究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本

#48

「アフターコロナ」に選ぶべき旅行先

文・室橋裕和

「コロナが収束したら、すぐにでも海外に行きたい」と思っている人も多いことだろう。その目的地は、いったいどこが適しているのだろうか。わずかずつではあるが旅行再開に向けた動きが世界的に出てきたいま、アフターコロナに人気になりそうな旅行先を考えてみた。

 

お隣り台湾の南部を巡る

 まずはっきりしているのは、「近場」であるということだ。「密」になりそうな飛行機での長距離移動は避けられるだろう。機内は常に空気が循環しているというし、座席の間隔は開けて乗ることになりそうだが、それでも心理的な圧迫感もあり、短距離で行ける場所が人気になると考えられる。つまりアジアだ。
 とくに東アジア、東南アジア諸国は、厳しいロックダウンを敷いて、実に慎重にコロナ対策を進めてきた。その結果、インドネシアとフィリピンをのぞいて、おおむねコロナの抑え込みに成功。日本よりもずっと優秀な対応だったといえる。
 日本との間では、ビジネス目的の往来は少しずつ再開しようとしている。次に限定的にツアー客を入れて、それからバックパッカーも含めた個人旅行者の受け入れとなっていくだろう。
 そうなったらまず日本人旅行者は台湾を選ぶはずだ。国内旅行感覚で行ける距離感と、コロナを封じた清潔感は安心できる旅先だ。
 それも大都市・台北ではなく、少しでも「密」を避けられる地方都市に注目が集まるとみられる。例えば南部の街、台南だ。台湾第4の都市ではあるが、台北よりずっとコンパクトでのんびりしているし、過ごしやすい。台湾でいちばん最初に開発が始まった17世紀の雰囲気を残す安平地区は街歩きにぴったりだ。名物の担仔麺や、田ウナギ、牡蠣などを使った独特の台南グルメも食べたい。安いホステルやゲストハウスもたくさんある。

 

01
どことなく南国的な台南の鉄道駅。歴史的建造物もたくさん

 

コロナ対策に成功したベトナムのビーチで過ごす

 コロナウイルスによる死者ゼロが国際的に評価されたベトナムも、安心感が高い。日本との往来が早くに正常化しそうな国だ。南部の最大都市ホーチミン、北部の首都ハノイはどちらもエネルギッシュで活気ある街だが、やはり「密」を避けて、ゆっくり過ごせるビーチが人気になるだろう。
 中部のダナンは近年開発が進んでいる新興ビーチリゾートで、コロナ前は日本人旅行者も急増していた。高級リゾートも多いがバックパッカー向けの安宿もたくさんある。近郊の街ホイアンは16~17世紀に日本人町があったことでも知られ、古い建築物群は世界遺産にも指定されている。さらに古都フエも、かつての王宮や寺院などが世界遺産となっている。この3都市を組み合わせるベトナム中部ルートはどうだろうか。
 ここからは西の山岳地帯を抜けてラオスへと越境できる。ラオスは人口密度が低く、「密」になる場所がもともとあまりないため感染者が少なかったともいわれている。メコン河流域の小さな村で過ごしたり、北部のトレッキングなど、人ごみを避けて自然と触れ合う旅もできる。インドシナ諸国の国境の再開も待たれるところだ。

 

02
ベトナムではメコンデルタのツアーも人気になるかもしれない

 

タイの「バブル」に日本は入れるか

 タイでもやはり、開放感があるビーチから旅行者が戻ってくるだろう。タイ政府は観光再開の第一歩としてまず、タイ南部の有名リゾート、プーケット島やサムイ島、クラビーなどにツアー客を受け入れることを検討している。それに北部山岳地帯でのトレッキングも、混雑を避けて自然と触れ合えることから再び注目を集めそうだ。
 タイは早期にコロナを収束させた近隣の国同士で「トラベル・バブル」をつくり、その泡の中に入っている国の間では行き来を再開させる方針で動いている。PCR陰性証明があれば入国後の2週間隔離も行わない方針だ。
 しかしこの「泡」から、日本が除外される可能性も出てきている。7月上旬になって東京都内で感染者が急増しているためだ。タイはコロナ禍に対して日本よりはるかに慎重で、厳しく当たっている。日本人バックパッカーにとっては聖地ともいえる国だが、自由な旅行にはもう少し時間がかかるかもしれない。

 

03
タイ南部クラビーも現状では国内需要から。日本人の自由旅行はまだ先になりそう

 

エコツアーが世界的に注目される?

 あまり知られてはいないが、モンゴルもコロナを抑え込んだ国だ。世界的なパンデミックになる前から国境を閉じて感染者を227人にとどめ、死者はなし。
 広大な国土に人口はわずか300万人と「密」とは無縁の環境で、首都ウランバートルを離れると大きな街はない。草原や砂漠がどこまでも続く。この大地を舞台にしたキャンプやトレッキング、サファリといったアクティビティが人気で、バックパッカーが泊まるような安宿でもアレンジできる。
 コロナ後の旅行は、こうしたエコツアーが世界的に流行するのでないかといわれている。都市部の雑踏から離れ、少人数で自然と触れ合う旅だ。
 同じ理由でマレーシアのボルネオ島も旅行者から支持されそうだ。巨大な島にマレーシア、インドネシア、ブルネイの領土があるが、マレーシア側では感染者は少数。熱帯雨林でのトレッキングやバードウォッチング、オランウータンと触れ合う体験、東南アジア最高峰キナバル山へのハイキングなどエコツアーには事欠かない。ビーチも美しくマリンスポーツもさかんだ。
 まずはこうした国・過ごし方から、コロナ後の旅が始まっていく。どこに行くか、いまから旅程を練って考えておくのも楽しい。

 

04
こちらは冬のモンゴル。「密」とは無縁の世界でラクダツアーがはじまるところ

 

05
マレーシア・ボルネオ島のオランウータン保護センター。コロナ後には自然と触れ合うネイチャー・パッカーが増加する?

 

 

*本連載は月2回(第1週&第3週水曜日)配信予定です。次回もお楽しみに!

 

*タイトルイラスト・野崎一人 タイトルデザイン・山田英春

 

 

『バックパッカーズ読本』編集部

格安航空券情報誌『格安航空券ガイド』編集部のネットワークを中心に、現在は書籍やWEB連載に形を変えて、旅の情報や企画を幅広く発信し続けている編集&執筆チーム。編著に究極の個人旅行ガイド『バックパッカーズ読本』シリーズなど。

 

紀行エッセイガイド好評発売中!!

okinawa00_book01

最新改訂版 バックパッカーズ読本

究極の個人旅行ガイド バックパッカーズ読本
バックナンバー

その他の辺境・秘境の旅

ページトップアンカー