旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#56

韓流紀行〈4〉面白くて背筋も凍る『椿の花咲く頃』

文・康 熙奉(カン・ヒボン)

 

『愛の不時着』や『梨泰院クラス』が大人気となって、日本で新しく韓国ドラマにはまった人が続出した。その中で、Netflixで次の韓国ドラマを見て「これは本当に傑作だ」と評判になっているのが『椿の花咲く頃』である。

 

一番の成功作

『椿の花咲く頃』はジャンルが分類しづらいドラマだ。

 独身の警察官とシングルマザーの恋愛劇を面白く描いている点ではラブコメだし、のどかな町に連続殺人犯の影が忍び寄ってくるという内容からではサスペンスだし、地方の漁村に住む人たちの人間模様を面白く描いているところはホームドラマでもある。

 いろいろな要素が複合的に絡んでいるのが『椿の花咲く頃』の特徴だ。「ネタをたくさん詰め込んだ」という試みは大成功し、『椿の花咲く頃』は2019年の地上波のドラマの中では一番の成功作となった。

 KBSで2019年9月から11月まで放送されたが、各種の賞を受けている。コン・ヒョジンはKBS演技大賞の大賞を受賞したし、カン・ハヌルは百想芸術大賞のテレビ部門で男性最優秀演技賞、オ・ジョンセが男性助演賞を受けている。これだけ評価が高いのも、大いに納得だ。

 それではどんなドラマなのだろうか。

 主役のコン・ヒョジンとカン・ハヌルという人気俳優の組み合わせはとても魅力的。年齢を比べるとカン・ハヌルが10歳年下だ。

 韓国ドラマでは、男女の主役で女優が年上の場合がかなり多いが、それでも女優が10歳も年上というのは珍しい。主役カップルの相性がどうなのかな、と気になってしまうが、その心配はいらなかった。

 コン・ヒョジンが子供を育てる居酒屋店主を演じながら、実に若々しいイメージを持っている。まずは主役2人の息もピッタリという感じだ。

主人公2人のキャラは?

 物語はケジャン(醤油漬けした蟹)で有名なオンサン(架空の町)が舞台になっている。この田舎の町にやってきて「カメリア」という居酒屋を開いたのがドンベク(コン・ヒョジン)だ。素直なキャラクターで、イジメを真に受けない飄々としたところもある。

 このドンベクを図書館で見て一目ぼれしたのがヨンシク(カン・ハヌル)。彼は、町の飲食街のボスとも言えるトクスン(コ・ドゥシム)の息子で、ソウルから左遷させられて故郷の警察官として勤務することになった。

 ヨンシクは性格が直情型のタイプで、思い込んだら突っ走る。それでいて、面倒見がよくて、後先を考えないで人助けをしている。

 そんなヨンシクがドンベクの心をつかもうと、あの手この手で奮闘する。とはいえ、8歳の息子ピルグ(キム・ガンフン)を育てているドンベクは居酒屋のことも忙しいので、ヨンシクがグイグイと言い寄ってきても構っていられない。

 つまり、当のドンベクにはその気がなかった。

 しかし、状況がガラリと変わってくる。ドンベクに昔の彼氏が現れてくるのだ。それは、野球選手として有名なジョンリョル(キム・ジソク)だった。

 実はジョンリョルはピルグの父親だった。妻との家庭は破綻しており、取材で故郷を訪ねたときに偶然にドンベクに再会したのだ。

 このジョンリョルをヤキモキさせるために、ドンベクはヨンシクと仲のいい振りを装った。するとヨンシクが勘違いして、さらにドンベクへの愛をヒートアップさせた。

 この3人を中心にしてドラマはテンポよく進んでいく。

予測は不可能

 他の登場人物がとても興味深い。

 居酒屋でアルバイトしているヒャンミ(ソン・ダムビ)は大変な美人なのだが、昼間からビールを飲んだり、あちこちに借金したりと、どうもだらしない。

 しかし、居酒屋の常連客には大モテで特に町の有力者であるギュテ(オ・ジョンセ)が執着している。このギュテとヨンシクの相性がまったく悪くて、いがみ合ってばかりいる。その口争いもまた強烈で、周囲をハラハラさせている。

 ギュテの妻もとてつもなくキャラが立っている。離婚を専門に扱う弁護士で、ギュテを恐怖政治のように怯えさせている。男性側から見れば、これほど恐ろしい女性はそうはいないだろう。それだけに、ギュテの狼狽ぶりが笑える。

 さらに、ヨンシクの母であるトクスンも口が達者で、立て板に水のような彼女の世間話に引き込まれる。

 同じように、ドンベクをイジメる近所のアジュンマ(おばさん)たちの丁々発止のやりとりも面白い。韓国の田舎に行けば名物のアジュンマたちがホントにたくさんいるだろうなあと大いに想像できる。

 こうして、オンサンの町の人間模様が賑やかに描かれていく。しかし、ドラマには随所に緊張する場面が挟み込まれる。

 そこからは完全にミステリアスな世界に入っていくのだが、連続殺人犯が「カメリア」の周辺に出没する度に恐ろしい痕跡が残っていく。やがて悲劇が迫ってきて背筋が凍るような気分になる。

 なにしろ、『椿の花咲く頃』の現在形はドンベクが居酒屋を開いて6年後という設定で、その6年前にオンサンで起こった連続殺人でドンベクは生き残った目撃者だったのだ。

 必然的にドンベクは狙われる。果たして、彼女は身を守ることができるのか。そのとき、ヨンシクは救いのヒーローになれるのか。

 単純なラブコメでない奥深さがドラマを彩っている。

 町の人間模様で笑い、ドンベクとヨンシクの恋愛でヤキモキした後に、ゾッとするようなミステリーがドラマを包み込む‥‥次の展開にワクワクする「予測は不可能」なドラマが『椿の花咲く頃』なのだ。

 

(次回もお楽しみに!)

 

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