旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#55

韓流紀行〈3〉奇抜な設定が面白い『トッケビ』

文・康 熙奉(カン・ヒボン)

 

 日本で『愛の不時着』と『梨泰院クラス』が大人気になるにつれて、新たに韓国ドラマのファンになった人が、両作品以外のドラマを次々に見るようになった。その際に評判を聞いて視聴を始めた作品の1つが『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』であった。

 

奇妙な同居生活

『トッケビ』で主演のコン・ユが演じるキム・シンは、高麗時代の武将で現代まで900年も生き続けている男だ。彼は、900年前に主君に裏切られて、妹や家臣を失い、自分も命を落としかけた。

 しかし、結局は死ぬことができず、胸に剣を刺したまま、現代までずっとさまよい続けている。

 キム・シンの人生が終わるとき……それは、結婚して花嫁によって胸に刺さった剣を抜いてもらうときなのだ。そうすれば「不滅の命」が終わる。長く苦しんだキム・シンもそれを望んでいた。

 ついに彼はウンタク(キム・ゴウン)という最適な女性を見つける。しかし、彼女の魅力に気づいてから、心境に大きな変化があらわれてくる。

 そして、キム・シンとウンタクに加えて、生を終えた人を天界へ誘導する仕事をしている死神(イ・ドンウク)や、彼とラブストーリーを繰り広げるサニー(ユ・インナ)が登場して、物語がさらに重層的になっていく。

 中でも興味深かったのが、キム・シンがウンタクや死神と奇妙な同居生活を始めるところだった。

 この人間模様についてコン・ユはこう語る。

「キム・シンの場合、死神やウンタクと出会って同居することによって、初めてみんなと一緒に日常を楽しめるようになったのでしょう。それ以前まで、ずっと寂しさに耐えて感情を抑えた彼が新しい友に出会ったのです」

 実際、キム・シンは同居生活の中でコミカルな表情を見せるが、それは、長く苦しい忍耐生活の中でようやく見つけた安らぎだったのである。そう考えると、キム・シンのひとときの喜びを視聴者もともに実感できる。

キム・ゴウンの表現力

 撮影中には、コン・ユとイ・ドンウクは台本にないアドリブを連発したという。この点に関して、コン・ユはこう語っている。

「イ・ドンウクさんは、いつもアドリブをきちんと返してくれるから、とてもありがたかったですが、現場であんなに笑いながら演じたのは初めてです。イ・ドンウクさんは本当に瞬発力があって、最高の相手と思えるほど、打てば響いてきます。本当に彼のおかげで、愉快なシーンがたくさん生まれたと思います」

 コン・ユの言葉を聞いていると、撮影現場での軽妙な2人のやりとりが浮かんでくる。特に傑作だったのが食事の場面だ。お互いに離れて座りながら、気に入らないことがあると食器を相手にぶつけたり、わざと食事を邪魔したりした。

 このシーンを見ても、コン・ユとイ・ドンウクが、自分たちも楽しみながら演じていたことがよくわかる。

 そして、このドラマでヒロインになったのがキム・ゴウンである。彼女は映画『ウンギョ 青い蜜』でセンセーショナルなデビューを飾った女優だ。

『シークレット・ガーデン』や『太陽の末裔』で知られる超人気脚本家のキム・ウンスク作家は、『トッケビ』ではコン・ユの相手役にキム・ゴウンを抜擢した。

 彼女の演技力は、ドラマを見続けているとよくわかってくる。

 実際、現世をさまようトッケビに対してその花嫁になる女性には、いかにも現代的な活発さと苦境にも負けないバネの強さが必要だったが、その点でもキム・ゴウンの表現力は見事だった。

究極のテーマは?

『トッケビ』の中で数々の名場面となっているのが、キム・シンとウンタクがお互いに負けまいとして言い争う場面だ。

 ウンタクが攻めに攻めてキム・シンが守勢に回るケースが多い。まさに、ウンタクの速射砲のような言葉の連続は、見ていても歯切れがいい。

 だからこそ、キム・シンはムキになって言葉で対抗していくのだが、やはりウンタクに勝てる男はいない。

 結局、キム・シンは自分がウンタクの彼氏になりたいということを告白せざるを得なくなって、自分の心の変化にビックリしてしまう。こういう場面で見せる2人の言葉の応酬はとても醍醐味があった。

 コン・ユもキム・ゴウンを高く評価した。

「キム・ゴウンさんとは、以前から共演してみたかったんです。実際に共演してみると、想像以上にエネルギッシュな方で、楽しく演じることができました」

 本当に、主役カップルの相性は良かった。

 このように『トッケビ』の魅力を見てきたが、セリフも印象深いものが多かった。

 たとえば、次のようなセリフだ。

「人間は生まれ変わって四度の人生を経験する。一度目は種を植え、二度目は水をやり、三度目に収穫して、四度目に食べる……」

 まさに、900年もずっと生きているキム・シンの悠久の日々を象徴するかのようなセリフである。

 こうしてみると、『トッケビ』の究極のテーマは、「生」と「死」が交差する世界で人々はどう生きるか、ということに尽きるであろう。

 

*カギカッコ内のコン・ユの発言は、『トッケビ~君がくれた愛しい日々~』DVD公式サイト(提供:コンテンツセブン/©STUDIO DRAGON CORPORATION)から抜粋してまとめています。

 

(次回もお楽しみに!)

 

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