅のすぐ近くにある『ウソン・カルビ』は、70~80年代に流行った豚カルビの店の雰囲気をそのまま残した店だ。
 骨ごと出てくる国産豚肉は、本来、骨付き肉を指す“カルビ”を名乗るのにふさわしい。事前に厨房で炙られているので、サッと焼けば食べごろに。タレは甘さ控えめで、あっさりしているので、冷えた焼酎を飲みながらモリモリ食べられる。230グラムで13000ウォンという価格は、今どき良心的だ。

 

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テジカルビは食事にもなるが、酒肴としても最高

 

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夏場は店の外にもテーブルが置かれる

 

 

『富元麺屋』(会賢駅5番出口)

 南大門市場というと太刀魚料理やカルククス、ホットッなどを思い出すが、会賢駅5番出口近くには『富元麺屋(プピョン・ミョノク)』という知る人ぞ知る平壌冷麺の老舗がある。
 観光客は少なく、市場に出入りする人たちでランチどきは賑わう店だ。市場の食堂としてはとても広く、清潔感があるので女性旅行者でも利用しやすい。 
 スープは肉のダシがきいているが、すっきりしていて最後の一滴まで飲み干せる。今どきの平壌冷麺は10000ウォンを超えることは珍しくないので、8000ウォンでこの水準なら十分満足できる。 

 

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トッピングは豚肉、茹で卵、キュウリ、大根のキムチ

 

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会賢駅5番を出たら右に入り、かばん屋さんと帽子屋さんの間の道を進むと右手に入口が

 

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南大門市場の商店と商店との間に黄色い看板が出ている。店は階段をのぼった2階

 

 

『ヌルプルン食堂』(阿峴駅4番出口)

 ソウル中心部の「市庁」駅から2号線でわずか2駅の阿峴(アヒョン)駅。その4番出口の近くにある阿峴市場の入り口には、牛肉や白身魚、豆腐、魚肉ソーセージ、エゴマの葉、ズッキーニ、トウガラシなどに衣をつけて鉄板で揚げ焼するジョン(ブッチムゲ)の店が並んでいる。
 店内でも食べられるが、ほとんどの店は通りに面したところがカウンターになっているので、これからの季節は外で飲み食いするのが楽しい。ジョンに合わせる酒は、もちろん生マッコリだ。
 鉄板の脇にはジョンがたくさん並んでいるので、韓国語がわからなくても食べたいものを指させば、店の人が鉄板で温めてくれる。なかでも『ヌルプルン食堂』の女将は外国人にもやさしく接してくれるので、おすすめだ。 

 

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『ヌルプルン食堂』の店先に並んでいるジョンの数々

 

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ジョンにはマッコリがつきもの 

 

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阿峴駅の4番を出たら、歩道を少し歩いて最初の路地を左に入ると、ジョン横丁。写真中央が『ヌルプルン食堂』

 

 

『ソムンナンチプ』(鍾路3街駅5番出口)

 駅の近くの店と言えば、この店を忘れてはならない。仁寺洞の東隣にある楽園商街のビルの周囲、特にタプコル公園側には良心的な価格の食堂が集まっている。
 スープとごはんと大根キムチのセットをたったの2000ウォンで提供する『ソムンナンチプ』はその代表格。鍾路3街駅5番を出たら右手に見える大きな楽園商街のビルの手前左手にすぐ見つかる。
 この店は牛肉でダシをとったスープで大根の葉とハクサイ、それと豆腐ひと切れを煮込んだスープだけで60年間勝負している。創業者は朝鮮戦争のときに北側から避難してきた人で、「飢えることがどれだけ恐ろしいか身に沁みしているので薄利多売を守り続けている」というから泣かせる。

 最近、韓国の人気のど自慢番組の有名司会者のお墨付きの店として再注目され、女性や若者客も増えている。

 

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たっぷりの大根の葉とハクサイ、豆腐が入ったスープ、ごはん、大根キムチ。好みで塩や唐辛子粉を加えて

 

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切り株を使ったテーブルが雰囲気を出している

 

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店頭の大鍋でスープを煮ている

 

 

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紀行作家。1967年、韓国江原道の山奥生まれ、ソウル育ち。世宗大学院・観光経営学修士課程修了後、日本に留学。現在はソウルの下町在住。韓国テウォン大学・講師。著書に『うまい、安い、あったかい 韓国の人情食堂』『港町、ほろ酔い散歩 釜山の人情食堂』『馬を食べる日本人 犬を食べる韓国人』『韓国酒場紀行』『マッコルリの旅』『韓国の美味しい町』『韓国の「昭和」を歩く』『韓国・下町人情紀行』『本当はどうなの? 今の韓国』、編著に『北朝鮮の楽しい歩き方』など。NHKBSプレミアム『世界入りにくい居酒屋』釜山編コーディネート担当。株式会社キーワード所属 www.k-word.co.jp/

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