料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

#54

能登と金沢の町家レストラン

文と写真・山本益博

金沢レスピラシオン肉料理

 

 

能登のフランス料理「ラトリエドゥノト」と金沢のモダンスパニッシュ「レスピラシオン」へ


 能登の輪島に素敵な町家のフランス料理店があると聞きつけて、羽田から能登空港へ旅立ちました。以前、能登へは2度ばかりでかけ、いちどは珠洲で料理の美味しい宿に泊まり、魚汁(いしる)の魅力に取りつかれました。2度目は、料理ボランティア。能登の地震があってしばらくして、フランス料理のシェフ、寿司屋の職人、パティシエなど総勢80名で美味しい料理を食べて元気になっていただこうと、飛行機をチャーターして出かけました。
  今回は空港から輪島の街中までバスで行き、ちょうど昼どきにレストラン「ラトリエドゥノト」に着きました。一見してまるでレストランとは思えない店構え、京都の町家の風情です。
 料理は現代フランス料理、地元の食材を巧みに使いこなし、なかでも「能登牡蠣エキスのフラン春菊とセリのソース」は香り高く、味わい豊かで、とても印象に残りました。
 

 

ラトリエドゥノト能登牡蠣のフラン能登産牡蠣のフラン

 

ラトリエドゥノトデザート艶やかなデザート

 

ラトリエドゥノト室内町家の風情ある店内の眺め

 

 ここにも「ローカルガストロノミー」が健在で、デザートのあとテーブルに出てきた池端シェフと料理の話に花が咲きました。フランスのシェフの話題になり、そして、マルク・ヴェラ(前回のTABILISTAに登場)で大いに盛り上がり、話は尽きることなく、シェフは金沢行のバスが出るターミナルまで送ってくださり、マルク・ヴェラの料理の話でもちきりでした。

 

 

 

ラトリエ・ドゥ・ノト池端シェフ池端シェフと一緒に

 

 その日の夜は、金沢の「レスピラシオン」。モダンスパニッシュで、フェンシングの太田雄貴さんが、「マスヒロさんに食べていただきたい店が、金沢にあります。出かけて気に入られたらぜひとも応援をお願いします」とメッセージをいただき、この機会にと、金沢には魅力的な店がいくつもあるのですが、ここは超がつくほどの食いしん坊の太田さんの願いを聞き入れて、予約を入れました。
 太田さんとは不思議なご縁で、共通の友人が企画した東京での中華料理店での会食で初めてお目にかかり、また、どこかでお目にかかりましょうとお別れした矢先、パリの空港シャルル・ドゴールでばったり出会い、それだけでもびっくりなのに、1年もたたないうちに、今年の1月、またまた羽田からパリ行きの飛行機の機内でもご一緒でした。そこで、金沢の「レスピラシオン」の話が出たわけです。ついでに言うと、私は、パリに何日間もいらっしゃるのであれば、ぜひとも、「ランブロワジー」で「トリュフのパイ包焼き」を召し上がってみては?と提案しました。
 前置きが長くなりました。「レスピラシオン」もやはり、金沢の町家を改装したレストランで、料理はかなり、革新的、挑戦的でした。二人のシェフが心と技を合わせて、現代スペイン料理の粋を感じさせ、とりわけメインの「生命をいただく 青首鴨、日本鹿、能登島豚 能登115」は皿の上に現代絵画を描いているといった感じで素晴らしかったです。

 

 

金沢レスピラシオングラニテ兼六園グラニテ

 

金沢レスピラシオン魚料理鰆鰆の料理

 

金沢レスピラシオン肉料理メインの一皿

 

金沢レスピラシオン毛蟹のパエリア毛蟹のパエリア

 

 

 ただし、スペインのバルセロナあたりの前衛レストランで食事した経験を持つお客様には楽しめる料理ですが、金沢へ美味しいものを食べにきた方には、一回ではなかなか分かりにくい皿もありました。でも、応援しがいのある店には違いありません。次回、季節を変えてまたお訪ねしますと言って、店を後にしました。いつか、機会があれば、その後報告をいたします。

 

次回は、東京です。
 

 

 

■「ラトリエ・ドゥ・ノト」

 

 

住所/石川県輪島市河井町4-142

 

問い合わせ/0768-23-4488

 

https://atelier-noto.com

 

■「レスピラシオン」

 

 

住所/石川県金沢市博労町67

 

問い合わせ/076-225-8681

 

http://respiracion.jp

 

*この連載は毎月25日に更新です。

山本さん顔

山本益博(やまもと ますひろ)

1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。

 

 

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」
バックナンバー

その他のJAPAN CULTURE

ページトップアンカー