旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#45

韓流歴史紀行〈6〉景福宮の正門論争

文と写真・康 熙奉(カン ヒボン)

 韓国の首都となっているソウル。世界有数の大都市であるが、もとは朝鮮王朝の都として発展した。その中心を担ったのが景福宮(キョンボックン)である。その正門の向きをめぐって建設当初は大論争があったという。それはどんな対立だったのか。

 

6-1世宗(セジョン)の像の奥に景福宮(キョンボックン)の正門が見える

風水で選んだ適地

 1392年に朝鮮王朝を建国して初代王となった李成桂(イ・ソンゲ/太祖〔テジョ〕)。彼は、自分が滅ぼした高麗王朝の都であった開京(ケギョン/現在の開城〔ケソン〕)から遷都する構想を練った。

 それは、高麗王朝の残滓を払拭したかったからだ。

 李成桂は、新しい王朝の永続を願って精気に満ちた場所を探した。

 特に彼は風水思想の信奉者で、力強い「気」があふれた土地を求めた。その条件は「背山臨水」である。後ろに峻険な山があって前に雄大な川が流れている土地が望むべき立地だった。

 李成桂は信頼できる風水師に徹底的に適地を探させたが、その末に選ばれたのが漢陽(ハニャン)だった。現在のソウルである。

 

6-2景福宮の前に立つ最高の名君・世宗の像

 

 漢陽は開京から南東に60キロの距離にあった。北側には峻険な山が連なり、前には漢江(ハンガン)という大河が流れていた。朝鮮半島の中央部に位置しながら、これほど風水で吉とされる土地は他になかった。

 1394年、李成桂は漢陽に遷都し、すぐに王宮の建設に着手した。

 しかし、いきなり激しい論争が起こった。

 問題となったのは、正門の向きであった。

 

意外な結論

 対立したのは、儒学者の鄭道伝(チョン・ドジョン)と仏教僧侶の無学(ムハク)大師だった。

 2人とも李成桂が特別に信頼する側近である。

 無学大師は主張した。

「南側に災いをもたらす山がありますので、それを避けるためにも王宮の正門は東向きにしなければなりません」

 この意見に鄭道伝は反対した。

「王朝を長く続けるためには国王が南側に向かって政務を行なうことが理にかなっています。正門はかならず南向きに!」

 新しい王宮の正門は、東向きがいいのか、南向きがいいのか。双方の主張は真っ向から対立した。

 李成桂は迷った。

 彼は熱心な仏教徒であった。周囲の人たちは「国王は敬愛する無学大師の意見を採用するだろう」と予測した。

 しかし、実際は違った。

 なんと、李成桂は鄭道伝の意見を取り入れたのだ。

 こうして、正門を南向きにして建設されたのが景福宮(キョンボックン)である。

 この「景福宮」という名称も鄭道伝の発案だ。

 

6-3

景福宮の正殿は勤政殿(クンジョンジョン)

 

豪華絢爛な王宮

 鄭道伝は李成桂から最大の信任を受けた。

 彼が主導して、朝鮮王朝は国教を仏教から儒教に変えた。

 そういう意味では、朝鮮王朝が典型的な儒教国家になる契機が景福宮の正門の南向きなのである。

 その正門こそが、今も堂々とした姿を見せている光化門(クァンファムン)だ。

 

6-4

景福宮の正門となる光化門(クァンファムン)

 

 南向きに建てられた景福宮は、最終的に200棟以上の建物が並ぶ豪華絢爛な王宮となっていった。

 李成桂が鄭道伝の意見を取り入れたのは正解だった。なにしろ、朝鮮王朝は518年間も続いたのだから……。

 しかし、無学大師の意見も間違いではなかった。

 1592年の朝鮮出兵の際に景福宮は完全に燃え尽きてしまい、以後はずっと放置されたままだった。

 景福宮が朝鮮王朝の正宮として再建されたのは1865年である。それは、273年ぶりの復活であった。

 

6-5

現在も観光用に衛兵たちが立っている

 

 

*筆者・康 熙奉のプロフィール&近況はtwitterをご覧ください→https://twitter.com/kanghibong

 

*本連載は月2回配信(第1週&第3週木曜日)予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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