料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

料理評論家・山本益博&美穂子「夫婦で行く1泊2食の旅」

#53

(番外編)「EAT Nobeoka in ENEKO Tokyo」

 

文/編集部

 

 本連載を執筆していただいている山本益博さんは、宮崎県延岡市で「食」のまちづくりアドバイザーを務めています。その延岡市が主催するイベント「EAT Nobeoka in ENEKO Tokyo」が2月に開催されました。市内の生産者、料理人が東京に集い、延岡市の食材の魅力を発信するというもの。そこで今回は番外編として、このイベントの様子をここでご報告させていただきます。

 

 レポートしていただくのは、「#51(番外編)」に引き続き、高山コジローさんです。山本益博さんと長年交流がある高山さんは、事前に当イベントに参加する4名の生産者と3名の料理人を現地取材していただいています。その様子は「#51(番外編)」でご紹介しているので、こちらも併せてお読みいただければ幸いです。いったいどんな料理が提供されたのでしょうか?

 

 


「EAT Nobeoka in ENEKO Tokyo」
 

文と写真/高山コジロー

 

  

 2月18日、東京・西麻布のスペインレストラン「エネコ東京」にて、延岡市が提言する「東九州バスク化構想」のPRとして「EAT Nobeoka in ENEKO Tokyo」が開催された。

 

 「エネコ東京」は、スペインのバスク州の三つ星レストラン「アスルメンディ」のエネコ・アチャ氏がプロデュースする。日本の食材を使い、日本の四季を楽しめる独創的なバスクビストロスタイルの店だ。そのレストランで先日の延岡で実際に取材に訪れた「延岡の料理人」による「延岡の食材」を使った料理が、特別メニューとして100名ほどの招待客に振る舞われた。

 

 読谷山洋司延岡市長の挨拶により1夜限りの「延岡の食宴」がスタートする。

 

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「ピクニックバスケット」

 

 

 「エネコ東京」によりサーヴされた本場バスクの「ピクニックバスケット」でアペリティフタイムを楽しみながら、いよいよ延岡の料理人による料理が登場だ。

 

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厨房では延岡から集まった料理人たちが腕を揮う。(Photo by Kenichi Nakamura/K・P Creations)

 

 

 

1品目

「かくれ処キッチン ふかみ」の深見政男シェフによる
「北方産自然薯とろろと島浦真鯛の炙り」

 

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延岡の山の幸と海の幸が融合した「北方産自然薯とろろと島浦真鯛の炙り」。

 

 自然薯の上に盛り付けられた新鮮な真鯛。炙られた皮の香りよく、コリコリした白身の食感と濃厚な真鯛本来の旨みが溢れる。強い粘りの自然薯とからめてみると、これが好相性。延岡の山の幸と海の幸の自然な旨みが口いっぱいに広がる。真鯛は取材に訪れた「結城水産」の結城嘉朗さんの提供だ。

 

延岡での取材レポートは以下より。

「かくれ処キッチン ふかみ」

「結城水産」

 

 

2品目

中華料理店「Chinese Restaurant FUBITO(史)」の
小澤寿史シェフによる「北浦ヒオウギ貝と地鶏の焼売」

 

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小澤シェフの手により地鶏と日向灘の名産ヒオウギ貝のマリアージュが実現。「北浦ヒオウギ貝と地鶏の焼売」

 

ヒオウギ貝の殻に盛り付けられた通常の3倍くらいはある大ぶりな焼売にかぶりつく。中はびっしり詰まったヒオウギ貝と地鶏のもも肉。噛むほどに肉汁が溢れ出し貝と鶏の旨みが素晴らしい。提供された延岡クラフトビールの「ひでじビール」がとてもあう。

 

延岡での取材レポートは以下より。

「Chinese Restaurant FUBITO(史)」

 

 

 

3品目

「きたうら善漁。」の料理人 吉田善兵衛さんによる一品。

 

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「玉葱」の料理。延岡野菜そのもののおいしさを実感する一品。

 

延岡の取材では料理を味わうことができず、今回とても楽しみにしていた。取材では延岡の魚を提供してくださるとのことだったが、延岡の新鮮な魚を東京で提供することは難しいようで、「魚は延岡に食べにきて欲しい」。という。そのため今回は、延岡のブランド野菜で、JA延岡から提供された「空飛ぶ新玉ネギ」をまるまる使ったシンプルな野菜料理。

玉葱は火の入れ方が素晴らしく、甘みと旨みが溢れる。添えられた玉葱の根からは、延岡の土の香りを感じる。青い部分は玉葱の葉の部分で旨みが濃く、合わせた野菜ソースとあう。こんなにも延岡の野菜は、旨いものなのか。

 

