旅する&恋する! 韓国ドラマ

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#42

韓流歴史紀行〈3〉珍島の雲林山房

文と写真・康 熙奉(カン ヒボン)

 

P1珍島の雲林山房

 

 珍島(チンド)は朝鮮半島西南部にある島だ。面積は430平方キロメートル。韓国で済州島(チェジュド)、巨済島(コジェド)に次いで3番目に大きい島で、日本でいえば種子島と同じくらいだ。1984年に完成した珍島大橋(長さは500メートル)で本土から車で行けるようになった。

山水画の名家

 珍島といえば、日本では天童よしみが歌った「珍島物語」で有名になったが、韓国の人が珍島と聞けば、「珍島アリラン」を真っ先に思い浮かべるはずだ。

 実際、珍島で乗ったタクシーの運転手さんがこう言っていた。

「珍島では『三つのことを自慢するな』と言われています。一に書、二に絵、三に歌。珍島の人はこの三つが得意なので、たとえ巧くこなしても自慢にならない、というわけです。特に、珍島のどの村にも名人がいるのが歌です。渋い声のアジュンマが有名な『珍島アリラン』を披露してくれますよ」

 朝鮮半島の民謡を代表する「アリラン」は、地方ごとに独自の曲があるが、その中でも「珍島アリラン」が特に有名である。

 私が熱望すると、運転手さんは照れながら「珍島アリラン」を披露してくれた。その歌を心地よく聴きながら着いたのが雲林山房(ウンリムサンバン)だった。

 ここは、4代続いた山水画の名家の記念館である。

 

P2美しい景観を見せる雲林池

 

 雲林山房に入ると広い庭園があり、その奥に展示館があった。ここを築いたのは、珍島出身で朝鮮王朝末期の優れた教養人だった許錬(ホ・リョン/1808~1893年)である。詩、書、画において天賦の才能を発揮し、41歳のときには朝鮮王朝24代王の憲宗(ホンジョン)に認められ、国王が使う墨と筆で画を描くという栄誉を受けた。都での名声は高かったが、師の金正喜(キム・ジョンヒ)が流刑先の済州島で亡くなると、その死を悼んで1857年に故郷に戻り、画室を建てて余生を送った。それが、今の雲林山房になった。

 画業は代々受け継がれ、4代にわたって山水画の達人を輩出した。おかげで、山紫水明の世界を描いた作品群を展示館で堪能することができる。

流し目のペ・ヨンジュン

 広い敷地には、許錬にゆかりのものが点在している。それは、許錬が植えた百日紅、蓮池として著名な雲林池、許錬が絵を描いた画室、許錬が住んだ生家などである。私は特に雲林池が気に入った。周囲の樹木とよく調和していて、中央に浮島があり、水面には蓮の葉が美しい模様で浮かんでいる。

 

P3

雲林池が映画『スキャンダル』のロケに使われたことを示す案内板

 

 案内板によると、ペ・ヨンジュンが主演した映画『スキャンダル』の撮影に使われたという。

 よく覚えている。映画の中に、ペ・ヨンジュンが扮する両班のチョ・ウォンが女性3人と一緒に、池に舟を浮かべて風雅な時間を過ごすシーンが出てくる。芸人たちが歌と楽器で伝統的な調べを奏でる中で、舟に乗ったチョ・ウォンは同乗している女性の気を引こうとして、妖しげな流し目をする。そのときのペ・ヨンジュンの演技が秀逸で、映画を見る観客を同じく舟遊びに誘い出してくれるような雰囲気があった。

 

P4

海の先に見えるのが茅島

 

 その映像を思い出しながら、しばらく雲林池のそばで佇んだ。水に浮かぶ蓮の葉を見ていると、心がとても穏やかになっていく……。

 至福の時間を過ごした後、雲林山房からタクシーに15分くらい乗って海岸に着いた。海沿いの道路には数軒の屋台が出ていて、目の前には広々とした海が広がっていた。案内表示によると、沖合に茅島(モド)があり、そこまでの2・8キロメートルが干潮時に人が歩いて渡れるような40メートル幅の陸地になるということだった。

海割れの由来

 茅島がよく見える位置に立つと、そこに年老いた女性と虎をモチーフにした石像が立っていた。案内板には、この場所にちなんだ伝説が次のように書かれてあった。

 

P5年老いた女性と虎をモチーフにした石像

 

「その昔、ここに虎がひんぱんに出没した。虎に襲われてばかりいて困った村民たちは、いかだを作って対岸の茅島に逃れようとした。しかし、年老いたポンさんだけは運悪く珍島に残されてしまった。家族と引き離されてしまったポンさんは、毎日のように龍王様に、家族と会わせてくださいと祈った。ある日、夢の中に龍王様が現れ、明日の朝に海辺に出なさいと言った。翌朝、お告げの通りに、珍島と茅島を結ぶ海の道ができていた。村の人は喜んで茅島から珍島までポンさんを迎えに来たが、彼女は『私の祈りによって海が開き、家族にも会えたから、思い残すことはない』と言って、その場で力尽きてしまった。村の人たちはポンさんのおかげで海が割れたと特別な感慨を持つようになり、以後は、海の道を渡れば願いが叶うと信じられるようになった」

 なるほど、「珍島物語」にはこんな由来があったのか。

 観光案内所で聞くと、海割れは年に何度か起きるそうだ。しかし、明け方や深夜では多くの人が集まれない。その点、旧暦の2月下旬に起こる神秘の海割れは昼間だ。新暦でいえば4月中旬か下旬に該当するが、2時間ほど海が割れて大勢の人が茅島まで歩いて行くことができる。

「雲林山房」と「神秘の海割れ」……珍島は見どころが多い島だ。

 

P6海割れの様子を見せてくれる表示板

 

*筆者・康 熙奉のプロフィール&近況はtwitterをご覧ください→https://twitter.com/kanghibong

 

*本連載は月2回配信(第1週&第3週木曜日)予定です。次回もお楽しみに!

 

 

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