延岡での取材レポートは以下より。

日本料理「きたうら善漁。」

 

 

 

4品目

ペルー料理「rico tacna」(リーコ タクナ)の久我大輔シェフによる
「鏡山牛を使ったアンティクーチョ」

 

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鏡山牧場で10年自然放牧された経産牛を使ったペルーの串焼き料理「アンティクーチョ」。

 

ペルーの代表的な串焼き料理の延岡アレンジ。

鏡山牛は「鏡山牧場」の生産者八崎秀則さんにより自然放牧で育てられた黒毛牛。まだ流通量が少ないため、会場にいるほとんどの人が初めて口にする希少な牛肉だ。

ニンニク、トウガラシ(アヒ)、そのほかの香辛料などのタレに漬け込んで焼かれた鏡山牛は、ほどよい弾力があり、噛めば噛むほど牛肉本来の凝縮された旨みが溢れる。また、取材で伺った「斧農園」の春菊も使われ、斧康弘さんが延岡の土にこだわり、自然農法で育てた野菜の美味しさも加味されている。

 

延岡での取材レポートは以下より。

「鏡山牧場」

「斧農園」

「rico tacna」

 

 

5品目

山形のイタリアン「アル・ケッチァーノ」の奥田政行シェフがプロデュースする
銀座「ヤマガタ サンダンデロ」にて考案した
塩とオリーブオイルなどでいただく「オイル寿司」

 

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延岡の新鮮な魚を使ったコラボレーション「ひむか本サバとへべすぶり」の2貫。

 

塩とオイルの加減とバランスがよく、醤油を使わないので白身魚の素材の持ち味が生きている。「ひむか本サバ」はとろける脂の旨さ、「へべすぶり」は淡麗な旨み味わいが際立つ。

延岡のブランド魚の新しい可能性を感じる一品だった。

 

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延岡食材の奥深さを語る奥田政行シェフと山本益博さん。(Photo by Kenichi Nakamura/K・P Creations)

 

 

 

デザートは「エネコ東京」のザーブによるバスク名産のケーキで宴の余韻を愉しむ。

 

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 本場バスクを擁する雰囲気のなか、延岡の豊かな自然と空気を感じながら、食の喜びに溢れた延岡ガストロノミーだった。

 

 

 最後に「東九州バスク化構想」を推進する延岡市の「食」のまちづくりアドバイザーである山本益博さんから「今日の料理は延岡に行かないと味わうことはできません。海の幸、山の幸、里の幸の素晴らしい食材と、素晴らしい料理人のいる延岡にぜひ足を運んで欲しい」。という言葉で2時間にわたる宴は締めくくられた。

 

 取材で延岡の食・料理はもちろんなのだが、延岡の人の温かさや優しさに触れ、すっかり延岡のファンになってしまった。

 ひとり旅でもいい、友人を誘ってもいい、また延岡を訪れたい。

 

*この連載は毎月25日に更新です。

山本さん顔

山本益博(やまもと ますひろ)

1948年、東京・浅草生まれ。早稲田大学第ニ文学部卒業。卒論が『さよなら名人藝―桂文楽の世界』として出版され、評論家としてスタート。幾度も渡仏し三つ星レストランを食べ歩き、「おいしい物を食べるより、物をおいしく食べる」をモットーに、料理中心の評論活動に入る。82年、東京の飲食店格付けガイド(『東京味のグランプリ』『グルマン』)を上梓し、料理界に大きな影響を与えた。長年にわたる功績が認められ、2001年、フランス政府より農事功労勲章シュヴァリエを受勲。2014年には農事功労章オフィシエを受勲。「至福のすし『すきやばし次郎の職人芸術』」「イチロー勝利への10ヶ条」「立川談志を聴け」など著作多数。 最新刊は「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)。

 

顔

高山コジロー

編集者・旅人・たまにバーテンダー。大学卒業後、出版社にて男性ファッション誌、女性ファッション誌、漫画誌、トラベル誌、フリーマガジンなど20 年に渡り20 誌ほど編集長として携わる。現在は白黒の雄猫と共に気ままに暮らす。小学生の頃より極度の乗り物酔いだが、なにしろ飛行機が好きなので、生涯搭乗数は優に400回を超える。忘れられぬ旅はJAL ファーストクラス(特典航空券)で行ったパリ一人旅。酒好き、旨いものに目がない「食いしん坊」でもある。「KOJIRO(コジロー)」名義にて2017 年、『TABILISTA 』にてJALサファイア会員になるために年間50回飛行機に乗り、ついでに麺を食べに行く「マイル修行&麺の旅」を好評連載。「わざわざ飛行機に乗って麺を食べに行ってきます」はその続編にあたる。

 

 

 

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